花舞う長安

−玄宗と楊貴妃−

2004.11.29 13:30観劇 1F


待ちくたびれちゃったこの公演、やっとMy初日を迎えました。
が、しかし・・・いきなりの前列、しかも上手ブロックの真中という
とても微妙な座席のため、所々見え隠れするわ銀橋、若しくは
その付近でのお芝居は多いわで、初見にはキビシイ印象でした。
更に緊張が重なって、お芝居だけですごい疲労を感じました(ーー;

全体を見渡せない状況でしたが、とりあえず、レポってみましょう。



アナウンスが流れる前から、中華な曲が幻想的に聞こえてきました。
久々の逢瀬が前列ってことで、この時かなり緊張していたu-tsuは
目を閉じて聞き入っておりました。今思い出すと、あれは【花に誓う】でしたね。

幕が上がると石段が見え、その上には年老いた唐の6代皇帝の姿・・・
側には長年、皇帝に使えている皇帝の半身ともいえる高力士が控えている。
枯れ葉が音もなく舞い散るなか、冷たい雨が降り続く。
若かりし日、武力・政治力の才を揮って唐を繁栄させた玄宗皇帝。
でもそこに座している玄宗は力なく、弱弱しいただの老人にさえ思える風情。

老人という表現は大袈裟なのかもしれませんが、ほぼ真正面から皇帝を拝し
たu-tsuには一瞬、わたるくんじゃないように見えて・・・意外だったかも。
話し方も疲れきったような、未来ではなく過去ばかりを懐かしむ感じで、
今を生きていないという印象がありました。
こういう感じのわたるくんは滅多に観られないのではないかと、
そういう点で新鮮さはありましたね。意外とナマズじゃなかったし(^^;
楊貴妃を懐かしみ歌う玄宗を残し、静かに離れる高力士・・・
その後ろ姿からは皇帝に仕えた長い年月を思わせる哀愁のようなものを
感じます。高力士だって野望の一つや二つ抱えていたでしょう。
でもその気持ちの前提にはいつも皇帝の為にという忠実心があった。
だから玄宗の悲しみも苦しみも理解でき、こうして年老いた今でさえ
玄宗と共に歩むことも留まることもできるのだろうと・・・
そんな風に思える高力士の後ろ姿が印象的だったかな。

道士の登場はなかなか良いですね。煙だ〜っと思っていたら
その中からスーっと浮かび上がってくるという・・・前列だとセリが見えない
ので、結構、不思議な登場に見えました(^^)
仙人といえばイメージ的に重さを感じない、でも貫禄はあるという印象なの
ですが、英真さんの役作りはまさしくそれでしたね。

玄宗が仙人と共に煙の中へ消えていくと、過去へとお話しは戻り・・・
いきなり始まった4代皇帝の暗殺劇・・・・まったく、その場面にはついて
いけませんでした(苦笑)。何なの?何なの?ってキョロキョロしているうちに
玄宗が兵を率いてきて、謀反をした皇后らを捕らえちゃった〜って感じ。
しかも5代皇帝ではなく6代皇帝の即位を宣言しちゃって・・・ど〜なってるの?
5代目はドコ行っちゃったのよ?と、アタマの中は混乱気味(ーー;

でも踊っている玄宗様はとっても素敵♪だったので、そのお姿に混乱は
一先ず消えかけましたが・・・・その後の【花咲く長安の街】の時には、
なんでこんなトコロで女性に囲まれて踊っているんだ、玄宗?と再び混乱。
なんか、暗殺劇からこの能天気な長安までの時間、他の場面に使ってほしい
ような気がとってもしたu-tsuです。皇帝に即位したという場面を作りたいのな
ら、もう少し工夫がほしかったな。確かにあの暗殺劇がきっかけで功を得て
皇帝への道が近づいたのは確かですが、もう少し分かり易い方がイイと思う。
充分、単純で簡潔な場面にはなっているのでしょうけど、u-tsuはあの唐突さ
についていけなかったのよね・・・・早くも雲行きがアヤシイMy初日。
出陣のお衣装のまま歌いながら銀橋をわたる若き玄宗・・・
非常に大きいわたるくんを見上げるのは一苦労ですが、とっても麗しい皇帝に
うっとり〜Y でした(^^)お衣装はスカートを履いている感じが、いつもと違う
大きな点ですかね。ここのお衣装はそんなに凝っている風もなく、意外と普通
でした。歩く靴の音までも聞けて、なんかとっても嬉しくなっちゃった。

寿王の館で歌い舞う玉環・・・幼さの残る風情が、またなんとも綺麗ですね。
カーテンが上がると玄宗と寿王らが美しい花の舞いを楽しんでいる・・・
え?もうそこに着替えて座ってるの皇帝?!と、驚きでした(苦笑)。
ほぼ全てお衣装を替えているようでしたが、よくぞあの時間で着替えたものね。
玉環の美しさよりも、そっちの早替わりに感心しちゃいましたよ。
館にある如何なる物も差し上げましょうという寿王に、玉環をもらっていくという
玄宗。驚く寿王らを置いてさっさとその場を後にする・・・
あまりの仕打ちに落胆大きく、また受けた屈辱も深く、後宮に乗りこむことも示唆
する寿王。それをたしなめる案禄山が、すでに何かに飢えたような印象で禄山
の動向から目が離せないという感じでした。

当の玉環は状況の突然の変化に成す術もなく、ただ玄宗に連れられるばかり。
寿王の妃になろうという女性が寿王の身分を知らないワケはなく、まして館に
訪ねてきたのが玄宗であると知らないのはオカシイと思うのですが?
銀橋での「私を誰だか知っているのか?」の件を聞いていて違和感がありました。
あの演出では自分の許婚が誰の息子かも知らないってことなのかと解釈して
しまいます。ま、ものをハッキリという玉環ですから、玄宗を皇帝だと認識しても
言いたいことは言ってのけたのじゃないかとは思いますが・・・・
それにしたって疑問が残る場面ですね。
この銀橋でのやりとりは、結構長い時間わたるくんたちを見上げているので、
しんどいかも・・・と思いつつ、お衣装をジロジロと眺めたり、わたるくんの声を
2重音声で聞いたりと、楽しい時間ではありました(^^)。
前列だと、目の前から聞こえる声とスピーカーから聞こえる声と2重になって
聞こえるんですよね。星原さんなんて声が大きいから目の前で台詞を言われると
マイクいらないんじゃないかと思いますもん。しかも近くで見れば見るほど、
宦官らしい星原さん・・・男でも女でもないという宦官がこんなに違和感ないなんて。
間近で見る玉環はとっても綺麗ですね〜。
「後宮に入るなど嫌でございます」と告げる姿にちょっとキュンとかしちゃった(笑)。
目の前で台詞を交わしている高力士なんて、もっとキュン!とかしちゃったりして?
お衣装の刺繍も綺麗で細かくて、こういうのを近くで見れるってのは貴重だなと。

宮廷の回廊で高力士と李林甫が玉環について話していると玄宗と禄山が・・・
林甫さん、なかなか渋いおじ様風でステキじゃないですか(^^)?
おヒゲもお似合いで宰相という貫禄もあり、高力士と共に脇を締めていましたね。
禄山はここでも何か企んでいるようなニヒルな笑みで、玄宗の一歩も二歩も
先をいっているというか・・・玄宗様は言われるがままなので、その二人の差が
後に命取りになるのかなという印象がありました。
新たに玉環と姉妹になった3夫人・・・登場した瞬間、出たなぁ〜という印象。
やっぱり宝塚だなぁ、ホッとするよねぇと思いました(笑)。
だって、しのぶさんとモモちゃんと仙堂さんですもん。もう濃いんですもんキャラが。
激しすぎです3夫人方・・・禄山もえらい選択を実行したもんですね。
国忠はまだ好青年という印象で、後に謀反を企てるようには思えず・・・
あ、このお芝居では謀反はしませんでしたけどね。
この時点ではなかなか掴み所がなさそうな人物ですが、しいちゃんは無難な役作
りで可もなく不可もなくという・・・個人的にはもうちょっとインパクト欲しかったな。

ここの場面で可笑しかったのは皇帝の被り物の両脇についている飾り・・・
台詞を言う度、顔の向きを変える度にプラプラと揺れて、どうしてもそっちに目が
いってしまいまして・・・真剣に台詞を言えばいうほど笑いが込上げるという(ーー;
もうどうしてイイのやら、苦しい場面でしたっけね・・・


興慶宮は豪華絢爛なセットで、宝塚ならではの良さを実感しました。
上手花道からは梅妃が登場。前回のクロディーヌという等身大の女の子から一転
唐の皇帝の寵を受けていた梅妃のはなちゃん。お化粧も意外とキレイで似合って
いて、ちょっと大人っぽくなったかなという印象でした。
なにより、ウェストの細いことったらもうビックリですよ。
梅妃は楊貴妃とは正反対で背が高くスマートだったと記されています。
舞台の華ちゃんはまさしく梅妃そのものという感じでしたね(^^)
以前は現代っ子というイメージが強い感じでしたが、ずいぶんと娘役という言葉が
似合ってきたなと嬉しくなりました。可能性がいっぱいな、先が楽しみな娘役です。
で、玉環も幼さがなくなり、玄宗が魅了されてやまない魅惑的な女性に成長。
大輪の華を思わせる楊貴妃と、可憐な華を思わせる梅妃の並びは、
さぞかし玄宗にとってはこの上ない地上の華になるのだろうと。
玄宗って女好きっていうよりは美しく賢いものが好きなのかも?と、ふとそんな
ことを思ったりもしました。

禄山は興を添えましょうと胡旋舞を披露しますが、なんかつまんない振りで
何これぇ〜と思ってしまったu-tsuです。その後の場面で、この禄山の踊りの機敏
さを恐れるような台詞があるのに、あの踊りに対してこの台詞は納得いかないと
思うんだけどな。全然、恐ろしいほど早く動いてないし・・・っていうか、
そんな振付じゃ全然ないし。誰にもあのようには動けないでしょうって、皇帝だって
動けちゃうかもしれないよ(笑)って感じなんだけどね。
禄山を危険人物として強調したいのは分かるんだけど、あれはヘンだよねぇ。
剣舞とか見るからに皇帝の命を危うくするかもと疑いを持たれるような踊りだったら
いいけど、ただ布持って踊るだけじゃ恐れようがないと思うんだけどね。

ここの場面のとき、上手には楊貴妃の姉妹3夫人がいるんですけど、あの方たち
すごいウルサイんですよぉ・・・もうキャーキャー騒ぎ過ぎです(笑)。
一応、そんな演出だからご本人達は騒いでいるのでしょうが、どう見ても
楽しみすぎですっ。見ると笑いが止まりそうにないんで敢えて見ませんでしたが、
目の前にいるってだけで可笑しいんですよ。一生懸命、わたさんだけに神経を
集中させているのに、どうしても3夫人の声が耳に入ってきて・・・
もう拷問状態(T‐T)おかげで、ここの玄宗様がどんな行動をしていたのかイマイチ
記憶にないの。ずっと見つめていたはずなのに、3夫人の笑い声しか残って
いない・・・・こんなのって、あり〜?


陳玄礼と国忠が禄山について話している・・・国忠といえば、後に謀反を画策し
逆に自分の首を締めることになりますが、お芝居での国忠はそんな印象はない。
特に野心を秘めているようにも見えず、国のため、楊貴妃の為に働いているという
印象が大きいですね。これは意外でした。陳玄礼のほうが厳しく周囲を監視してい
るので、野心でも抱いていそうな雰囲気がします。彼の場合は皇帝への忠誠心が
大きく深すぎるために、厳しくなってしまうのでしょうけど・・・
皇甫惟明は真面目でカタブツという面が、少ない場面で表現できていたように
思えます。禄山とのやりとりでは惟明のほうが貫禄があり、禄山のうろたえぶりが
より強調されていたのではないかなと。平静を装う禄山にどこかムリが生じている
ような印象があって、この二人の対立は結構おもしろいなと感じました。

この後の惟明と楊貴妃とのやりとりが、u-tsuはけっこうお気に入りなんです。
どこがどうとは説明できないんですけど、場の雰囲気とか言葉を交わす二人が
なんとなく初々しいというか。真面目な武将が艶やかな花に魅せられて
惹きつけられていく様が、大袈裟なようでいて実は自然という感じがします。
惟明に好感が持てるからってのも理由かも。出番がこれきりで、その後は死んだと
いう話しの中でしか登場しないし・・・良い武将のまま死んだから良い印象のまま
なのでしょうねぇ。


部屋で政務を行う玄宗・・・親書をしたためながら楊貴妃への思いを馳せ、つい
名を口にしてしまう。一国の皇帝にこんな想いをさせる女性・・・楊貴妃とは
そういう魅力をもった女性なのですね。と、観劇後にならそう思えるかもしれない
けど、観劇中はまだその魅力に理解ができないでいるので、仕事に集中しなさい
よと思うu-tsuでした(苦笑)。林甫が親書を読んで「なんですか、これは」と呆れ
顔で告げると慌ててひったくる玄宗・・・エライ人にも弱い部分はあるのよねと、
一瞬ただの男になった玄宗がカワイイと思えました(^^)。
謁見を促す林甫に、少しも休ませてはくれぬと不満をもらす玄宗・・・
でも観ている側としては休んでばかりの気がする・・・?
皇帝の務めは重々承知している玄宗だと思いますが、やはり楊貴妃を得てからは
政務もおろそかになりがちになってきているような感じですよね。
皆の前で宰相に不満をぶつけるあたりからして、気の緩みが出始めているように
思えて仕方ないし。しかも二人で抜け出して祭へ行っちゃうなんて・・・
皇帝の自覚よりも、楊貴妃の存在のほうが勝ってしまったのねぇ。
楽しそうに楊貴妃の提案を聞く玄宗はハツラツとしてて、あー玄宗だってただの
人間だもんね、そりゃぁ好きな女と遊びにだって行きたいよね・・・と同情めいた
考えも思いつきますが、玄宗の言動や行動には子供の我儘に近いものを感じて
しまうので、イイ歳して何を言ってるか(−。−)と思わなくもない。
なんたって、あなた即位した頃のあの正義感はドコいっちゃったの?と疑問。
代々同じような経緯で暗殺やら崩壊やらという運命を辿っているのに、
それに気付かないってどういうことよ?って(苦笑)。
政治も皇帝という立場も、u-tsuが思うような単純な考えでは務まるはずはないと
思うけど、でもやっぱり皇帝には国のために生きてほしいなって、一生一国民の
ただの人間としては、そう思ってしまうんですよねぇ。


楊貴妃と梅妃たち妃のミニバトル・・・
物足りないという感じはしますが、後宮の日常が表現されているであろうこの場面
は好きです。原作にもこのやりとりはあるので、取ってつけたという場面ではない
ですけど、もうちょっと違う感じでも観たかったかな。
因みに、個人的には梅妃派ですu-tsuは(^^ゞ

貴妃酔酒・・・でしたっけ?楊貴妃が杯をくわえて踊るという場面。
失礼ですが、見所ってほどの場面じゃないような・・・確かにすごい反りで、なんだ
檀ちゃん反れるじゃないってのは思いましたけど、そんなに騒ぐほどの内容には
思えなくて(苦笑)。やっぱり角度がいけないのかなぁ・・・こういうのは正面から
観ないと分からないですよねぇ。u-tsuが座った位置からだと大したことないように
思えるんですよ。話題の場面だったから楽しみにしていたんですけどね。

玄宗は自分の胸にもたれている楊貴妃が目覚めたことに気付く・・・
ここの玄宗様、すごく表情が柔らかくて好きです〜(^^;
楊貴妃みたいに玄宗様の胸にくっついてみたいよねぇ。
ここでの会話って、実際には口にするのが恥かしい言葉がいくつかありますよね。
観てても聞いてても照れ臭いというか・・・あの楊貴妃の甘え方に玄宗はメロメロ
なのでしょうねぇ(苦笑)。玄宗様、結構お顔がニンマリ(^ー^)だし。

ずっと楽しみにしていた【愛にただよう水蓮の花】が観れて嬉しい〜♪
メロディが良いですねぇ。場面としてもここは一番幻想的じゃないですか?
絵巻物みたいな雰囲気だし。水蓮の精もお衣装がカワイイですよねぇ(^^)。
残念だったのは上下から出てくる水蓮の花のセット・・・
なんですかあのギコチナイ動きは(怒)しかもセットを動かすお兄さん
見えちゃってるし(ーー; 幻滅しちゃうから気をつけて下さいよっ。
この場面はできれば2階席から観たいですねぇ。


牡丹の咲く庭、沈香亭・・・
ずいぶんと落着いた印象の楊貴妃になっていましたね。
皇帝の寵愛を誰と二分することなく、ただ一人の妃という自信というか、
貴妃としての貫禄が身についてきて、一番良い時期の楊貴妃かなという印象。
ここでは案禄山の謀反が明かされ、その後のお話しが急展開する冒頭場面。
ようやく正体を現した禄山・・・自分の女になれと楊貴妃に迫ったものの
牡丹の枝で傷をつけられ逆ギレ。あまり関わりたくない男像ですが、こういう
役ってやっぱりイイなぁ〜って思う。表面上は皇帝に仕える忠臣と見せかけて
自分の野望をコツコツと達成して、最後は一気に勝負に出るっていう。
個人的にはもうちょっと、危険な香りを前面にでしてもいいように感じます。
結構、出る度に態度が尊大になっているので、禄山が危険人物ってのは
分かり易くなってはいますが・・・想像ではもっと悪なのかと思っていたので、
意外にサラっとしてたのが物足りなかったかな。

玄宗は禄山に傷を負わせた楊貴妃を誉め、世界一の貴妃を手に入れたと
喜びます。楊貴妃と共に銀橋を通りますが、そのお衣装の綺麗なことったら。
興慶宮の場面でのお衣装と同じですが、間近で見るととても繊細な造りです。
刺繍も豪華だし、中の白いスカートみたいのもプリーツが細かいし・・・
エリザベートの鏡の間のお衣装みたいにふわりとした感じで、この時はもう
お顔よりもお衣装に目がクギ付けでした。手を伸ばして触りたいくらいよ。
楊貴妃のお衣装も綺麗なんだけど、禄山の血ノリだか紅だかがちょっと
くっついてしまっていて、あーもったいない・・・と。
確かこの銀橋の時、センター近くでキスシーンがありましたよねぇ?
楊貴妃が客席側に背を向けて玄宗と向き合っているので、上手前列のu-tsuか
らはお二人の横顔がバッチリと見えまして・・・貴重なシーンを見ることが
できました(*^^*)思い出すと照れますが、観劇中はなるほど〜という感じで
じっと見入っておりましたです。


そして禄山が反旗を翻すとき・・・
銀橋に現れた禄山、お顔がちっちゃいです〜。
でも、めらめらと燃えているその表情はステキでした。
禄山に続く兵士たちも燃えているので、目の前で見ているとこちらまで
緊張が伝わってくるというか・・・ちょっと恐々しい感じでした。
まともにねぇ、銀橋が見れないんですよ(笑)。
目が合ったら斬られそうで・・・

若き日のように戦いの場へ立つ玄宗・・・
裏切った禄山へ自ら刃を向け、義務とプライドを賭けて迎え討つ皇帝。
立ち回りが好きなu-tsuとしては、後方でもいいから舞台全体を見渡せるセンター
で堪能したかった場面。この時の座席からでは充分に観ることはできず(T‐T)
袖から出たり入ったりと目の前を沢山の兵士たちが入り乱れて、
どこをどう見たらいいのやら・・・唯一、銀橋での禄山と玄宗の対峙が間近で
見れたので、それが救いだったかも。すごい真剣な表情で、いや〜戦う男の
顔ってカッコイイ〜とか思って喜んでました(^^ゞ

国忠が禄山に殺されたのを見て、このお話での国忠って実は忠臣だったのか
と。歴史上ではかなり地位を利用してやりたい放題でしたが、舞台ではあくまでも
楊貴妃はじめ皇帝に仕え国のためにという思いが大きかったように感じます。
少なくとも謀反とは程遠く、皇帝を利用する事もなく、せいぜい自分の地位や
お金のための小さな欲しか抱いていなかったのではないかと・・・
ホントは国忠が宰相になったがために禄山との対立が激しくなり、結果として
反乱が起きたのですが、舞台ではとてもそのようには思えません。
国民が楊家一族を恨んでいると言われても、特に何の問題も持ちあがらなかった
のに何故恨んでいるのか?と疑問にさえ思ってしまうかも。
目に見えて、皇帝がどのように国民を顧みなかったのか、というのが伝わって
こないので、反乱は禄山が自分の為に起こしたものという解釈をしてしまいそうです。

そして禄山の勢いは止められず・・・
国忠、楊貴妃の姉妹たちが殺されても民衆の怒りはおさまらず、この上は楊貴妃
の命までも要求する。陳玄礼ら忠臣たちは、民衆の心を静めるため楊貴妃を
引き渡すよう忠言・・・玄宗はこの度の乱と貴妃は何の関わりもないと告げ、
お前たちにも責任があると責める。
そう、確かにこうなるまでに頑としても皇帝に言わなければならないことが山と
あったはずで、それを言わなかったのは高力士含め臣下の怠慢でしょう。
でも、自分の都合の良い事しか納得せず、臣下の忠言にも耳を貸さない玄宗には
更に大きな責任があるはず。皇帝という自由にならない身ではあるけれど、
愛しい女を側に置き、その愛を国政よりも重んじたがための結果がこれでしょう。
それでいて忠臣に責任を問いただすってのは、ちょっとムシがよすぎませんか?
と、思うのですが・・・お前たちにも責任があろう!と聞いた時は、ちょっとムカっと
きましたね、玄宗に(苦笑)。誰のせいでこんなことになってるのよって・・・
確かに気の毒だとは思うのよ、ホントに。でもね、楊貴妃の運命を決めたのは
皇帝であるあなたなのよ・・・色香に迷う・・・絶世の美女を前にしたら当然のこと
でしょう。でも国や国民をおろそかにするのは自分の意志ですから、言い訳の
余地はないんじゃないですか?まして忠臣の責任だなんて・・・
皇帝という身分に相応しく、潔く心を決めて欲しかったよね。
どうせなら自分で楊貴妃の命を絶つくらいの覚悟が見たかった。

そんな玄宗を見た後で、楊貴妃の「見事に死んでみせましょう」なんて言葉を
聞いたら、なんだ貴妃のほうが潔い人間じゃないのと、好感度がアップですよ。
それまでは嫉妬したり我儘を言ってみたりと、周囲を困らせることも多かったけど、
いざとなれば玄宗よりもずっと大人な女性なんだなという感じですよね。
後宮という戦場で勝ち抜いてきただけあって根性もあるし、覚悟も良い。
最後の最後で玄宗や周囲を困らせることなく、自ら決断した楊貴妃は、この瞬間が
一番綺麗だったかも。地位や名誉だけでなく、玄宗を本当に好きだったから
できた決断なんだなぁと・・・同じくらい深く大きく相手を想っていても、その表現の
しかたっていうのは違うものなんだなと思いましたね。
玄宗は命に代えても守ると言い、楊貴妃は愛の証に死ぬと言う・・・
どちらも想いは一緒なんですよね。

命を絶った楊貴妃を想い歌う玄宗・・・
目の前で悲しみに打ちのめされている玄宗をまともに見るのは辛かった。
玄宗もホントは自分を責めているのだろうと思うと、やっぱり可哀想です(T‐T)


そして、仙人が玄宗を誘い楊貴妃のもとへ・・・
あの悲しい別れから久しく時間は流れたのに楊貴妃は美しいまま。
玄宗も若き日の姿で現れ、七夕の誓いを歌い、つかの間の逢瀬を果たす。
二人に言葉は必要なく、ただ見交わせばそれだけで通じ合える・・・
楊貴妃は愛の誓いに貰った髪飾りを玄宗の手に託し、そっと離れる。
玄宗はそれを愛しそうに優しく抱きしめて、楊貴妃との幸福な日々を
思い、改めて貴妃の愛の深さと自分の愛の深さを知ったのではないかなと。
個人的にはそう思いたい・・・これも一つのカタチだよねと。
楊貴妃は玄宗によって運命を大きく変えられてしまったけれど、それを
嘆くのではなく前向きに考え、自分の最期を自ら決めることで悔いなく
人生の幕を閉じれたのではないかと・・・流されたのではなく、自分で望んだ
道を生きたっていう充実感みたいな思いで満たされていた。
だからこの世ではない世界で玄宗と再び逢ったときの楊貴妃は、とても
美しく穏やかな微笑みで現れたのではないかなと・・・願望ですが(^^ゞ
絶対、彼女は自分の人生に後悔とかないだろうって思えるんですよね。
逆に玄宗のほうがいつまでも楊貴妃とのことを、あれこれ考えていそう(苦笑)。

髪飾りを大切に握り締め立ち尽くす玄宗は、ずっと誰かの帰りを待っている
ようにも見えるし、懐かしい過去を振り返っているようにも見えます。
抱きしめたくなっちゃう切ない表情が、なんともいえず、きゅんっY ですよ(^^)

幕開きとラストがとても印象深く、終り良ければ・・・・ですかねぇ。
でも禄山が貴妃の色香に迷った皇帝など〜と言ってるわりに、意外とそんな
愚か振りが発揮されておらず、残念。
楊貴妃に関しても命を要求されるほど悪いことなんてしていないような気が。
そもそも禄山が反乱を起こすほどの理由ってのがイマイチ伝わってこない・・・
出番の度に何か企んでいそうな雰囲気はあるけど、それが何故なのかが
分からない。ま、もともと雑胡だから権力者として地位を得るとかってのは難し
いよね。だから皇帝に取り入って辛抱強く昇進の機会をうかがってたのかも
しれないけど、本人が一体どこまで上りつめたいのかがでていない。
惟明が殺されたのも後の面倒を避けてのことだけど、あれだけの出番じゃ
面倒になるとは到底思えないし・・・大体、禄山の反乱の原因の一つとなる
国忠が、あまりにも薄っぺらい立場になっていると感じますが。
玄宗はその二人の対立に巻き込まれたカタチになって、結果、負けて都落ち
し楊貴妃を奪われるというのに・・・玄宗と楊貴妃のロマンス中心なのは
分かります、結果がどうであれキレイな恋愛物語りだと思います。
でも他の役がキビシイ状況を作り上げていくから更に二人の関係が深まって
いくのに、それが削られているってのはやっぱり残念だしオカシイとも思う。
時間の都合上ってのが1番の理由かもしれないけど、どうせなら原作を上手く
アレンジしてオリジナルな玄宗と楊貴妃にしてほしかったなと・・・
別に禄山と楊貴妃でもイイんですし、玄宗と梅妃でもイイですよ(苦笑)
大体、玄宗の年齢からしてムリがあるんですから、今の中途ハンパな年齢設定
ではなく楊貴妃と同じくらいだってイイと思う。

それからねぇ・・・・

って、キリがないからまた次回(^^)





えぇ、ずいぶんと長くなってしまってショーのほうが書けてませんが、
とりあえずMy初日レポはこの辺でってことで・・・
後日、更新したいと思いますm(_ _)m

今回の公演、どういう感想を書いてイイのか分かりません。
座席の関係でお話しにのめり込めないのが原因かと(苦笑)。
しかも久々の逢瀬で瞬きする間も惜しんでいたので目がイタイ・・・
でも1914の時とは違って時計を気にするようなたいくつ感は
ほとんどなく観れましたので、その辺は良かったかも(^^;

次回観劇で、印象がどう変わるのか楽しみです♪





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