ソゾポルからプロブディフへ

今日はブルガリア第2の都市、プロブディフへ向かうために早起きをした。距離は150km程だろうか、予定所要時間は4時間。新幹線って便利だなあなどと考える。

朝食を摂る時間がなかったので、バス停近くのカフェでパンをかじる。上は隣の席にいた人達。こっちではコーヒーといえばエスプレッソなので皆コーヒーの量は少ない。そして飲み物はこれだけで済ませてしまう。こっちは日本育ち、食事の時にはガブガブ何か飲むのが習慣になっているから、エスプレッソコーヒーだけでは食べ物が喉を通らない。ミネラルウォーターを注文する。無論ただではない。ブルガリアではどんなレストランでも水は有料なのである。
バスは定刻よりも3分程早く到着する。そろそろクーラーのない生活にも慣れてきたので(なにしろホテルにもクーラーはないのだ)、少々効きが悪くてもクーラーが付いているバスを有り難く感じる。

車窓からは黄色いひまわり畑が見える。これほどたくさんのひまわりを見るのは初めてである。ひまわりは太陽の方を向くと言うが、なるほど全ての花が一方を向いている。なかなか壮観である。昼になって、夕方になっても太陽を追いかけるのであろうが、では翌朝はどうするのだろう?朝日が出たらあわてて後ろを振り向くのだろうか?
大体、何のためにひまわりを大量に栽培しているのだろうか。まさか勝手に群生している訳ではないだろう。その辺りを訊ねてみると、油がとれるとのこと。日本で言えばなたね油みたいなものだろうか?料理に使うのかな。
今回は路上休憩もなく、バスは順調にアウトバーンをひた走っている。しかしながら地名表示の看板が非常に少ないため、今何処にいるのかよく判らない。街を出て、平原を走って、また街に着いた、ということは判っても、その街の名前を示すものがほとんどないのである。「次は××です」などとアナウンスすることもない。黙って走り、黙って街に着き、降りる人は黙って出口へ向かう。降りそびれたらどうするんだろう。このあたり、ブルガリアに限らずヨーロッパ諸国は皆、本人の責任で行動すべしとの考えがあるように見受けられる。いろいろな考え方があろうが、少なくとも外国人にとっては面倒なことである。そういえば以前、成田空港行きのJR普通列車で、成田駅で大勢の人が降りるのを見て、「ここは成田空港なのか?」と他の乗客に質問していた外国人がいた。日本語でしかアナウンスしない日本の列車なんて、彼らから見れば何もアナウンスしないヨーロッパの列車と同じだから、日本だって大差はないとも言えるけれど。

バス中では客が暇を持て余すだろうとの配慮か、テレビが用意されている。運転手がヴィデオテープをセットする。行きは「Mr.Bean」で、これはセリフが不要なので外国人にとっても楽しめ、とてもよい選択だと思ったが、今回は無情にもブルガリア製の映画であった。外国人でも楽しめるようなものを選択しているのかと思っていたが、それは間違いであることが判った。

そうこうしているうちに途中休憩することもなく、バスはアウトバーンからインターチェンジに入る。路上の看板には「プロブディフ」と書いてあるから、きっとこの後しばらくしたら到着するのだろう、と思っていたらカフェでバスは停止した。運転手が「30分休憩します」とだけ言ってバスを降りる。降りてみると彼はカフェで昼食を摂っている。このバスはプロブディフが終点ではなく、その後首都のソフィアへ向かうから、運転手氏は昼食を摂る必要があるのだ。


休憩後バスは出発する、、、、、、、筈なのだが、カフェを出て、100m程走ったところで、バスがエンストを起こす。運転手氏がキーを回してもエンジンはかからない。2度やっても駄目。3度目も4度目も駄目。あらら。往路では故障しているクルマに停められたこともあったし、実はそれ以外にも何台かそれらしきクルマを路上に見てきており、故障車が多いと思ってはいたが、まさか自分の番がやって来るとは。

運転手氏は何度かトライした挙げ句、「皆さんバスの外で待っていてください」と言う。エンジンがかからないバスは、当然のことながらクーラーもかからず、動きもせず、このままバスの中にいたのではただのガマン大会状態に陥ってしまう。やれやれ。プロブディフはすぐ近くだと言うのに。

俺は暑い中待つよりは、ここからタクシーを拾ったらどうかと友人に提案したが、こんな所にタクシーなど来ないと言われて諦めた。ならばバスが直るのを待つしかない。幸いカフェを出た直後だったので、運転手氏はカフェに歩いて行き、応援を頼む。まもなくカフェのクルマが到着して、何かよく判らないがいろいろいじくって、エンストから約20分後にバスは見事に蘇生した。

その後10分程度でバスはプロブディフに到着する。思いがけず日本車などを発見して撮影してしまう。ニッサンのプリメーラである。当然左ハンドル仕様。
明日からは歴史の古い街プロブディフを散策するとしよう。
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