ベルサイユのばら
−フェルゼンとマリー・アントワネット編−

2006.2.20 東京宝塚劇場



とうとう始まってしまったベルばら・・・
わたさんに会えるのはこの上なくメチャ幸せなのに、
2時間もあの世界に足を踏み入れるのかと思うと
どうしても溜息まじり(ーー;
まぁ、とりあえずu-tsuの初日雑感です


この日は初日から間もないのにビデオ撮りでした。長い間観劇しているわりに、u-tsuはこういう日に
当たったことが実はない。個人的にはこういう邪魔なものがある日は、知っていれば避けたいと思う方で・・・
なんとなくだけど、カメラとか入ってると普段の時よりも無意識に舞台が硬くなるような気がしてね。
ま、気のせいとは思うけど・・・

で、舞台ですが、例の鐘の音が響くと、u-tsuは一気に冷静モードになります(苦笑)これは条件反射らしい。
そしてこれまた例のごとく小公子、ばらの少女らが登場し♪ご覧なさい♪の大合唱・・・もうここで
居心地の悪さに襲われてしまい、ちょっとソワソワ気味。気休めにオペラグラスを覗いて1人ずつ見ていたのですが、
同じ衣装に同じ髪型なんで誰が誰やら検討もつかない状態・・・まるで宝塚初心者に戻ったみたい(笑)
どの公演も端から端までの顔を観ているはずなのに、髪型が同じだとみんなそっくりでワカラナイ。おそ松くん状態。
昔はちゃんと判別できたのに、最近の子は区別がつかない・・・顔面認識が衰えてきたのか?

セットはピンクを基調に、今回は原作者のイラストが使われていた。u-tsu、この絵からフェルゼンたちが登場するって
演出がとってもイヤでね。絵自体は昔の「誰だよコレ?」な絵とは違って本物だから若干マシなんだけど、演出自体が
いかにも少女漫画趣味すぎて受付けない。他では絶対に観れないだろう演出ではあるけどね。舞台版ベルばらを初めて
観る人にとっては、イラストから人物のイメージを持ちやすいのじゃないかとは思うけど・・・
まず、アントワネットの絵から王妃様登場。となみちゃん、お披露目にも関わらず貫禄十分で頼もしいよね。
歌声も聴きやすくてキレイだし。でもあの頭飾りにはビックリだ・・・大きな船が乗っている(笑)
あの当時はとんでもないものを髪に飾っていたとは聞いてるけど、ベルばらで実際に乗っけてしまったのは彼女が初めて
なんじゃなかろーか?笑うどころか、あっぱれだなぁ〜と思って観てたよ(^^)
で、大劇の役替りオスカルを東京ではとうこちゃんが。あまり金髪は似合わないと思っていたんだけど、これがまた
キレイに似合っていて意外。もともと体型が華奢で、オスカルの持つ繊細な雰囲気にはピタリと嵌ってる。
5年前のフェルゼンよりも断然良いんじゃないかと思える。最近のとうこちゃんの印象だと安禄山やらしゃのイメージが
強かったから、オスカルのような中性的な姿を観るとどれが安蘭けいの本質なのかが判らなくなるけど(苦笑)

そしていよいよフェルゼン様登場・・・それまでごく普通に観ていたのに、わたるくんの顔が見えた途端、なぜか音が
消えちゃったような感覚に陥って、ものすごい不安に襲われました。もちろん、実際に音が消えることはなく、歌声も
ちゃんと記憶してますが、自分だけ違う場所にいるというか・・・なんか夢の中で観劇している感じがして、すでに
わたるくんが卒業してしまったようにすごく寂しくなってきて、思わず泣き出しそうになってしまった。
ちょうど舞台姿を思い出しているような感覚とでもいいますか。過去を振り返るような感じっていうか・・・
なので、プロローグはフェルゼン登場までしか覚えていない(ーーゞ ただひたすらボーっと観ていたとは思うが。
発表以降、ただ遅れないで付いていかなきゃ、ってことしか考えていなかったから、わたるくんの顔見たらなんかホッと
しちゃったのかウルウルきたらしい(苦笑) ウルウルきた瞬間は自分でもビックリで、おかげで泣くには至らなかったけど。

冷静さを取り戻したのはガラスの馬車を見たとき(笑)2階席だったので、馬の足元が丸見えで・・・一応白いフワフワした
布で機械は目隠しされているんだけど、あの幼稚な演出にはホント引いちゃうんだよねぇ。馬も貧相だしさぁ・・・
あれさえなければ喜んで受入れる演出なんだけどな。馬は動かなくていいから、せめてもう少し立派な馬に登場してほしい。
っていうか馬なんてわざわざいらないよねぇ。大体、ガラスの馬車を引く馬があんなんじゃイヤだし(苦笑)

そして入替わりに32歳のアントワネット登場。メルシー伯爵とのやりとりなど、王妃らしい風情が漂うとなみちゃん。
芳蓮の頃とはガラリと変わって驚きです。そして革命が起こったと知る国王ルイの驚きと共に場面はご婦人方登場へ・・・
あぁ、例外なく観なければいけないのねという重い気持ちのまま、フェルゼンとオスカルの応援合戦突入(苦笑)
わたるくんがご夫人方に囲まれて「木瓜の花のようでございます」なんて台詞を言う日が来るとは、ファンになってから
1度も考えたことはなかったんだよね実は・・・もうショックですよ(笑)好きじゃない演出だけに、観たくない場面だもん。
この日のモンゼット夫人は去り際にオスカルを見つめて「瞳が、あらんらん♪に輝いているざます〜」とご機嫌そう。
こんなアドリブを毎日考えるタキさん、大変だなぁと思う。大劇は5人だけど東京は1人だからねぇ。1人に対してどれくらいの
ネタが出てくるのか・・・先生には、こんな宿題出すよりもしっかり演出してくれと言いたいよね。

この後のフェルゼンとオスカルとのやりとりは、特に演出が変わったということもなく。ずっと変わり映えがないよね。
可もなく不可もなくっていう内容で。でも、フェルゼンの言う思慮や分別っていうのはあくまで自分の中での基準であって、
常識からいったらちょっとズレてるよなぁって思う。オスカルにとっては王妃のため、国のための忠告なんだけど、フェルゼン
には親友と言えどもそこまで言われたくないっていうヘンなプライドを感じてしまう。ここのフェルゼンってちょっとイヤな
奴だなぁって思うわ。王妃を愛して何が悪い?って思ってるようにも感じてしまいそうだし。恋に目がくらみすぎよね。

続くルイの散歩場面は新しく加わった箇所ですね。ここは原作でも似たような場面があって、読んでて気の毒だなぁって
感じたことがあった。気が小さくて引っ込み思案なルイにとって、アントワネットは夫婦でありながら手の届かない存在で
あったのかも・・・アントワネットもそうなんだけど、ルイもまた、ごく普通の人として生まれていたらより幸せな人生を送る
ことができたのじゃないかと。優しくて良い人ではあるけど、一国の王としては難ありの人だったよね。
そういうルイの本音が描かれるこの場面自体は好きなんだけど、演出にもう一工夫欲しかった気がする。
具体的にどうアレンジしていいものやら判りませんが、もうちょい物足りないんだなぁ・・・何が足りないんだ?
ルイに関してはいつも疑問なんだけど、なぜあんなに年寄りくさく演じるのだろうか?
王妃とは1歳しか違わないのに60歳くらいに老けて見える(苦笑)原作でさえあんなに老けてないよ。喋り方も老人だしさ。
しかも配役は絶対に組長あたりの上級生なんだよね。これは昔から気になってるし、変えて欲しい演出の1つでもある。
全ツでは確か大真みらんくんがルイで、若いその雰囲気がとても新鮮だったのが印象的で、こういうルイが観たかったと思えた。
国王という立場は精神的な苦労も多い地位とは思うけど、宝塚版のルイはやつれ過ぎって気がしてならない(笑)
もうちょっと若さがあっていいはずだし、容姿もふっくらしているほうがルイの人間性が出るような気がするんだけどなぁ。

そんな憐れにも思えるルイが去った後、密会するフェルゼンとアントワネットが船で登場・・・
ここが唯一、2人の幸福な時間として象徴される場面で、u-tsuは文句なくここは好きな場面ですね。
幻想的でキレイだし、恋人同士の語らいというロマンチックさが出てるし(^^)ただ狭い船の中であちこち動きすぎな
演出はあまりいただけませんが。船は揺れるので動きがぎこちなくなるのは仕方ないんですが、それが逆にうっとおしくもあり。
でもさ、ここで幻想のダンスがないのは残念だな。全ツのように入れて欲しかったんだ。ま船の上で踊るのは無理だけど・・・
この場面って、ルイの孤独が加わったことで、さらに罪深さが増したような感じがするよね。王室のしきたりに悩んで疑問を持って
いるのは王妃だけでないのに、自分だけが孤独で寂しいと感じているアントワネットは、それをフェルゼンとの愛で満たし、現実から
目を逸らそうとしている。フェルゼンも王妃と自分の愛だけに捕われて、夫であるルイの気持ちを尊重しようともしない。
とても幸せな2人を見ていると、そういう事実を忘れがちになってしまうけど、この密会はあってはならないことなんだよねぇ。
1人孤独をさまよう国王と、初めて知った愛に満たされる王妃・・・なんか、気の毒な運命だよなぁ。


オスカル、ブイエ将軍らの場面に続いてフェルゼンの邸。メルシー伯爵とのやりとりは、お互いに王妃を思いやってはいるものの、
どうも身勝手な内容と感じる。それでもフェルゼンは自分がどうすればより愛する人のためになるのかと苦悩する。そんな苦悩を
表現した「アン・ドゥ・トロワ」は簡単な歌詞ではあるけど、想いは明確に伝わってくる。これでフェルゼンの王妃に対する行動や
気持ちの行く先が、より理解しやすくなってきたと感じる。例え瞬間的にでもフェルゼンの苦悩が垣間見れるのと見れないのとでは
観る側の感情移入の度合いが違ってくると思うんだよね。だからそういう点で言えばこの歌が増えたのは大正解。
歌い出しから途中までは苦悩するフェルゼンが、曲の終盤には決意を固めているのが分るから、余計にその想いの深さを実感もする。
この曲はベルばらの中でも1番理解しやすい感情じゃないかと、今回観てて思った。

その曲に助けられ、庭園での王妃との別れは悲しみの増す内容になっているように感じた。王妃の1番好きな軍服姿のフェルゼンで
別れを告げる演出は、u-tsuは結構気に入ってたりする(^^; 大切な人と別れた時って、1番好きなシチュエーションでのその人が
特に印象深く残ったりしません?服装でも仕種とかでも。もちろん、選べないくらい沢山のそういう思い出ってあるけど、あえて
愛する人の気に入っている姿で登場したっていうトコロが、なんか好きなんだよね。そうさ、u-tsuは意外とロマンチストさ・・・

でもさ、すぐ後のオスカルとの別れは、何度観ても唐突な流れで納得いかない。オスカルはもちろんフェルゼンを想っているけど、
あの別れの惜しみ方で自分に気があったのかと理解できるものなんだろうか?あまりにも自意識過剰ってもんじゃないのか?
せっかく身を引く愛を選んだフェルゼンを大人の男や〜と評価した後にあれじゃ、前言撤回になる(苦笑)
別にムリしてこれに関する台詞や演出なんかはいらないと思うんだけどな。原作の方にもフェルゼンがオスカルの気持ちを知って
もう会えないと別れを告げた場面があるけど、その時とは状況が異なるんだよね。ただ、後にオスカルの死を知った時とかを考えると
気持ちに気付いてる方が、演出上ドラマ性が増すのかもしれないけど・・・うーん、どうなんだ?

そして2度目のご夫人方登場・・・もうお願いだからお引取り下さいって感じ(ーー; 新しく曲が加わることで新鮮さは増したけど、
そこに行くまでが長い。せめて半分で歌にいってもらえないもんでしょうか。無駄に思える台詞が多くて時間が勿体無いよぉ。
そりゃぁね、宮廷の夫人方の日常も入れるのは構いませんよ。女性が集まっての井戸端会議なんて、あんなもんだよねって気もするの。
息抜きする場面が必要ってことも分かる。だけど。だけど、なんだよねぇ(苦笑)言葉もないんだよ、どうしようもなく・・・

なんてご夫人方に溜息ついてると、今度はアンドレとジェローデルが登場。いきなり馴れ合ってるこの状況は何でしょう(苦笑)?
個人的にはやっぱりアンドレとジェローデルは睨み合っててほしいなぁと思うu-tsuなので、妙に意気投合してる2人には違和感が。

で、1幕ラストの大広間。セットは豪華で見応えありますね。やっとベルばらに相応しい場面だなぁと思った。
ここではアントワネット作曲の歌が新たに加わっていますが、でも別段なんてこともなかったような・・・初見の印象は(苦笑)
革命が起きている最中の別世界を表現できてはいると思いますけどね。そこへフェルゼンが帰国の挨拶をしに来るという新しい
演出。できれば全ツのような剣舞で走り去る演出がいいなぁ〜と思っていたんですけど、今回はまた違った内容でそれなりに
良い内容だったように思う。ただ、帰国の理由をしつこく追求するあたりは、ちょっと気に入らないなぁ。
フェルゼンの本音を聞き出すためには必要な流れなのかもしれないけど・・・でも、それによって今まで以上にオスカルや王妃に
対してのフェルゼンの気持ちっていうのが公にされて、それはそれで前進してるのかも。2人の女性を薔薇に例えるあたりは
作品には相応しい内容だし、キレイごとを並べ立てているように思える台詞にも、人を想う純粋な気持ちがきちんとあった。
優柔不断にも身勝手にも思えたフェルゼンの気持ちが、この時には懐の深さや大きさを増しているように感じられた。
愛されて、それ以上に愛したからこそ自分が去ることを決心できたのだろうとも思えるな。
ここに登場している人物それぞれが、フェルゼンの言葉や感情に呼応するように自然な体勢で聞き入っているのも良い。
細かい芝居がちゃんとあって、ベルサイユに集う人間としてきちんと成立してるよね。

バスティーユが最大の見所で終わる今までの1幕のラストと違って、フェルゼンとアントワネット編と銘打つに相応しい演出に
なっているんじゃないかと。とはいえ、フェルゼンと王妃の場面に関しては少なさも物足りなさもちょっと感じてるけど。
1幕2幕合わせても、二人の場面はたった3ヶ所だよ。u-tsu的には、お互いがどれほど想い合っているかというあたりを示す
場面がもうちょい欲しかったんだな。二人一緒の場面じゃなくてもいい。例えば原作にもあるけど、革命軍がベルサイユに向かって
進軍してきているという頃、アントワネットはオスカルに、今の自分は子供と女王の誇りのためだけに生きていると話すと、
なぜフェルゼンの為に生きていると言ってくれないのかと責めるオスカルとの場面とか。1度は帰国したフェルゼンが再びパリに
戻り、父の命令で結婚することになったとオスカルに話すと、愛してもいないのに結婚するのか?と問われ、では愛していれば
結婚できるというのか?と苦悩するフェルゼンの場面とか・・・せっかくオスカルが出てくるなら、もっと印象的な内容があっても
いいような気がするし。『王后陛下を愛してしまったと、どうして言える?!』と自分でも抑えられない気持ちをみせるあたり、
舞台でも是非演出してほしいと思うんですけど、なかなか叶いませんねぇ。削れるトコロを削って、こういうのを入れてほしいよ。

今回は幕が下りてもフェルゼンが銀橋を渡る。色んな決意を胸に秘め、真摯な様子でゆっくりと歩き去る・・・
演出的には良いと思うんだけど、u-tsuは幕が下りきるのと姿が消えるのが同じくらいのタイミングの方が好きだ。
とはいえ、凛々しくカッコイイわたるくんを長く観れるってのは良いことだね(^^)



2幕目は再び小公子小公女らの語りから、舞台をスウェーデンに移す。花祭りの踊りがあり、フェルゼン邸の庭・・・
浮かない表情で佇むフェルゼンを姉シモーヌが気にかける。何となく、弟よりも兄っていうほうがフェルゼンっぽいと思うのは
u-tsuだけだろうか?柚美さんは好きだけど、これは下級生に妹を演じて欲しかったと思うんだ。琴まりえちゃんや南海まりちゃん、
華美ゆうかちゃんなんかでもいいと思うのさ。それなのに、なんで姉になっちゃったんだかなぁ、残念だねぇ。

そこへ何故かジェローデルが登場して国王一家救出をフェルゼンに頼むんだけど、なーんか展開としてイマイチ(苦笑)
原作読んでてもこの2人って接点がないじゃない?それがいきなり他国の貴族にエライ大仕事を頼みに来るんだよ?何の疑問もなく
納得はできないでしょって感じ。ま、ジェローデルは近衛隊の人間だから全くお互いに面識がないワケじゃないだろうけど・・・
台詞から察するに、ずいぶんとよく知り合っているようだし。それにしたって舞台上で1度も絡みがないのに突然だからなぁ。
しかも自国の大問題に他国の人間を巻き込もうという場面だし。軽くは受入れられない状況でしょ(苦笑)

ジェローデルから状況を聞いたフェルゼンは、オスカルが戦死したと知り、ここで宝塚版ベルばら1番の見せ場ともいえる
バスティーユが始まる。新しいこの展開、良いですね。今まで2幕は盛り上がりに欠けるトコロがあったけど、バスティーユが
後半にくることでメリハリもついたって気がする。ただこの場面はジェローデルの回想ってことだから、今宵一夜から始まるのは
絶対にオカシイ(笑)まるでジェローデルもその場に居合わせたようじゃないか。いくらなんでもそりゃないでしょ。
宝塚的には絶対にこの場面は外せないってことなんだろうねぇ。でもあくまでフェルゼンとアントワネット編だから、それに
拘る必要もないんじゃないのかな?新しい演出は嬉しいんだけど、流れがオカシイことに気付いてほしいよ・・・
そしてここではベルナールとロザリーが初登場〜。原作から持つベルナールのイメージは好青年なんだけど、この日の柚木ベルナール
は元気さが表立ってまだまだ少年っていうか、青年の域には達していないような印象。ロザリーとの並びも夫婦というより兄妹だし。
なんかお堅い感じがするんだよね。陽月ロザリーも、どことなくロザリーらしさが欠けていた。今までのウメちゃんよりは、娘役
らしさが増したとは思うけど、ロザリーのふんわりした雰囲気は出せていないよね。これは全ツの琴まりえちゃんの方が嵌っていたの
じゃないかな?頑張りは伝わってくるし、今までの印象とずいぶん違ってるのも判るんだけどね。この先どう変化するかな?

バスティーユ前の橋の下でブイエ将軍を脅すオスカル、今まで観た中でも1番凛々しくてオスカルらしいと思った。女性ではあっても
男として育てられたなら、ああいう時は迫力が増すもんだよね。他の場面でのオスカルは女すぎてオスカルに思えなかったんだけど、
ここで初めてオスカルだ〜と実感した(^^)そうよ、オスカルはこうでなくっちゃね。

オスカルの戦死と同時に、ジェローデルがセリ上がり・・・再びフェルゼン邸の庭。オスカルの意思を受け継いで欲しいという
ジェローデルの言葉に心を決めるフェルゼンですが、u-tsuとしては、わたるくんらしいフェルゼンを観たいので、ここは何らかの
便りとかで状況を知ったフェルゼンが、自ら王妃の救出を決意して行動を起こすっていう演出にしてほしかったなと思うのよ。
一度は身を引いたけど、ただ遠くにいて愛する人の身を案じているだけではいられないっていう一途さと情熱をみせて欲しかった。
せっかくわたるくんが演じるのだから、そういうフェルゼン像で作っても良かったんじゃないかと思うし・・・
大体脚本から演出から原作とはずいぶん距離があるんだからさ、多少フェルゼンの性格が情熱を増しても問題はないでしょ(^^;



チュイルリー宮場面も新たな演出ですね。子供とのやりとり、国王とのやりとりは今までにもあったけど、そこに子供を取り上げ
られる王妃の悲劇が加わって、ドラマとして緊張感がUPしてます。セットや衣装もシンプルというよりは地味で暗いので、国王一家が
どんな生活を強いられていたのかが垣間見れる。子供と引き離された王妃の嘆きを、となみちゃんよく演じてたな。悲しみやだけで
なく惨めさなんかも伝わってきて、元の原因を忘れて思わず同情してしまう。一国の王妃が物のように扱われるのは衝撃的だよね。

国境近くでルイが処刑され、王妃が投獄されたのを知ったフェルゼン。せめて王妃だけでも助けてみせると馬車を駆ける・・・
初めて観た時は笑っちゃった場面だけど、u-tsuは結構お気に入りなんだ、ここ。たださぁ、背景の映像がイヤなんだけど(ーー;
再演のたびに映像がマシになってはいるようだけど、あれは無くても成り立つんじゃないの?せっかくの良い場面なのに、映像で
ちょっと引いちゃうよぉ。とはいえ、今回は映像の出来が意外にもキレイで、なんかゲームセンターの体感ゲームみたいだった(笑)
馬車を駆る体感ゲーム・・・あったらチャレンジしてみたいかも(^^ゞ ちょっと気になるのは馬車そのもので、どう見ても
フェルゼンが乗ってる所は御者台じゃないよねぇ?あれは馬車の中か?どうでもイイことなんだけど、馬車の作りが気になって・・・

牢獄で最期のときを待つアントワネット。髪は白く、美しかった容姿はやつれはて・・・いよいよお話のラスト場面。
ロザリーの優しい気遣いがうっとおしく感じるのはu-tsuだけだろうか(苦笑)食べたくも無いのに無理矢理スープをすすめるのはね。
ベルナールもせっかく作ったものだからと一緒になって言うし・・・こういう無理強いはキライなのよねぇ(笑)
最後の面会人、メルシー伯爵から大切なステファンを受取るアントワネット。それまで希望を忘れたような表情だったのが一気に
嬉しさを取り戻した瞬間。新たに死を決意した時、聴こえたのは自分を呼ぶ声。フェルゼンが立っていた・・・
この束の間の再会は、2人の苦悩を見てきた観客にとって胸にぐっとくる場面ですよね。何としてでも助け出したいフェルゼン。
母を捨てることも王妃を捨てることもできないアントワネット。彼女はある意味で女を捨てる決意をしたんですよね。
とても辛いし、できることならフェルゼンと共にどこまでも行きたかったでしょう。でも以前の自分と決別したアントワネットは
潔い死を選んだ・・・とu-tsuは感じる。ま、牢獄から脱出するのは容易くないから諦めもあったのかもしれないが(苦笑)

アントワネットの言葉を聞きながら切ない表情で我慢しているフェルゼンが、なんとも愛おしい。死なせてほしいと告げられて、
それまでの勢いや決意が消えてしまい、ただアントワネットを見つめるしかできない・・・ステファンを託され、死に向かうのを
止められずに立ち尽くす。処刑台に現れた歓声が聞こえると、小さく王妃の名をつぶやくフェルゼン。そして堪えきれずに叫ぶ、
『王妃様!』と。なんとも悲しいけどキレイな場面です。革命の原因の1つである女性だけど、同じ想いで結ばれていたフェルゼンに
とっては、それこそ半身をもぎ取られるような思いなのでしょう。歓声のあとに声にはならない声でつぶやくあたりは涙、涙です。
いやu-tsuは泣いてないけど(^^; でもって階段を上るアントワネットの後姿が、また悲しみをそそるよね。
この牢獄の演出は全体的に昔から良い出来だなぁと思う。地味で暗いけど、感動できるな。



で、いよいよフィナーレ。作品の中でu-tsuが1番楽しみなのはこのフィナーレよ(^^)だって本編は退屈感が・・・
ラインダンスに次いでフェルゼンとオスカルのデュエットなんだけど、東京オスカルのとうこちゃんは踊らない。
それなのにこのダンスを入れる価値はあるんだろうか?オスカルが踊らない「小雨降る径」なんて偽物だぁ〜っっ。
なんでなの?u-tsuはフェルゼンとオスカルで観たかったよ・・・(T‐T)

そのオスカルとうこちゃんは大劇と同じく薔薇のタンゴ・・・これは階段上の時は地味なんだけど、舞台に下りた後は
そりゃぁみんなカッコ良かった(^^)線が細いからどうかと思ったけど、とうこちゃんって、こういう男臭いのよくお似合い。
平成元年雪公演で杜さんが踊ったのも好きだったなぁ。どっちもオラオラ系で、カッコイイんだよね。

そしてフェルゼンとアントワネットのボレロ。濃厚で大人っぽい内容なんだけど、u-tsuは小雨のダンスの方が好き。
でもってここまでの3場面、立て続けだとクドイ(苦笑)どんなに良い場面でも、似たり寄ったりが続くと飽きちゃうよ。
ボレロか小雨のどちらかで良かったのに。変わりに違う曲を使って新しい演出入れて欲しかったなぁ。

ずっと叶わなかったショーでの燕尾群舞がやっと観れたオマージュ!なつめさんバージョンが好きなんだけど、2001年版の
オマージュも良い内容でとにかく嬉しかったっ!!この初見はオマージュを観に行ったと言っても過言じゃない(笑)
トップになったからには、燕尾でバリバリ踊るわたるくんを観ていたかったのに、そういう機会に恵まれず・・・
およそ3年も待たされてようやく巡ってきたという感じ。やっぱり良い、素敵ですっ、カッコイイよっ!
もうただただ見つめっぱなしで振りがどうとかってのは覚えてないけど、わたるくんのカッコイイ男っぷりだけはしっかりと
インプットしてきました(^^; ホント、褒め言葉なんてありきたりで、ピッタリの言葉が見つからない。
でも「湖月わたるの価値」ってのは、この場面に詰まっているなぁって改めて思ったu-tsuです♪



とまぁ、初見の感想、印象を全体的に順を追ってつぶやいてみました。
良くも悪くも宝塚のベルばらってトコロが満載なんだけど、それでも毎回何かしら新しい演出を試みようとする努力は見える。
そういう点は当然と思う反面、有難いとも思うんだ実は(苦笑) でもこちらが観たいと思うものとの距離がありすぎて、
素直に喜べなかったりするんだよね。じゃぁ自分で書いてみろと言われても、u-tsuの場合は好きな部分ばかりで構成して
しまうだろうから、それじゃ話として纏まらないしあり得ない物語になってしまうだろう・・・(ーーゞ
ホント、実話にしろ作り話にしろ、誰もが納得できる物語を作り上げるってのは難しいことだと思う。
もの書き人ってすごいよなぁと改めて考える今日この頃・・・


ここまでお付き合い下さり感謝、感謝ですっ m(_ _)m
次回観劇後は主要人物中心につぶやいてみたいと思います・・・え?こんな長文はもう読まない?
そうですねぇ、時間のムダかも(ーーゞ





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