花舞う長安

−玄宗と楊貴妃−

2004.12.13 13:30観劇 1F


3回目ってことで、やっと余裕が出てきたかなという感じ。
わたるくん以外の方も目につくようになってきて、
更に楽しめるようになってきました。
でも・・・どうやっても、ダメな部分はダメだよねぇ(苦笑)

ま、レポにいってみましょう(^^)



やっぱり、深い深〜い玄宗の思いが語られる冒頭はイイですね。
今回は一段と口調に寂しさと懐かしさ、今でも持ち続けている貴妃への
思いがこもっていて、初っ端なのに泣きたくなる場面になっていました。
どうして大唐国を栄えさせた皇帝がこんなに別人のような風情で
雨にうたれているのか・・・そもそもこの男は本当に皇帝なのかと、
思ってしまうほど、この玄宗は年老いた男にしか見えない。
隣に楊貴妃が寄添っていたら、こんな玄宗を見ることもないのだろうと。
楊貴妃を思い浮かべている時の玄宗には、何者の言葉も音も耳に入らない
様子・・・高力士はそんな玄宗を見守り、静かにその場を後にする。
高力士の後姿も、長年の苦労と皇帝への思いが出ているなぁと。
哀愁を感じますよね。すごく情感の深い背中って感じです。
こういう忠臣に支えられて、玄宗は皇帝として君臨することができていたんです。
高力士の背中には唐というよりも、玄宗の歴史が刻まれているように見えますし。
多くを語らずとも、その存在感が語っているように思えます。

仙人が登場すると更に場が盛り上がるんですけど、どうしてこの場の後に
韋皇后たちが出てくるんでしょう〜?!どうしてもこの展開にはついて行けないっ。
もう、絶対にここはいらないのっ。突然すぎにもほどがあるっ。
高力士が去って、玄宗が歌っている時に後ろのセットがなくなって夢か現かという
世界が広がり、そこへ仙人が登場する・・・って方がイイなぁとu-tsuは思った。
ホリゾントへ向って二人が光に包まれて消えて行く・・・ほうが幻想的だし。
でもってそこから玄宗の回想録となって、セリから玉環が登場するという・・・
こんな感じのほうがスッキリだし違和感ないんじゃないのか?と。
玉環に出会うのは皇帝として貫禄も出てきた頃でしょ?
即位した頃の話なんてあんまり関係ないように思うし・・・玉環が登場するまでは
平和で豊かってことだから、即位あたりの話は国民にでも台詞で説明させるとか。

例えば「平和な世だ・・・」ってことを国民に強調させておけば、楊貴妃登場による
政治や経済の低迷、そこから案禄山の乱へと至ったというのが分かり易くなるの
ではないかなと。どうして国民があんなに楊貴妃を恨むのか、この作品では全く
といっていいほど伝わってこないんですよねぇ。玄宗も結構、お仕事頑張って
いるみたいだし・・・・って今回やっと気付いたかも(^^ゞ
別段、楊貴妃も贅沢三昧って感じがしないし。ま、後宮には三千人も美女が
いるっていうから、普通に生活してても財政難になりそうだけどさ(苦笑)
贅沢っていえば、三夫人が毎日毎日色んな物を頂戴しているって歌う場面くらい。
宰相から財政難で民が苦しんでいるだの、政治に苦情が出ているだのっていう
台詞もないですし・・・って苦情言ったらその場で死刑だけどさ(ーー;
大体、楊家一族の繁栄がどうかなんて、国民に分かるものなんでしょうか?
それも疑問ですよねぇ。国忠なんて、ずいぶんと唐のために働いているように
見えますし、職権乱用をしているようには思えないし・・・だって戦場にまで
出向いて戦っているんですよ?禄山を殺そうとかの目論みはあったかもしれないけど
逆に死ぬかもしれないのに・・・これを忠臣といわずに何というのでしょうか?
この国忠を見ていても悪者とは思えない。一族繁栄のためではあるけど、
国民に恨まれるほど悪徳じゃないような気がします・・・


寿王の館では礼音くんの存在感がありすぎて、その後に登場しないのがなんとも残念。
あんなに意気込んでいたのに、なんで取り戻しに行かないんだろう?
やっぱり皇帝の権力が恐くて大人しく過ごす事に決めたのかな?
禄山の他にも玄宗と対立する人物がいてもよかったのになぁと思うんだけどねぇ。
まずこの時点で玄宗は寿王に恨まれ、いつか天下を取ることを漠然と考えていた禄山が
手始めに皇太子を引き入れる・・・玄宗はそれまで意欲的に政治をこなしていたが、
玉環を手に入れたことで徐々に熱心さがなくなり、政治の中心からズレていき、
政治のほとんどを宮廷の人間にまかせてしまう。皇帝が何も言わないのをいい事に、
私腹を肥やす宮廷人の陰で国民は苦しい生活を強いられる・・・
皇帝の政治に不審を抱く国民が増え、そこへ追い討ちをかけるように禄山が原因は
楊貴妃にあると告げ、恨みの矛先は玄宗と楊貴妃へ向う・・・
寿王は禄山について反乱を起こし、長く抱いた復習を果たそうとする・・・
っていう内容じゃダメですかねぇ?許婚を奪われちゃっただけで、何年も恨みとおす
ことが可能かどうかは分かりませんが、もし、すっごく玉環を愛していたら、それも
可能かもしれないですよね。寿王はお坊ちゃまタイプみたいだから忘れるのが早そう
だけど・・・(苦笑)でも礼音くん見てると、執念深そうな殿下を演じてくれそうなんで、
意外とイイかなぁなんて思ったワケですけど。ホント、一場面で終るのは勿体無いです。

それにしても、ホントに玉環は玄宗の正体が分かっていなかったのでしょうか・・・?
これはとっても疑問なんですよねぇ。さらわれる時なんか「殿下〜」と叫んで助けを
求めていたのに、半年間、尼寺で過ごしたらもう何とも思っていないような感じで。
なんか、寿王が気の毒・・・寿王もどれほど玉環を思っていたかは知らないけど・・・
もしかして、お互いにそんなに深く思ってはいなかったのかも(苦笑)?


祝典は豪華で圧倒されますよね。皇帝の頭上に広がる龍が刺繍された幕、
あれが気に入ってしまって、あんなの欲しいかも〜って思いながら見てます(^^)
イヤ、実際に家にあったら邪魔でしょうがないけど・・・家には置けないから
一度、皇帝の椅子に座ってみたいですね。あそこから客席を見下ろしてみたい。
ここは禄山の表情に注意して観ましたが、玄宗の台詞に微妙な反応がありました。
梅妃様の方へはチラとも見ませんが、楊貴妃の方へは横目でチラチラと
意味ありげな感じで見る事が多かったように感じます。
玄宗が貴妃として迎えると告げた時、驚きはもちろん、余計なことを・・・とでも
言いたげな表情になり、一度無表情になって僅かにニヤリとして「私が興を添えましょう」
と踊り始めました・・・とu-tsuには見えたの。これ以降、禄山が登場のたびに楊貴妃を
訪ねることを考えれば、もともと禄山は楊貴妃をそれとなく狙っていたように
思えるんですけど。玄宗に寿王の元へ行かせたのも、玄宗が玉環を後宮にでも入れれ
ば彼女に会えやすくなる・・・と考えたのかも。玄宗は寿王と疎遠になりがちで、
そんな寿王のもとに禄山が何度も足を運ぶのは要らぬ詮索のもととなる。
玄宗のもとへ足を運ぶ分には不審に思う者はいない・・・でもその思惑も、玄宗の宣言で
遠のき、禄山はずっと時期をうかがっていた・・・・とかっていうのはダメかな?
なんか、色香に迷ったのは禄山も同じなんじゃないか?って気もするんですよね。
やっぱり天下を取った時に隣に美女なんかいたら最高なのかもって・・・

梅妃も玄宗を嫉妬に満ちた、でも何かを訴えたいような眼差しでチラチラと見てました。
そして楊貴妃へは嫉妬と恨みが混ざったような表情で睨みつけておりました。
ほとんど踊りなんかは見てないですよ(笑)。憎たらしい女ね〜きーっ!みたいな感情が
身体の中では爆発しているのでしょうけど、そこは賢く教養ある梅妃様、
表情はときおりコワイですけど、涼しげな風情で我慢に徹しているようです。


皇甫惟明は何度見ても好感持てる武将ですねぇ。印象としては濃すぎるような気も
しますが、真っ直ぐな物言いで裏表がなさそうな感じがします。
惟明と禄山の言い合いは勢いが増して、火花がバチバチと凄まじくなっています。
広間の入口で禄山が気付き陰に隠れますが、あそこの表情を見ると、雑胡に対しての
惟明の言動も反乱の原因に繋がっているのかなと、今回新たに感じました。
惟明が死んだ陰には何人かの人物の思惑が絡んでいて、その1人が禄山なんだろうと。
他にも国忠や陳 玄礼・・・高力士も絡んでいるんだろうなぁ。
玄宗は彼らに証拠を挙げられたり説得(言い包められ)されて決を下したのでしょう・・・
信任できる忠臣なんてそうそう宮廷になんかいないのに、その1人すらも自分の権限で
生かすことができないなんて・・・皇帝って意外と損な立場なんですねぇ。


親書をしたためながら貴妃を思う玄宗・・・何をしていても貴妃の存在が常にあるんですね。
伏目がちに筆をはしらせ囁くように歌う玄宗がu-tsuは大好きです(^^;
太真への思いを書いた親書を宰相に指摘されて一緒に覗き込む玄宗・・・
大慌てでひったくり丸めて懐にしまっちゃった(苦笑)1人で慌てて怒って、忙しい皇帝様。
結構人前で貴妃とくっついているのに、独り言を見られて照れるなんて、可愛いですよね。
宰相や玄礼も思わず小さな笑みを漏らしていますが、もう陛下ってば〜みたいな愛情ある
笑みで、こういう何気ない表現がイイなぁと思って、この場面を見ています(^^)


よく考えると、別に無くてもいいんじゃないかと思う楊貴妃と梅妃の場面・・・
そんな風に思いつつも、ここの冷たい梅妃様が大好きだったりするのu-tsuは。
クロディーヌを演じた人と同人物とは思えない変身振りで、初見はホントに嬉しかった。
等身大の役よりも作り甲斐があるのか、よくぞこうまで変身したなと感心です。
檀ちゃんにも言えることなんだけど、前回は演技も粗いというか雑さが目立ってて、
学年差も埋っていないからチグハグな印象だったんですよね。
それが今回は学年差も感じることなく、後宮に入った妃として対等に渡り合っている
というのがよく出ているなと感じます。ただ、梅妃様、お声はもう少しキレイに出せるよう
お稽古しましょう・・・本来の声質を変えるのは難しいですが、よりキレイな声が出せるよう
発声を考えてみたらイイのになと思うのですが。今回はコスチューム物てことで、
それに助けられる部分は大きいけど、立ち姿はとてもキレイだし存在感もいいと思うんですよ。
なので、発声と更なる成長を期待したいなぁと・・・がんばれ〜(^0^)

ここで疑問なのは、悔しがる梅妃へ耳打ちする侍女・・・「安禄山が・・・」の台詞には
一体どのような意味があるのか?梅妃はニヤリという笑みを漏らすのですが、その後特に
禄山との場面があるワケでもなく、どこの台詞にもそれに関することは語られず・・・
ものすっごい不自然さに疑問ばかりが大きくなります。これってムラではなかった台詞
らしいですねぇ・・・なんでいきなり付け足したんだかな?侍女は禄山が貴妃を狙っている
ことを知っていたのでしょうか?梅妃は侍女からその行動について以前から知らされていて、
いよいよ事を起こすと侍女から新たに知らされたのでしょうか?それがあの「安禄山が・・・」
ってことなのでしょうか?うーん考えれば考えるほど迷宮入りだぁ〜・・・・っ
実は禄山と梅妃は繋がっていたのか?と思いたくなる・・・禄山のことだから、貴妃を手に
いれる為、何かしらの話を梅妃に持ちかけていても不思議はないし・・・
でも個人的に、梅妃はそういうことで玄宗を裏切るような女性ではないと思うんですよねぇ。
あくまでも梅妃に関する文書を読んでの印象なんですけどね・・・
なので余計に疑問が残るんですよ。もし、禄山が貴妃を襲うことに梅妃が何らかのカタチで
協力をしていたなら、不要と思われる台詞は梅妃が動く合図だったのかもしれない・・・
どのようにっていうのは想像しきれないけど玄宗なりその側近なりを足止めして
禄山の邪魔をさせないとか・・・ま、あまり直接に動くと自分の立場が危ういので
間接的だろうし、そんなに大きな協力もしていないでしょうけれど。
ま、どう想像しようとも、先生の意図は理解に苦しみますね(苦笑)。


水蓮の幻想はやっぱり好きだなぁ。メロディが大好き(^ー^)観ているこちらの気持ちが
自然と盛り上がるというか、玄宗と楊貴妃のすごく幸せな瞬間を同じ空間で見つめている
感じがするというか。やっと二人の気持ちが通じ合った場面だなとも思えるし。
七夕の誓いの前に楊貴妃が玄宗の本当の心が欲しいと泣きながら告白しますが、
その台詞のおかげで楊貴妃の印象が変わるような気がしています。
イメージ的に美貌で皇帝を堕落させて一族繁栄や贅沢三昧に時間を費やし、
宮廷での地位も確立して思うがままに振舞っている・・・という感じでしたが、
意外と普通の女性としての生き方を望んでいて、皇帝という身分を考えずに玄宗という
男性を一途に好きなんだなぁと。美化しすぎかもしれないけど、少なくともこの作品の
楊貴妃は普通に玄宗を愛していて、同じように自分1人を愛してほしいと望んでいる
普通の女性のように思うのですが・・・もっと勝手で打算的であれば禄山に襲われた時に
取引を持ち出すこともできただろうし、それ以前から手を結ぶこともできるし・・・
u-tsu的にこの場面は、どうして玄宗が貴妃に夢中なのかという疑問がちょっとばかり
薄れる場面になりました(苦笑)。玄宗はただ彼女にメロメロっていう感じですが、
今までこういう風に素直に気持ちを伝える女性には出会わなかったから、余計に
可愛いんだろうし惹かれていくのかなと。しかも、あんなイジらしく言われちゃったらねぇ。

でもここの玄宗、貴妃が梅林が欲しいと言ったら、梅妃の半分をやろう・・・って、
何ケチくさいこと言ってんのよと思いません(苦笑)?新しく梅林を造ってあげればイイじゃない。
梅妃の立派な屋敷が欲しいというなら、もっと豪華なの造ってあげればイイのにねぇ?
玄宗ってケチなんだねぇ・・・と思ったu-tsuでした(^^ゞでも玄宗なりに財政を気にかけて
梅妃のを与えようっていうことなのかしら?でもさ、ライバルが持っていたものをそのまま
譲り受けるのは、個人的にイヤですけどねぇ。ライバルから取り上げることになるので
優越感はあるかもしれないけど、好きな人が寵愛していた女の所有物ですよ?
そんなの喜んで受取れます?あたしには、できんです(ーー;


そして野望を告白する安禄山・・・本性を現し楊貴妃に迫ると逆に傷を負わされる。
自分勝手に謀反を企み楊貴妃までも思いのままにしようとする禄山ですが、
その道を選んだのは何故なのでしょう。やっぱり男たるもの一国の主に・・・とか思った?
惟明の雑胡に対する発言をみても差別があるのは一目瞭然で、その辺で禄山の
野心に火がついたというところなのでしょうか?貴妃に身分を考えるがいいと言われて、
身分を考えたから黙って与えられた職務をこなし登りつめてきたと答える禄山。
ということは、もともとは玉環が目的ってことになるのかな?うーん、でもそれだけじゃ
納得いかないよねぇ。雑胡に対する差別意識と玉環の二つ、かな?
それだけでも謀反の価値があるかどうかは不明だけど、価値なんて人それぞれだしね。
つまらない理由で人を殺めることもあるし、いらぬ心配から忠臣を抹殺したりもするし・・・
だから禄山の目的が大きくも小さくも、この際は関係ないのかも?
他人にどう思われても、何より禄山にとっては大事な価値となるワケですもんね。
観ててしっくりこない気はしますが、禄山の側で考えると、それでイイって感じかな。

玄礼たちを伴なって登場する玄宗は、籠の中で鳥が死んでいるのを見て不審に思い、
禄山と楊貴妃の表情から大よその出来事に察しがついたように僅かに厳しい
顔になるんですけど、この表情の変化がu-tsuのお気に入りです(^^)
いつも大事なことは人任せな印象の玄宗が、実はすごく勘が良くて物事の核心を
察知する能力に長けているように思えるんですよ。貴妃を得てからは頼りなさそうに
見える玄宗ですが、それは側近の目を欺いているかのようにも思えます。
分からないふり、見ないふりを装ってホントに信頼できる人間を探っていたり
するのかも・・・?玄宗は最初から堕落していたワケじゃないですからね。
一生懸命に努めてきての貴妃との出会いですし、もともと才知ある若者でしたから、
そういう知恵を使って周りの人間を固めてきたのかもしれないし。
愚かな部分があったとしても、それは玄宗も1人の人間である証ってことだしね。

ここで玄宗が「禄山にそれ程のことができるものか」という台詞がありますが、それに続く
李 甫国の「あると、もっぱらの噂です」という台詞が不自然に思うのです。
それ程の力があるものか、というのならば自然なのですが・・・これはなんでなのかしら?
玄宗の台詞が変わらないならば甫国が「できると、もっぱらの噂です」と言うべきかと。
初見の時は、玄宗か甫国のどちらかが台詞を間違えたのか?とも思ったのですが、
2度3度観ても同じなので、もともと脚本がこういうやりとりなんだねぇと。
小さなことだけど、初見で違和感覚えるくらいだから、やっぱりオカシイ台詞だと思う。


戦場での立ち回り、やっぱりここも大好きな場面ですね〜。
2回目3回目とセンターで観てて思ったんですけど、禄山が兵を引連れて歌う場面、
大きな槍(ナタか?)を持って振り回すんですけど、ライトが槍の先端に反射して
すんごい眩しいんですよ(苦笑)。もう何度となくこちらにピカッキラッときて前が見れない。
歌が終るまではオペラグラスも使えないの怖くて。あんな光オペラで見ちゃったら
目がつぶれるんじゃないかと思っちゃいますよ・・・以前、雪公演でエライ目にあったし。
禄山のせいじゃないけど、気持ち的に禄山に悪態ついてたりする(^^ゞ・・・

で、そう、立ち回りですよ。ここは目がもっとほしいくらい、あちこち見るトコあるんですよね。
剣の振りかたにしても止めにしても、ビシっと決まるとカッコイイですよね。
玄宗も何度となく中国剣技のような決めのポーズがありますが、ただただ見惚れるだけ。
そのポーズのときに髪がハラリ・・・と動いたりするともう正気も飛びそうにキュンとか
なっちゃいますもん(^^;銀橋での玄宗と禄山の対峙も、その真剣な眼差しに
目が離させず、呼吸もしているのか分からないくらい見入ってしまいます。
でもそれも、玄礼が玄宗を止めに入るとちょっと冷めてしまのですけど・・・
あれはやっぱりヘンだなぁと感じますよ。もうちょっとで決着も着くという時に
割って入るのはナゼなのって感じ。なんかわざわざ禄山に譲ったという印象が強い。
穿った見方をすれば玄礼も禄山側だったのか?なんて考えも・・・
それくらい不自然な退却なんですよね、u-tsuにとっては。


そして、楊貴妃を引き渡せと騒ぎ立てる民衆たちの声・・・
貴妃を守りたいという玄宗の気持ちも、その玄宗の負担にならないための貴妃の
気持ちも、どちらも分かるというか、叶えてあげたいという気になるというか。
どうしてお互いに思い合っているだけなのに、こんな風に別れなければいけないのか。
玄宗はどういう風に貴妃と過ごしていたらこういうことにならなかったのか・・・
考えても仕方ないと思いつつ、この場面になると可哀想な気持ちとカナシイ気持ちと
入混じって、ただ玄宗を気の毒に思うだけになってしまう・・・
去って行こうとする貴妃を後ろから引き寄せて抱きしめる玄宗は、もうホントに
ただの男。周囲も人の目も気にせずボロボロ状態な玄宗様・・・
それでも高力士の「一人の女の為に国を滅ぼすおつもりか」という言葉に、
貴妃を死なせたくないという思いに躊躇いが出て、その気持ちを充分に理解している
貴妃は、潔く死に向う。玄宗は絶叫して力尽きた抜け殻のように呆然とたちつくす・・・

このまま、この場面が終ったほうが良かったんじゃないかと、帰宅してふと思いました。
玄宗の回想録みたいなものだから、ここで終って仙人登場のほうがイイかなと。
仙人に誘われた玄宗が、過去を回想しながら玉環へ逢いにいく・・・と考えると、
玉環が死んだところで玄宗の意識が現実へ戻るっていう方が自然のように思えるし。
きっと檀ちゃんの衣装替えとか理由は色々とあるんだろうけど・・・
特に玄宗の歌はなくても十分なんじゃないかと思うワケです。
歌詞もいかに玄宗が皇帝として国に尽くしてきたかを記していて、貴妃を死なせて
しまった責任というか事実から目を背けたい玄宗の気持ちしか出ていないので、
ただ言い訳しているだけにも聞こえるんですよね。それだと貴妃が潔く死んでいった
ことが、ムダになってしまうような気がして、それは貴妃が可哀想だなと・・・
玄宗としてはもっとしてあげたいこともあっただろうし、国と引換えにしても命を
守りたかっただろうけど、貴妃が言った「有り余るお心をいただいた〜」という言葉は
ウソ偽りない気持ちだろうし、本当に玄宗の為にできることが嬉しかったのだと思う。
それなのにあんな風に歌ったら、貴妃の気持ちはどうなっちゃうのか?と。
もちろん、あの歌詞はあくまでも玄宗の心からの気持ちではあるでしょうけれど・・・


長恨歌・・・なんのかんの言っても、この場面で再び玄宗と楊貴妃が逢えるのを
見てて、あー玄ちゃん良かったね、また逢えて・・・って気持ちになりますよね。
結果的には悲劇的な別れだったけど、それでも時間を経ても、生きる世界が違っても
変わらず同じ気持ちでお互いを思っているということに心動かされるというか。
ホッとした気持ちで休憩を迎えられるというか(^^ゞ
ホントに、冒頭とこのラストのおかげで、あいだの回想録は報われると思う(苦笑)。
冒頭は年老いた玄宗なのにラストは若返っているというのは、やっぱり楊貴妃に
逢う玄宗の為に仙人が姿を変えてくれたのかしら?
楊貴妃は若いままで玄宗が冒頭のようにヒゲ付きで年老いていても、それはそれで
いいような気がするんですけどねぇ。そのほうが玄宗の長年の楊貴妃への思いが
より表現されそうだと思うのですけど・・・髪飾りを貴妃から受取って、すごく大事そうに
愛しそうに抱きしめるから、そういうのを冒頭の玄宗のままでやったら悲しみの深さも
増すような気がする。とはいえ、宝塚的な演出で考えたらそれはムリなのかも。

劇場で観ているときは感じないんですけど、DVD見たり観劇を思い出したりしていると、
冒頭の玄宗の姿の方が自然だよねぇと思ったりするんですよ、不思議と・・・
かなり雨のなかの玄宗がお気に入りだから、ラストもあの玄宗に逢いたいと無意識に
思ってしまうのでしょうか・・・?u-tsu的に、この作品のなかの玄宗で一番好きなのは
ドジョウひげの玄宗だったりします。初めて舞台の模様をTVで見た時はこのドジョウが
イヤですごく落胆していたのですが、実際に何度か観て、一番心動いたのはヒゲ玄宗。
どうしてなのか自分でもよく分かりませんが(苦笑)、すごく気持ちがやさしそうに見える。
無気力にやつれて皇帝という威厳はないんですけど、すごく苦しい経験をしたことで
懐の深さが増したというか・・・あの存在が好きだし、ああいう風に演じているわたるくんも
大好きだし(^^)わたるくんが創り出した玄宗像っていうのが、あの場面に出ているような
気もしますし。だからラストはヒゲ玄宗で出て欲しかったなぁ・・・と、強く思うu-tsuです。



またまた、長い感想になってしまいました(ーー;
3回観てきて、印象も感じることも結構、変わってきました。
観慣れたせいもありますが、回数重ねると余裕が出てきて視野が広がるんですよね。
だから玄宗以外の人物の表情やちょっとした演技で受取り方も自然と変わります。
内容に問題は多々あれど、わたるくんのことのみで言えば、何も不満はございませんっ。
どの表情も仕種も立ち姿も、その存在自体を愛しているので(*^ー^*)
思っていた以上に皇帝のお召し物もお似合いですし、お姿見れるだけでシアワセ♪
でもそのシアワセも、あと1回で終り・・・そう、予定が1回減ってしまいましたの。
次の観劇後は来年の夏までお別れぇー(T‐T)





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