ベルサイユのばら
−フェルゼンとマリー・アントワネット編−

2005.9.30 さいたま公演



期待半分、不安半分で行ってまいりました全ツさいたま〜
今回、1階の後方席にもかかわらず、あえてオペラは持参しませんでした。
少ない人数ながらも、とにかく舞台全体を観たかったのと、苦手なベルばらの
何か良い部分を見つけられるものならという考えがあったので・・・
結果は・・・まぁ、あまり良いものではないんですけど(苦笑)
とりあえず、お芝居の感想から参りましょ。




懐かしの鐘の音が鳴り出すと、わたるくんのアナウンスが・・・
その間中ずっと鐘の音が鳴ってて、しょっぱなからしつこい演出に苦笑(ーー;
そして音楽が流れ幕が上がると小公子とバラの少年少女が板付登場。
あぁとうとう始まっちゃったか・・・と、憂鬱なu-tsu(苦笑)もう、どうしようもないね。
印象としては小公子のしゅんくん、遠目からでもなかなか可愛らしくて似合ってた。
声も透明感あってキレイだったかな。歌はまぁ歌えるかってくらいなので、これから頑張って
ほしい。去年の李亀年も良かったし、これから一歩一歩力をつけてステキな男役に成長して
ほしい人です。本公演で小公子が何人になるかは分りませんが、メンバーの1人にしゅんくんが
入っていて欲しいなぁと。そう思えるくらい配役に適していたと思う。

そしていよいフェルゼン様の登場・・・どーしてピンクなのっ?!なんでピンクっ?ピンクかよっ?
後姿が観えた途端、ものすごいショックだった(苦笑)だから、ベルばらって(T‐T)なu-tsu。
振向いたわたるくんを観た時はメチャ上機嫌になったけど・・・ステファンを抱くわたるくんを、
あぁフェルゼンだなぁって思った(^^)やっぱあの人形持って登場するとフェルゼンって感じだね。
でも去年行った宝塚展で実物見たら不気味に感じてしまって、以来あの人形苦手・・・
ここの衣装だけはどーしても意義ありなんだけど、それ以外はわたるくんフェルゼン良いですっ掴みはO.K!
わたるくんに生まれながらの貴族っていう設定は正直合わないんじゃないかと思っていたんだけど、
振向いたのは誰あろうフェルゼン。おお〜こんなわたるくんにお会いできようとわっ♪と静かに興奮。
歌いだした『愛の面影』、あの曲って結構音域が広い印象があるんですけど、出だしからしっかりとした
声で安定感があった。u-tsuベルばら自体は好きじゃないけど、使われている曲なんかは好きなものが
あったりして、この曲も好きなんです。で、今までは『愛の面影』といえば大浦フェルゼンだったんですが、
これからは愛の面影=わたるフェルゼンという公式が、u-tsuの中では成立するんじゃないかと。
それくらい、この場面でフェルゼンという役を印象付けてくれたわたるくんです(^^)。

そして、大きな花カゴのセットの上にアントワネット様が登場〜これ懐かしいセットだった。
2001年版の星公演でアントワネットとフェルゼンが、赤い衣装を身にまとって寄り添っていたセット・・・
あの時は星奈ゆりちゃんととうこさんだったっけねぇ。u-tsuは2列目で見上げていたので、セットが
花カゴってことに気づくのが場面終わったあたりだった(苦笑)今回は後方だったので、よく形も分ったし
雰囲気も伝わってきて、意外と小さいセットなんだということに気づきました。他に特別なセットも無く、
ただバラのモチーフのセットが2、3あるだけなのでそう感じたのかもしれませんが・・・
で、アントワネットですが、「あぁなかなかキレイだな」というのが第一印象。今回のような豪華な衣装に
負けない華やかさのある子なんだなと。堂々としていて、しっかりとしているなぁと感じましたね。
でも特に振付があるワケでもなく、ただリズムをとっているだけなので、なんかそこにいる意味がよく
伝わってこない(苦笑)これはもう演出の責任で、となみちゃんは何も悪くないんだけどね。
セリもないから一度セットの上に上がったら場面転換になるまでそのまま待機って感じで・・・
何か振りがあるなり、セットを下りて絡みがあるなり何かしら演出に工夫が欲しかったな。
いつか何かする、踊りやなんかのアクションがあるんだろうと思ってたのに、ただ居るだけ(苦笑)
ある意味、意外すぎる演出だった・・・



そしてフェルゼンの回想から物語が進んでいきますが、この流れはナツメさん時代の花バージョンと同じ。
説明台詞は今回の方が長いですね。フェルゼンとアントワネットの運命的な出逢い、仮面舞踏会・・・
毬乃ゆいさんが歌う♪ああ パリの夜〜♪u-tsuの中では、この曲=花の歌姫、峰丘奈知という図式でしたが、
毬乃さんも上手ですね(^^)聴き惚れてしまいましたよ。この人が全ツ組で良かった。
仮面舞踏会ということで、以前は手で持つタイプの目元だけの仮面を使用していましたが、この全ツでは
なんと、鉄仮面のようなちょっと不気味な仮面だった・・・しかも男女とも。輪っかのドレスに鉄仮面・・・
ホントは鉄仮面ではなく、普通の仮面なんですけど、遠目からはどう見ても鉄仮面で不気味だったのよね。
ヘンなのぉと思いつつ、そんな演出もイイかもねと。異国のフェルゼンを遠巻きにしながら相手にしない
パリの人々・・・そのしきたりに厳しいというか、国のマナーを重んじるが故の冷たさみたいなものは表現
できていたんじゃないかなと思いますよ。フェルゼンの不安や孤独さが増すし、そんな中で出逢った
アントワネットの優しさが実感できるし。不気味だけど良い演出じゃないかな、うん。
それにしてもアントワネットの仮面は妙にゴテゴテしてて趣味悪っ。て思ったのはu-tsuだけでしょうか?
原作なんかドレスも仮面ももっとシンプルだったのにねぇ。それでもアントワネットの瑞々しい美しさは
際立っていたというのに・・・舞台ではハッキリと分るデザインじゃなきゃダメなんですかねぇ?

フェルゼンが正体を知らずに声をかけると嬉しそうに応えるアントワネット。
となみちゃんは世間知らずの少女のような感じが良かったかな。単に異国の若者に興味を惹かれて応えた
はずが、それが後に忘れられない最愛の人との出逢いになるなんて想像もしなかったアントワネット。
ここで2人が踊ることによって、お互いに惹かれていく過程が少しは伝わりやすくなっているのじゃないかと。
それも「無礼者!」という声に邪魔されてしまいますが(苦笑)これはu-tsu的にいただけない演出です。
原作通りでイイじゃないかと思うのに。お忍びで来ているのに、あんな風に演奏を止めてまで割って入ると
周囲に注目されちゃうじゃん。王太子妃の護衛をしているなら、周囲にそれと分らないよう護衛するのが
役目なんじゃないの、オスカル?それにお忍びで来た王太子妃と知らずに踊ったら罪になってしまうのか?
そんなのってアリ?なんか変だよこの演出。フェルゼンはそんなに悪いことしてないのにねぇ。

無礼を謝罪するフェルゼンを、なんと潔い男なんだと評するオスカル、涼くん。遠目からは良いビジュアル。
スラっとしてて、軍服もブロンドの髪も合っているんじゃないですか?でもお忍び護衛の割りに、赤い軍服
なんて、ずいぶんハデですよね(笑)u-tsuが舞台のベルばら苦手な理由の一つが、やたら女らしいオスカル。
中でも台詞回しが特に嫌いです。原作読んでると、貴族の品は感じられても女性らしい部分はあまり漂って
こないですよね。もちろん、フェルゼンに対する気持ちや仕種からはそれらしいところはありますが・・・
でも台詞は活字で読んでいるだけのせいか、実際に喋られるとどうしても違和感があって馴染めないんですよ。
宝塚版オスカルの台詞回しを思い浮かべながら原作を読むと、更に違和感増します。キレイに品良くっていう
のが宝塚版オスカルなのかもしれないけど、それってホントにオスカルなのか?と疑問に感じるところ。
原作のオスカルが持つ強さや信念が感じられなければ、それはオスカルじゃなくてただの男装の麗人なんじゃ?
ま、それは今回に限らずで、u-tsuが観た平成版全てに云えることなんですけど・・・



夜、王宮の庭園でフェルゼンを待つアントワネット。ここのとなみちゃん、束の間の自由を得た王妃という
風情が良かったな。ただ立っているだけで絵になる容姿ってことは分かっていたけど、大人になりフェルゼン
との道ならぬ恋を重ね、王妃と1人の女性と母親としての複雑な感情を持ち合わせて過すアントワネットを
どう表現するのか。そもそもそんな大役できるのか?と心配な気持ちがありましたが、なんの、堂々としっとり
とアントワネットを演じていたと感じます。オスカルに限らず台詞回しに特徴がある作品ですが、アントワネット
は気持ちスローテンポでいいのじゃないかと。あまり間延びすると不自然ですが、王妃であり母親でありながらも
フェルゼンとの恋を諦めることができない、未だ少女のような気持ちの方が大きい世間知らずなアントワネット。
だからこそ、通常公演のような喋り方では逆にアントワネットではなくなるような気がします。
ここの台詞はかなり長いので最後の方になるとだんだん飽きてくるんですけど(苦笑)・・・でもそんな長台詞も
よく頑張っているというよりは、自然に言えている、その努力に感心します。
ただ、『花盗人はあなたなのよ〜』の件、あそこの台詞はサラっと流してほしくなかった。

フェルゼンが現れるとこの場面は更に良くなります。舞台が回るとか、小舟に乗るとか、セットが動くとか
いつもなら華やかな演出があるこの場面。専用劇場じゃないからそんな演出は今回はないけど、それでも
見劣りしない。わたるくんととなみちゃんの踊りも良かったし、バラの精もキレイで素敵な幻想場面でした。
ただ舞台が狭いのとバラのセットが小さいということもあって、バランスに若干、難はありましたが・・・


王宮の廊下では平民が暴動を起こしたと、オスカルとジェローデルがプロバンス伯爵とブイエ将軍に報告。
さすがの貫禄はにしき愛さんと紫蘭ますみさん。お2人が登場した時、思わず青天姿が浮かんでしまった(苦笑)
なんとなく前回公演が抜けきっていないのか・・・小公子だったしゅんくんはジェローデルに変身。
うーん、まだあどけなさが残りすぎてて似合っていないかなぁ。カツラも合ってない感じだし・・・この時の
ジェローデルの印象はこんなもんしかない(苦笑)ルイの大真みらんくん、なかなか貫禄ありますね。
ルイといえば、緊張感ないのか自分の責務を分っていないのか頼りない国王という印象が原作読んでからあり
ますが、みらんくんのルイはどちらかといえば賢そうな感じがします。革命という言葉を聞いて、持っていた
錠前を落として暗転してしまいますが、その後テキパキと指示を出しているんじゃないか?って気がするのよね。
全ツ版の配役なので歴代のルイと比べると若いからなのかもしれませんが、でも普通はこれでいいんだよね。
アントワネットとの年齢差だって2歳くらいでしょ確か?だから組長クラスの上級生じゃなくて、こういう学年の
配役でイイと思うんだよね。原作読んでいる人間からしたら今回の方が自然だもん。


いきなり、メルシー伯がフェルゼンの屋敷を訪問・・・原作じゃオスカルが行くんだよね、この場面。
なんでメルシー伯なのかものすごい疑問なんだ。いや、史実に基づいて云えば、メルシー伯が行った可能性は
なきにしもあらず、なんだけどね。でもベルばらを上演する以上、どうせこの場面を入れるならオスカルに
行って欲しいとu-tsuは思うのよ。だってメルシー伯ってアントワネットのことを考えているようで、実は大した
ことしてないって気がして、なんで宝塚版だと重要な場面と思しきことを担うのだろうと解せないんだよね。
それよりも、フェルゼンへの感情をひたすら隠し、アントワネットの為に今は国へ帰ってくれと押し問答する
オスカルとフェルゼンのやり取りの方がベルばららしい気がする。宝塚版はオスカルのフェルゼンへの気持ちって
いうのが上手く表現できていないから、「え?そうだったの?知らなかったよ」な噂話的なノリになりがちで。
なので、ここでのやり取りでオスカルの気持ちがちょっと表にでる様子が見れたらイイなと、あくまで願望。

ここで歌われるフェルゼンの苦悩・・・短く簡素な歌ですが、歌う中で徐々に決心をつけていく心情は
伝わってきやすいかも。しかも吉田先生作曲なので、他のベルばら曲と違ってあまり濃くないのがイイ(苦笑)。



再び王宮の庭園。アンドレがいよいよ登場。しいちゃん、ビジュアルはアンドレにぴたりと嵌っていたね。
でも全体的には意外にアンドレ役者じゃないのかも・・・と感じた。いつも笑顔で明るいしいちゃんだから
オスカルの影になりつつも強さのあるアンドレが似合うだろうと想像していたんですけど、実際観たら印象が
ちょっと違うかな。今まで舞台から感じていた包容力が感じられないというか・・・
なんだろなぁ・・・気のせいか?ハッキリとは分らないんだけど、こんな印象は意外だったです。

で、ついに決意したフェルゼンが軍服に身を包み、アントワネットに別れを告げる・・・
いよっ!待ってましたぁ〜軍服っ!ちょっと薄めのグリーンの軍服、良くお似合いでっす(^ー^)
今回は帽子を持っていないんですね。この場面は大体、帽子を持っていることが多かったはずなんだけど・・・
わたるくんの軍服姿なんて何年振りですかねぇ?やっぱ前回のベルばら以来?いや、アシュレも軍服だったね。
でもカッコよさは全然違うわ〜♪キャラによってお衣装の印象も変わってくるものですね。
ここのフェルゼン、心を鬼にしてっていうか、アントワネットに気持ちの揺るぎを見せないよう耐えて去って
行くのに、暫く後にまた再登場するんだよね・・・なんでなの(苦笑)?あれすごく余計なんだけど。
再びフェル様出てきた時は「まだいたのかよっ」って密かにツッコミ入れたもん。あれは不自然だよね〜。

アントワネットも、何度もフェル様の後を追おうとしてるんだけど、その度にオスカルが引き留めて、なんだか
しつこい演出。追いかけるなら行けばイイのに・・・とちょっとイライラしちゃった。オスカルが同じ言葉を
続けるので、なんか間延びした印象だったし。それにフェル様が再び登場して、オスカルの気持ちに気付くって
のも不自然。今回の場合は気付く必要はないように思うんだけどな。今宵一夜もバスティーユもないんだもん、
無理にそんな場面を入れる必要性は感じない。ただ来年の本公演でもオスカルの気持ちに気付く場面は入ると
思うから、その場合は自然の成り行きで分るようにして欲しいですね。こんなやり方じゃ観てても疑問や違和感
ばかり感じて印象が悪い。宝塚版ベルばらが苦手な理由には、不自然な場面展開というのもあるんですよ。
あまりに原作から変わり過ぎてついていけない・・・変わってもより良くなっていればいいけど、実際はそんな
ことないんですから(苦笑)。役者がどんなに頑張っても補え切れないことがあるってことに気付いてほしいね。

この場面でね、オスカルって気の毒だなぁって思ったことがありました。先ほどはブイ将軍に男の気持ちも
分らないとか言われ、今度はアントワネットに女性の気持ちが分らないと言われ・・・女にも男にもなれていない
オスカルの存在価値って何なんだろう?と。好きでこんな人生を歩んできたワケじゃないのに、そんな言われ方って
あんまりだよねぇ。オスカルは何時だって国のため王妃のために行動してきたのに、自分の意見や気持ちに反対
したからってアントワネットもヒドイ仕打ちだよ。なんて我がまま王妃なんだ!って原作でも思ったけど、この
場面観ててもやっぱりそう思った。でもオスカルも、もう少しアントワネットの気持ちを察してもいいかも。
もうこの人たちはお互い様って気もするね(苦笑)お互いに歩み寄ってよって感じするわ・・・


今までベルばらというわりに暗い場面が続いていましたが、ここで一気に明るくなりました。
そうです、かしましいご婦人方の登場です。わたくしのフェルゼン〜♪ってのを聞いた時には相変わらず
進歩のない場面だと思ったんですけど、歌が始まった時には今までよりはかなりマシになったと思った。
もちろん歌に行くまでのしつこさはあるんだけど、オスカルと戯れることもなく、人数も少なくて今までより
数段イイと思う。できれば本公演もこれくらいでいってくれると嬉しいんだが・・・

ここで再びアンドレ登場。うーんやっぱビジュアルはアンドレだと思う。でもどこか・・・アンドレっぽくない。
たぶん、オスカル一直線という気持ちが表に出すぎなんじゃないかと・・・アンドレって包容力でもって自分の
気持ちすら包み込んでいるような感じがするんだけど、しいちゃんの場合、一途さまで前面に出てしまっている
から本来のアンドレとは違う印象を受けるのかも?台詞も一本調子な部分があったりするので余計に・・・
でもたった2場面だけの出番で表現するのは大変ですよね。そんな中でよく頑張ったと思えるしいちゃんです。

この場面でまたしても変だなぁと思うのは、アンドレがフェルゼンを引き止めオスカルに会ってくれという件。
もうすでに2人は別れを告げたはずなのにねぇ(苦笑)アンドレは知らなかったのかしら?なんか無理に加えた
ような気がして・・・別にオスカルのことは出さなくて、アンドレとフェルゼンの別れだけで進めればいいのに。
どうせ省エネ版なんだもん、全場面一新してくれたって構わないのよね。ホント、構成の仕方に工夫がない・・・



そして一気に時間が流れ、舞台はスウェーデン・・・フェルゼンの屋敷。
またずいぶんと飛んだなぁと思いながら、半分諦め気味のu-tsu(苦笑)。もうここまでくると間隔もマヒ・・・
万里さん演じるシモーヌはフェルゼンの姉。そうか、省エネ版は姉ですか。u-tsu的には妹設定のほうが好みなん
だけど。でもわたるフェルゼンの場合は諭しながら見守ってくれるお姉さんの方が合うかも。
だけどフェル様、「お姉さま」って呼ぶのはヤメテ・・・わたるくんには似合わない(ーー;
姉妹同士ならいいけど、男ですからやっぱり「姉上」の方がしっくりくると思うんだけど・・・なんでお姉さま?

そしてオスカルの死についても、「死にました」っていう台詞はいただけない。せめて「亡くなりました」に
変更してくれないだろうか?すぐに「戦死した」という言葉も使われているんだけど、それなら最初からその言葉
に統一してくれって思う。ジェローデルってオスカルを想っていたはずで、元隊長っていう点でも尊敬していた
はずなのに、バスティーユでのあの壮絶な戦いの末の結果を伝える第一声が「死にました」って・・・
なんか場がシラけてしまう。これはずっと疑問に思っていたことなんですけどね。デリカシーに欠けるっていうか。
様式美に拘るのがベルばらなら、台詞回しや台詞そのものの響きにも気を使ってくれよって思うわ。

ジェローデルの第一印象は似合わないだったけど、やっぱりここで観ててもジェローデルって感じしない。
あまりに可愛らしすぎる。急を要するような切羽詰った緊張感も感じられず、しゅんくんの頑張りは認めるものの
ジェローデルとしては物足りなさが目立つかな。でも良い経験にはなったと思う。


パリへ行く為、スウェーデン国王の祝賀際へ出向き脱出を試みるフェルゼン・・・この場面すごく印象的だった
ので、今回入ってて嬉しかった〜(^^)フェルゼン編だから当然なのかもしれないけど、これがあると無いじゃ
緊迫感もフェルゼンの生きる価値も大きく違ってくるってもんですよ。舞台が狭い上に貴族の人数の方が多くて
兵士の数が少ないからちょっと迫力減るけど、これは次回の本公演でも是非に入れて欲しい場面です。
銀橋がないので客席を突っ切って行ったフェルゼンですが、その姿のカッコイイことったら(^▽^;
通路側のお客さんはみんな身を通路に乗り出して観てましたよ(笑)もちろんu-tsuもその1人ね・・・

すごく良い場面なんだけど、スウェーデン国王フェル様行かせちゃっていいんですかねぇ?
一国の王が愛の訴えに説得されちゃうのはどうかと思うけど・・・ま、ベルばらだからイイのかしら(^^)
以前は星原さんが演じていたグスタフ2世、今回は英真さんです。グスタフっていう名前から強そうなガッシリ
タイプの国王を想像したので星原さんはイメージだったんですけど、英真さんは静かな頼りなさそうな印象。
でもフェルゼンの言葉が徐々に気持ちを動かしていく様は見て取れました。きっと普段は分別ある国王なんだ
ろうけど、何時にも増してフェルゼンの言葉に気持ちが動かされたっていう感じがする。
自分が軽率にそういう行動を取れない立場なので、フェルゼンに思いを託すというか・・・フェルゼンを
信頼しているという気持ちも大きいんだろうと思うし。きっと良い関係を築いているからグスタフも自然と
あの言葉が出たんじゃないかなと・・・思うというよりは、そうあってほしいとの願望だけど。



そして牢獄・・・華やかなアントワネットはどこへやら、静かな疲れきった変わり果てた姿・・・
とても王妃には見えないけど、品や仕種は生まれ持ったものという感じが出ていた。
豪華なドレスじゃないのに、やっぱりキレイな子なんだなぁって思った。
ここで初めてロザリーとベルナールが登場。琴まりえちゃんはロザリーがよく合っている。
控えめなのに優しさと深い温かさがロザリーらしい。最後だけの出番で、なんだか取って付けたような印象も
あるんだけど、ベルばらには欠かせないキャラだと思う。とても良い雰囲気なので、出番がここだけってのは
勿体無いですね。本公演も是非彼女でお願いしたいな、ロザリーは。春風のような、というイメージに合ってる。

ベルナールは綺華れいくん。どちらかといえば中性的イメージが強いので、オスカルタイプかなぁと思ったんで
すが、なんのなんの、ベルナールも似合いますねぇ。後方席なんで細かい点まではよく確認できないんですけど、
美丈夫なベルナールという感じでしたよ。もう少し、ロザリーとの色んな場面を観てみたかったな。

アントワネットを救出に来たフェルゼンとの別れの場面は良かったなぁ。アントワネットは2度と会うことないと
思っていたフェルゼンを見て、驚きと共にすごく嬉しそうな笑顔になるんですけど、それが何とも幸せそうで。
もう役がどうってより、その初々しさに釘付けって感じ(^^)逆にフェルゼンは拒まれたことで気持ちが
絶望へ向かって、耐えるのが精一杯というのが見てて痛々しいというか・・・お互いが命がけだから余計に
辛いよね。アントワネットは自身を人形と言っていたけど、最後は自分自身で道を選べるまでに強くなったんだな
っていう風に思える。彼女をそう変えたのは、やっぱりフェルゼンの深い愛情なんだろうと・・・
もう少し、アントワネットの心情を察してくれる人が側に居たら、こんな結末にはならなかっただろうになぁ。

せっかく感動のラストなのに、なんだか演出イマイチだなって思った。階段を上るアントワネットの後姿は良い。
それを追いすがるように見つめるフェルゼンも良い。でも本来ならセリ下がるフェルゼンがずっと舞台上にいるな
ら、何か動きがないと間が持たないよ(苦笑)大階段も無い、セリも無い劇場なんだからさ、幕が閉まりきるまで
何のアクションもないなんて・・・次第に感動も薄れていくってもんです。あのラストは花組版、星組版共に
好きだった場面なんですよ。だから今回わたるくんで観れたことも嬉しかったんです。それだけに、あの間延び
したような印象になってしまったことが残念でねぇ。最後の最後はアントワネットだけでもいいと思うんだけど、
やっぱり幕切れまでフェルゼンがいなくちゃいけないのかなぁ?そりゃぁ、最後までわたるくんが観れるってのが
理想だけど、流れによっては変更も仕方ないんじゃないのか?なんか、変に気持ちが途切れたラストだった・・・



全体的な感想としては、原作をよ〜く知っている人にとってはスマートな印象のベルばらでしたが、
知らない人にとっては「なんだこりゃ?」なベルばらじゃないでしょーか(苦笑)。
これはベルばらなのか?ってくらい省エネしすぎ・・・確かにフェルゼン編を基によりフェルゼン視点にまとめて
いるんだけど、それをやるとあまりに省かれる部分が多すぎて話の筋が分らなくなってくる。
しかも1時間半に短縮ときては・・・なおさらだよね。1時間半のベルばらっていうことに関しては賛成だけど、
問題は場面選択とそのアレンジだなぁ。何を主題にどう見せるかっていうのが大事になってくると思うんだけど・・・
じゃ、u-tsuならどうする?って聞かれると正直困る(苦笑)だって、そもそも「ベルばら」って何ぞや?って
ことすら分ってないんだから(ーーゞ u-tsuにとって「ベルばら」は原作のみが「ベルばら」なんで・・・

フェルゼンとアントワネットに関しては、キレイな並びで素敵なコンビだなぁと。
わたるくんは力強い男らしいフェルゼン像で、フェルゼンの新たな一面を見せてくれたと思う。
愛情表現ってコレっていう答えがないので、こういうフェルゼンもありだなと。
となみちゃんは感情を押し隠しながら、王妃という重責を担うアントワネットをよく表現していたかな。
喜怒哀楽をストレートに出せる役ではなく、人形のように扱われ甘やかされ、結果全ての責任を科される女王と
いう難しい大役を堂々と演じている姿が立派だった。新コンビ誕生、とりあえず良いスタートじゃないかな。


これ、韓国にもって行くんだよねぇ・・・手直しなしだよねぇもちろん?大丈夫なのかなぁ。
韓国でもベルばらファンが多いってことだけど、こんなんで納得してくれるんだろうか?
話の急展開についてきてくれるんだろうか(苦笑)?ビジュアル的には、こんな輪っかのドレスが出てくる
舞台なんてあまりないだろうから喜んでくれるかもしれないけど・・・総合的に考えて、衣装しか印象に
残らなかったりしてね・・・セットももう少し大きいものや、場面にあったものを用意してほしいなぁ。
せっかく国外で上演するんだもん、演じる側にも観る側にも良い舞台になってほしいですから。
そのための努力は惜しまないでほしいと思うのよね、劇団に。
ま、チームワークの良さで、どんな舞台も成功させてくれると信じてますよ(^^)。


北海道の千秋楽まで、きっと進化し続けていくベルばらになってくれることでしょう!





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