ベルサイユのばら
−フェルゼンとマリー・アントワネット編−

2006.3.6 東京宝塚劇場



春一番が吹くなか、行ってまいりました2度目の観劇(^^)
この日は朝からアカデミー賞生中継を見ていて、なかなかテレビの前から離れられず・・・
しかも出かける間際までチケットを持ち忘れていて、危うくチケット無しで劇場入りするとこ(ーーゞ
ま、思ったよりも時間に余裕を持って到着できたので、キャトルで韓国DVDとベルばら特集本ゲット。
そして東京公演舞台写真も何枚か拾い、気分よく客席へ・・・この日は2階席上手より。

初日開けて2週間過ぎ。全体的に余裕があり、それぞれの役も熟してきた部分がよく出ていて、
今まで観たベルばら、舞台もTVも映像も、どの時よりも1番感情が動いた公演に感じた。
好き嫌い問わず、素直に『良かった』と思えて、なんか、u-tsu自身、すごい意外だった(笑)
なので、感じたことを色々とつぶやきたいんだけど、今回は人物の初見と2度目で感じた感想を主に・・・


トップバッターは、u-tsuが無条件で愛せる唯1人の人、わたるくん(^^)♪
今までにも大人な男性を演じてきたわたるくんですが、正直、フェルゼンはどうかと思ってた(苦笑)
どちらかといえば、紳士な懐の広さというよりは野生的な愛情の深さを表現するほうが、より魅力的で
違和感なく嵌ってるという印象が強いわたるくんなので、貴族でしかもベルばらのフェルゼンってのは
想定外だったんだよねぇ。いつもの公演とは違って動きや所作なんかも時代劇のような決まりがあるし。
役の感情で本能的に動いている姿に何より惹かれるので、どんなフェルゼンになるのかも想像不可だった。
でも、全ツでは今までのフェルゼンのイメージを180度変えたと言えるほど、一途さと強さが前面に出て、
わたるくんならではのフェルゼンが観れて嬉しかったんだ。その後、韓国、大劇と役をどんどん掘り下げて
いったと思われるわたるくん。東京では半年前より、色んな面で変化が見て取れます。

まず、より紳士的(笑)そして純粋さ強さ情熱度、さらに包容力の大きさ。役作りもわたるくんだから
こうなるんだ、っていうのが納得できる捕らえ方で、u-tsuの中では歴代1位のフェルゼンと思える(^^)
今までフェルゼンのイメージは優柔不断っていうのが強くあって、なんでこの人は帰国したり戻ったり
するんだろうと疑問で。演出のせいもあるんだけど、今まで苦悩や一途に想う強さとかが見えてこなくて
なんかフェルゼンも王妃のように勝手なヤツ〜なんて思ってたり。自分のことしか考えてないとか・・・
でも曲が増えたのと1幕ラストがあのような演出になったことで、今まで見えてこなかったフェルゼンの
感情がどのように変化したかってのがよくわかって、初めてフェルゼンってイイ男なんだなぁって思えた。
王妃のもとを去る行為は辛い決断だとしても、国王の愛情で本心を王妃に告げることができたのは
2人にとってとても意味あるものだし、だからこそ最後の最後まで、2人の愛が変わることはなくて・・・
イメージ的にわたるくんのフェルゼンなら、王妃を言いくるめて脱獄させてしまいそうだけど(苦笑)
それができなかったのは、後悔すると分っていても王妃への愛があったから。ホントに王妃一筋で、
全てが王妃の為というフェルゼンだから。それが今回観ててよく分った気がする。
そう思えるのも、わたるくんの体現するフェルゼンがホントに情熱的だったからだね。もう激情っての?
もちろん、抑えるとこは抑えてる。メリハリがあって、その時々でフェルゼンの感情が揺れているのが
伝わる。それプラス、u-tsuも年齢を重ねてきたから(笑)これ大事。だから想像でも感情が汲み取れて
今までと違う受取り方ができるのじゃないかとも思うんだよね。初めて原作読んだ時と、その後何回か
読み直した時とじゃ全然感じ方が違う。気付かなかったことに気付き、理解できなかったことを理解し。
長く再演を繰り返す作品は、演じる側だけでなく観る側にも新たな発見をさせてくれるようだね。

で、u-tsuお気に入りのフェルゼンというと・・・今回選べないほどに全部愛してるんだなぁ(^^)
どの場面の、どんなフェルゼンもみんな好き。でも強いて言うなら「馬車でGO!」から牢獄ラストかな。
王妃への想いが一気に爆発し、何者もフェルゼンを止められないという迫力があって、もしかしたら
このフェルゼンなら歴史を変えられるかも!なんて思えちゃう。とっても男らしい表情でステキだし♪
でもいざ王妃と再会したら助けを拒まれ、目の前真っ白なフェルゼン・・・王妃の言葉も聞こえてるか
どうか心配になっちゃうくらいショック受けてて、もう可哀相なのよ。でも愛の証なんて言われちゃうと
フェルゼンはどんなに心がボロボロになっても、王妃の気持ちを尊重ちゃって。ムリヤリさらっちゃえば
いいのに〜って思いつつ、そこで愛情を示せるフェルゼンはやっぱ男前だと思った、痛々しいけど(T-T)

余談だが、「お助けにまいりました」という言葉、「お迎えに〜」じゃダメなんだろうか?
あくまで救出という計画ではあるが、万が一、これが成功していたとして、その後フェルゼンは王妃と
共に生きようとは思っていなかったのかな?u-tsu的には、もう2度と王妃を離すまいという気持ちで彼女
のもとへ来て欲しいので、助けるというより迎えにいくというニュアンスのほうが好きなんだけど・・・
国外まで連れ出せたら、きっと身分を隠して過すつもりのような気もするし。だって他国に亡命したって
利用されるかフランスに戻されるかでしょ?そんな中に愛する人の身を置こうなんて考えないんじゃ?
それともどんな状況下でも死なれるよりは生きててほしいと思うんだろうか?うーん難しい・・・


ツボなのはラストに叫ぶ『王妃さま〜』のとこ。叫ぶ前に小さくつぶやくの。でもって感情が溢れ出し
それが表情で表現されて、悲痛な、追いすがるような叫びになって。今回、初めてベルばらで感動した
部分でもある。あとは軍服時の立ち姿とか後姿とか肩のラインとか。苦悩する表情も好きだなぁ(^^;
でも最大のツボというならショーの小雨。嘆きのフェルゼンからガラリと変わって、なんとも色気があるっ。
もうずーっとオペラから覗き込んでました。表情の1つひとつが妖艶で、ドキドキしちゃうんだよぉ。
なんかね、今まで以上に『大人な男』という印象が強かったよ。静かに、力強く相手をリードしながら
熱〜い眼差しで包み込む・・・u-tsuはオペラから覗き見状態だったんで、ヘンにテンション高くて
精神状態ちょっと普通じゃなかったかも(笑)初見は肉眼で観てる時間の方が長かったけど、今回は
オペラ中心だったんで、リアルに見える分、u-tsuの感情の動きは元気だったらしいね・・・
しかもあんなにセクシーなわたるくん観るの久々だったしねぇ。小雨観ちゃうとフェルゼンも霞んじゃう
気がするな。u-tsuはボレロなわたるくんよりも小雨なわたるくん派だね(^^)もうメロメロだぁ〜

オマージュ、黒燕尾群舞は文句なく良い。ホントに、わたるくんで観れてすごく嬉しい場面です。
どうしてもっと早く大階段での燕尾を入れてくれなかったのか・・・毎公演、似たり寄ったりのショー作品
ってのも困りものだけど、わたるくんがトップになってからはオーソドックスな作品がなかったよね。
どちらかというと毛色の違う、カラーの濃いものが多かったかな。しかも最後までそんな感じだし・・・
その内容に関しては良い部分もそうでない部分ももちろんあって、一概には作品を拒否も肯定もできない
けど、ファンとしてはやっぱり「これぞ男役!」っていう宝塚を象徴する黒燕尾群舞ってのを、好きな人で
観たいって気持ちが大きくて。それが全ツお披露目から約3年経ってやっと観れて、念願叶ったという感じ。

だからってワケでもないんだろうけど、この燕尾姿のわたるくん見てたら泣けてきたんだよね・・・
大体どんな作品観てもあまり涙したことないu-tsuなんだけど、なんだか知らずに泣いたらしい。
それもホントにポロっと一滴なんだけど、初見に続いてまたもビックリさ(苦笑)オマージュを観れて
嬉しいなかで、こんなに素敵なわたるくんに年内で会えなくなるのか・・・と、無意識に思ってしまった
らしい・・・実はあまり、その現実とは向き合っていないんだよねu-tsuってば。発表もしたし、仕方ないと
も思いつつ、どこかで忘れたいという気持ちもあるのは事実。意外と自分は後ろ向きなヤツなんだと気付き
ヘンに落込んでしまった(苦笑)なんとなく、メソメソしてる感じがあって、陰気くさくなってるかも(ーー;



今回、あら?と思ったことが1つ。フェルゼンのフィナーレパレードのお衣装が軍服になってたんだよね。
1幕ラストの軍服のようなんだけど、初見では宮廷服の印象が残っているんだが・・・気のせいかな?
大劇、東京どちらの舞台写真もフィナーレは宮廷服姿なんだよね。東京はこの2週間で衣装変更したのか?
それとも初日からか?でも、軍服で終えてくれるほうが嬉しかったりするのよね個人的には(^^)
あの軍服、よく見るとすごいキラキラと光って豪華〜。でもオペラで見てると結構眩しいのよね。

2階席で観てると、1階席では目にしない光景が色々と目につくもので、今回も何度かそういう事が・・・
初見ではバスティーユ場面でアンドレのいる橋の上に、ちょっと離れて裏方さんがずっと待機してるのを
目撃。あれは橋の手摺りとかが爆撃で崩壊する演出の為なんでしょうかねぇ?一応しゃがんで小さくなって
いるんですけど、どうも上からは丸見えで気になって気になって(笑)他には舞台袖で待機する人の影が
チラホラと上から見えたり。それも場面転換でカーテンを閉める裏方さんの動きが影で分るんだよね(笑)
あれさぁ、影は仕方ないけど、できるだけ裏方さんが見えないようにしてほしいと思うんだが・・・
演出家は2階の端席からの風景とかって確認しないのかなぁ?先生方、1度2階端席に座ってみてね。

今回は国王様が夜の散歩の最中、セット裏で黒いマントのようなものがばさっと広がり、何事かと思った。
しばらく黒い布が上から見えたままでしたが・・・国王様が袖に入ると、フェルゼンと王妃が小舟で登場。
どうも小舟の先端とそれに乗り込むフェルゼンたちが2階から見えないようにする為だったらしい(^^)
場面進行の順番を覚えていたら簡単に想像できたかもしれないけど、全くそんなの頭になかったから。
でも次観る時は、国王様を観ながら今頃お2人は密会の小舟に乗るのねぇ〜と楽しめるかも♪



観劇を振返りながら、いつも感想や雑感を書いているワケですが、今は韓国公演DVDをBGMにしてて
ふと思いました。フェルゼンっていうのは、ある意味、男役の集大成ともいえる役なんじゃないかと・・・
アンドレもとても深い愛情を必要とする役で、誰もが理想通りに演じれるワケじゃないから、そういう
意味ではフェルゼン同様に難しい役どころなんだろうけど、常にオスカルの側にいられるよね。
身分違いではあってもオスカルはそんなこと気にしちゃいなくて、寧ろ1番身近な存在と認識してる。

でもフェルゼンは身分違いどころか、愛したこと自体がもう罪になるワケで、しかもオスカルのように
王妃が身分を捨てることは絶対にできないし、そんなことは決してあり得ない。そういう行き先のない
愛を貫くということは、とても孤独だと思うし、何より意味の無いものに思える。でもフェルゼンは
あえてそれを選んでいる。時には感情のままに振舞い周囲から忠告を受けることもあるが、本質は
静かに相手を見守れる強い心と精神を持っている。また、苦悩しながらも身を引く潔さもある。
最愛の人の命を救うことはできなくても、本当の意味でその魂を救うことができて、その最期にも
ちゃんと向き合っている。フェルゼンはそういう大きな包容力を必要とする役だと思うんだけど、
それに値する技量でもって演じているわたるくん、ホントに素晴らしいと思えるんだ。

初見でよりも、2度目の観劇の後でそう強く感じたなぁ。ベルばらで初めて感動ってものを知ったのも
今回だったし。その理由の1つに、歌劇3月号に載ったベルばら出演の専科の方々の対談があって。
作り手よりも演じる側があそこまで言えるなら、ベルばらっていうのは名作、大作と思ってもいいかなと。
生徒の視点で語っているから、なんか安心して意見を受入れられるというか(笑)単純だけど(^^;
でも実際に迫力ある舞台を観たら、素直に『良いなぁ』って思えて、なんか嬉しかったんだよね。
どうしても受入れられない部分や、そう思う作品もあるにはあるんだけど、遠慮したいと思ってた
ベルばらで、良い方向に気持ちの変化があったのにビックリしつつ、でもそれもイイと思うんだ(苦笑)

そう思うのも、感じさせてくれたのも、わたるくん筆頭に星組のみなさんの熱演があったからだと。
これは実感した。ちょっと開き直りなトコもあるけど、でもホント(^^)頑張りがひしひし伝わるの。
所々噛み合ってないんだけど、そんなのは小さいことよね(笑)逆にあれぐらいの内容でいいんじゃない?
完璧!と納得いく作品なんて到底作れないだろうし、こうして再演の度に違う面が観れるってのも
時代を感じてそれなりにイイと思うし・・・って、次回観劇後はまた文句タラタラかもしれないが(ーーゞ


えぇっと。人物中心に書くはずですが、わたるくんから脱線していつの間にやらこんな状態・・・
なので、アントワネット以下の人物は後日ということで(苦笑)
一先ず、本日はココまで〜






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