2004.5.9 東京宝塚劇場 1階19列



第16場 ル・ミルリトン

戦争が始まり、客足が遠のく日々。
店の危機を心配するエドモンとロロットをよそに
フレデ親爺はし込みをしている・・・
歩くのがやっとの状態のユトリロを連れて訪れるモディリアーニ。
いつもの挑戦的な彼とは違いとても物静かな物腰で、
ユトリロの病気療養のため南方の国でしばらく落着くと告げる。
【こいつだけは死なせたくない】そんな簡単に治るわけがないと
判っているから余計に悔しいモディリアーニ・・・
なんて仲間思いなイイヤツっ。
ブリュアンが顔を出すと、いつものように悪態ついて去って行く。

やっぱりブリュアンに似ているモディリアーニ。
生まれの良さを捨てようとあがいているんだ、とブリュアンは云う
のですが、わざわざ捨てなくても良いような気がしますけど?
だって生まれが芸術とどう関係するっていうんでしょう?
なんか身分違いを気にしすぎなのはブリュアンたちのほうなんじゃ?
しかもモディリアーニは生まれは良いけど、生まれてすぐに
家は破産しているんですよねぇ。どうやってそんな良家のお坊ちゃん
に育ったんだか、ちょっと不思議ですよ(苦笑)。

しみじみしているところへフルーレ伯爵が登場。
でも身分を偽っていたのに、堂々とパパが登場しちゃってイイの?
エドモンとロロットはブリュアンが御曹司だって知っているのかな?
もう正体ばらしたのか?なんだかよく分からないが。
それにしても、流石はブリュアンのパパ。
型破りな方ですよねぇ、血は争えないか?
自分が結婚しちゃうなんて、ホント感服致しますって感じ(^^)。
アナトールは死にかけた状態なのに、パパは全然平気なんですよね。
あんなキンキン声の歌、毎日聴いていたらホントに倒れそうよ。
あまりの地獄ぶりに堪えられず、ブリュアンに雇って欲しいと
泣き付くアナトール・・・可笑しいやら気の毒やら(笑)。
すっかりオルガに遊ばれている。頑張れアナトール!

伯爵たちが去ると見なれない軍服の男が店に来る・・・
帽子を取った男はアポリネール。
驚くブリュアンたちに【今度は戦場での詩を書いてみたくなった】
そう告げる彼の表情は穏やかで清清しく感じる。
暗い別れを好まない彼らは、最後まで和やかにシニカルに対する。

ますます店を閉めるワケにはいかなくなったなと話すブリュアン。
最初から仲間の帰りを待つつもりだったであろうその表情は
嬉しそうに見えました。エドモンとロロットも歓喜をあげて喜ぶ。
そこへ思いつめたような表情のアデルが訪れる。
フレデ親爺は事情を察し、二人を残してキッチンへ向う。
アデルが言葉を発する前に、炎の詩人は語りだす・・・

自身家の炎の詩人もアデルを見た瞬間は失恋した相手を見るような
表情でしたが、不安そうな緊張した彼女の様子に対して【背中を
押してやらなくちゃ】っていうか、包み込んでやりたいっていう
感情が自然にでてきたように思えます。
いつもの口調で語るブリュアンを前に、なかなかリラックスできない
アデル・・・でも大きな声で彼の決り文句に反応するうちに
だんだんと落着いてくると、歌うその姿をじっと見つめて追う。
そして、とうとうアデルは思いつめていた気持ちを爆発させる・・・

【でも、やっぱり、あなたが好き】
どんな状況であっても夢見る事と愛する事は万人に与えられたもの、
っていうブリュアンの言葉がやっとアデルに通じた瞬間なのかなぁと。
心が病んでる、心が貧乏っていうのは何事も前向きには考えられない
状態で、アデルは詐欺行為をしていた上に身分違いの恋という現実に
押しつぶされてしまっていたから、物事を明るく考えることが
できなかったのでしょう。でもドア越しに聴いた歌はアデルの心に
とても大きな勇気を与えてくれた・・・きっとあの夜以降、
アデルは少しずつ自分の気持ちに正直になっていったのだろうと。
そこにはクロディーヌの無言の励ましもあったのではないかと・・・
クロディーヌってアデルよりも大人な部分があるから、
言葉ではなくて見守ることで励ましているような気がするんです。
どう言葉で言ってあげても結局は自分で乗り越えるしかない、
っていうのを分かっていると思うので・・・
クロディーヌのキャラってそんな感じだとu-tsuは思う。

好きっていう言葉を聞いたブリュアンはすごく照れくさそう(^^)。
帽子で表情はよく見えないけど、ブリュアンは自分で想いを告げるより
告げられるのが苦手っていう感じがしません?
俺様はなぁ〜なんてふんぞり返っている人に限って照れ屋ですもん。
誉められても冗談めかしてやりすごしちゃうし(笑)。
こういう人ってすごくデリケートなんですよねぇ。
だからブリュアンもホントはめちゃ嬉しいのに、冷静に装っている。
間違いないっ。と思うんだが・・・はて?

【俺の隣にお前がいたら・・・完璧だ】
言われてみたいよなぁ〜そんなことっ(^0^)。
もう、ここはその思いに尽きます、ハイ。

で、閉まりかけた緞帳が止まり登場人物達の大団円で終る場面。
【俺達の歌が聴きたいか〜!】で歓声が上がるから歌って終りなんだ
と思っていたら歌わない・・・ブリュアンがアデルを抱きしめ
みんなが歓声上げて幕・・・なんだよコリャっ?!とフリーズなu-tsu。
は?えっ終りなのっ?!?わざわざ幕を上げたのは何の為っ?!
意味ワカンナイ・・・歌えよっ(怒)!と思ってしまったですよ。
大団円は嫌いじゃないけど、こんな中途ハンパなら違う終わり方に
してくれっていう思いが強かった・・・
なんでこんなまとめにしちゃったんだか、全く考えがワカリマセンっ。
【終り良ければ全て良し】っていうのに、その終りが全然ダメじゃんっ。
良い場面だってあるのに、最後にあれだもんなぁ・・・
観慣れたら気にならなくなるものかもしれないけど、
ちょっと考え無さすぎなんじゃないのかなぁ、センセイっ。
珍しく死人が出ないと思ったら最後がねぇ・・・(苦笑)。

ただでさえ12場のラパン・アジルあたりから時計を気にしていた
くらい退屈になり始めたu-tsuなのに、このラストで不満は爆発。
終って暫らくはムカムカしちゃってイヤな気分でした。
芝居もショーも長く感じた作品は珍しいですよ(苦笑)。
好きな人が出ていて、何故そんな気持ちにならなくちゃいけないのか
と、ホント、もう勘弁してくださいっm(_)m状態・・・
現在は落着いてきましたが、思い出すと腹立たしい(苦笑)。




と、初見の感想はこんな感じでしょうか。
ツボな場面もありますが、全体的にはどーしよーもないという
気持ちが大きいかなぁ。年間10作以上の作品がほぼオリジナルで
創られるワケなので、こんなのもあって当り前って気はします。
でも印象深い場面がないのはどうなんでしょうねぇ。
なんか中途ハンパ感が目立って、違和感残る感じです。

2回目以降の観劇で、どれだけ消化できるか?
星のみんなが楽しんで頑張っているだけに、余計にツライ・・・
ただ不満をぶつけるだけでなく、楽しめるよう観客の努力も
必要なのかもしれないですね(ーー;






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