花舞う長安

−玄宗と楊貴妃−

2004.12.20 13:30観劇 1F


My楽となりました・・・いつもならすごく残念な気分で
いっぱいなんですけど、今回はナゼか晴れ晴れな感じ(^^)
理由は分かりませんが、まだまだ公演が続いて、もう1、2回
観れそうかも?なんて錯覚に捕われているようです・・・
もちろん、そんなワケはないんですけど(苦笑)
でも「観たっ」という気がすごくする公演だったので、
観劇回数少なくても充実しているのかもしれません。

今回は役者さんの印象を中心に、いってみましょう(^^)



玄宗皇帝のわたるくん・・・
実際よりも年齢が若く、しかも一人の女の色香に迷い国の未来を
危うくしてしまう皇帝・・・最初は、わたるくんの強さというか、濃さに
玄宗は合わないだろうと思っていたので不安はありました。
しかも皇帝という動きの限られた役で、どんな風にわたるくんの長所が
活かされるのか・・・動きが少ない上に、感情も極力抑えるという役どころ。
観るまでは正直、ガッカリだったし期待もなかった(苦笑)。
でも幕が開いて歳老いた玄宗の楊貴妃への懐古を見ていると、
動きは限られても、感情は表に出せなくても、わたるくんは気持ちで
演じられる人なんだよな、ということを思い出しました。
前回は忙しく走り回っていたし、その前は歌いっぱなしだったので、
すっかりそういうことを忘れちゃっておりました(^^ゞ

雨のなかの玄宗は貴妃を失った悲しみから逃れられずに、気持ちは
あの日からずっと時間が止まったまま・・・ただ老いていく玄宗は
もう1度貴妃に逢いたいという願いだけを抱いて生きている・・・
ゆっくりゆっくりと階段を降り、枯れ落ちる葉に、あの花舞う長安の春、
まさに花そのもだった貴妃を重ねてつぶやく・・・『もう1度、逢いたい』
冒頭での短いシーンではあるけど、玄宗の気持ちが全て詰まっている
この場面は印象深いです。あまり悲しみすぎるとメソメソしているだけの
弱い皇帝になりそうな場面ですが、ジメっとした印象はないですね。
過去に生きている部分もあるけれど、それは玄宗にとっては手放す
ことができない大切な想い出・・・死んでなお、いつまでも一人の人に
想い続けてもらえる楊貴妃はとってもシアワセ者だなとさえ思える。
そんな風に思わせてくれる雨のシーンを観て、感じていた不安は
いつの間にか忘れてしまっていました。

役作りとしては原作とは全く違う玄宗を、それこそわたるくんらしいとも言える
熱い気持ちを持つ玄宗になっていたのではないかと・・・
玄宗といえば後宮に美女三千人囲って、政治も人任せで色好きっていうイメージ
なんですけど(苦笑)、年齢設定が変わったんだから、なにもそんな玄宗を
イメージする必要も、不安になる必要もなかったんですよね。
わたるくんの玄宗像は国政に懸命に取組んでいる皇帝という感じかな。
武恵妃を失い、梅妃を得て悲しみや皇帝としての孤独感を埋めようとした。
でも埋めきれずにどこか空虚感すら抱いていて、そんな時に玉環との
出逢いがあった・・・のではないかと、u-tsuは思いました。
真面目に政務を行っているというのは、場面上ではあまりないんですけど、
李林甫とのやりとりで、あー玄宗はちゃんとお勤めしてるのねと(笑)。
どの程度仕事しているのか、もう、このやりとりを信じるしかないですし・・・
あとは、わたるくんが寂しさや孤独感を含んだ表情で訴えるのを観ての判断、
惟明や禄山との謁見の場での玄宗の発言・・・くらいですかねぇ。
ただ、玄宗がそういう苦情を宰相に言うのは、今までガムシャラにやってきた
ところへ玉環を得て、彼女との時間をもっと過ごしたいという気持ちから
なのだと。高力士や宰相だけでなく、他に人がいようとも口に出してしまう
その行動が我儘に見えたり、仕事を疎かにしているように感じるのかも。
確かに政務で拘束される時間は長いかもしれない・・・玄宗に限らず、国を背負う
地位にいる人間ならば、たまには何も考えず好きなように過ごしたいと思うのは
当然の事なのかもしれない。一市民に過ぎないu-tsuには仕事は仕事だろう、
という考えが浮かびますが、良い仕事をするにはやっぱり気分転換も必要だよね。
お芝居では玄宗と楊貴妃が一緒にいる場面が多いですが、実際には
一緒の時間が持てないときも多々あったのだろうと思うし・・・

自ら戦場へ行くことに、皇帝としての自覚はあるのか?と普通なら思うところですが、
この玄宗はもとは武将肌なだけあって、こちらの方が力が出せるような気がします。
国の為だけではなく、貴妃の復讐の意もあっての出陣・・・玄宗の怒り具合から、
そんな風にも見えますね。それにしても、ここのわたるくんのカッコ良さといったらっ!
もう、ずっと戦っててぇ〜と思ってしまう(^^; 真剣な表情がメチャメチャいいっ。
禄山との息もピッタリで、その緊迫感たるやすごいですよね。
こんなにドキドキする立ち回りは初めてかも。ラダメスの立ち回りも好きだし、
エドガーの立ち回りも大好きだけど、玄宗の立ち回りはもっとイイかも〜♪
u-tsu的にはかなり上位に入る立ち回りですねぇ〜。
でも迫力あり過ぎて、前列で観劇のときは刀が飛んでこないかな〜とか
斬られないかな〜とか、ちょっと不安もありました(笑)
韋皇后たちを捕えた時の兵士を従えての踊りもかなり好きだなぁ。
迫力は立ち回りと違ってないんだけど、ツボな振りがあってお気に入りです(^^)

u-tsuが一番印象深いのは最初と最後の玄宗ですね、やはり。
若々しい玄宗で終るのがとても気になりますが、玄宗の気持ちは一番出ている両場面。
この場面だけで玄宗という人物が語られていると言ってもいいくらい大事な場面だと
思います。観終わった後に、貴妃健在の頃の玄宗と、失った後の玄宗が上手く繋がれ
ば大成功だと思うのですが、正直そう感じるのはちょっと難しいような印象だったかも・・・
やっぱり印象的な事件というか出来事がないということと、単調な演出で終ってしまった
ということが原因でしょうか。しかもラストは若い玄宗だし・・・
若い姿だと、貴妃を亡くしてすぐに再会したような感じがするので、冒頭の場面は
あまり意味を成さないように思えてしまいます。貴妃が死んだ時に玄宗は絶叫しますが、
その時は冒頭の玄宗の悲しみに繋がるなと思えているのに、ラストになると違和感を
感じて、逢えて良かったね〜とは思うのに感動にはイマ一つというか・・・
歳を取って、ようやく再会できたから感動も大きいというのに若々しい玄宗じゃねぇ。
最初はそんな違和感なかったんですけど、2回目観劇後しばらくして思い返していたら、
冒頭と同じ玄宗のほうが自然だよねぇと思えて・・・3回目観劇後には違和感になってた。
キレイで終るのが宝塚だけど、より自然に終ってほしかったなという気持ちも大きいです。
せっかく冒頭で玄宗という人物が表現されているのに、そこだけで終ってしまうのは
勿体無いですよぉ。実際には最初と最後が繋がっているようで繋がっていないという
気も、今更ながらしますし・・・観劇中は夢中なのに、冷静になると気になるもんです(苦笑)

そしてもう一つ印象深いのは貴妃が死んだあとの銀橋・・・歌い終わって袖に入るまでの
玄宗。あのうな垂れて放心状態でフラフラと、足だけが勝手に歩いているという後姿・・・
もう支えてあげたいくらいグっとくるんですよ。ああいう、ヤツレタわたるくんは
u-tsuにとってはツボだったりするので、ライトがなくてもずっと観ていたいんですよねぇ。
最近は、ああいうお姿を観ていなかったので、とっても嬉しかった(^^ゞ

でも、湖月玄宗は大好きです。長所も短所も含めて、わたるくんの玄宗だから大好き。
皇帝といえど一人の人間、色んな感情を持ち合わせているし間違いをすることもある。
湖月玄宗は限られた自由で楊貴妃を愛し、政務も行い、人間らしい生き方をできたと思う。
最終的に貴妃を助けることはできなくても、それはあくまで玄宗の視点からの見解で、
貴妃本人は喜んで死んでいけた・・・と思えるので、玄宗という人物に関しては
u-tsu的に良かったと。ただ気になるのは、玉環をさらった後の銀橋場面・・・
まるきり我儘皇子という印象が強いですねぇ。あそこの役作りだけは、もうちょっと工夫が
ほしかったなと。若いとはいえ大人なんだし(苦笑)「ボクは皇帝なんだぞっエライんだっ」
みたいな、威張りんぼーというかガキ大将というか、そんな感じがするので・・・
そこだけがどーも皇帝らしくないというか、威厳なさそうだし、威圧感もないし。
口答えしようものならすぐ殺そうとする、という恐さも感じない・・・笑っているそのなかに
見える恐怖・・・そういうのがないと、なんで恐がるのかが伝わらないような気がする。
それ以外は良い役作りをしていたのではないでしょうか(^^)
少なくとも悪いイメージはなくなりましたし、少しだけど皇帝という身分故、凡人には理解
し難い苦悩があったり孤独感があったり、玄宗は玄宗なりに生きたんだなと・・・
u-tsuはこの玄宗、イイと思う。憧れや理想ではないけど、ただ好きにはなれました。


楊貴妃の檀ちゃん・・・いや〜キレイですね、ホントに。
この作品、いつか再演するとして、やれる娘役さんは出てくるのでしょうか?
初見でそんなことを考えてしまったu-tsuです(^^ゞ
前回のアデルよりも自然な演技で、楊貴妃はこういう女性だったのかも?と思える
ような感じでした。檀ちゃんは普通の女性よりも、こういう華やかで気の強い女性の
方が安心して観ていられるかも・・・楊貴妃のイメージは傾国の美女。
あんたのせいで国が滅んだのよ〜と悪いイメージだったんですけど、この脚本では
直接悪いことをしているワケでもなく、あれ、楊貴妃って普通の女なんだ?って感じ。
脚本に限らず、実際にそうだったのかもしれないし・・・楊貴妃の色香に迷って
冷静な判断ができなかったのは玄宗だったんだから、貴妃が悪い女だっていう
のもヘンな話ですよねぇ?少なくとも、舞台での楊貴妃は正直で明るい女性という
感じでした。その上にあの美しさ・・・そりゃぁ心奪われるってものでしょ(笑)
でも玉環はそれを武器にやりたい放題ってワケではないみたいだし、ただ玄宗の
気持ちを自分だけに向けて欲しいと願う可愛らしい部分を持つ女性で。
ヤキモチ妬いたり、時には我儘言ってみたりとホントに普通なんですよねぇ。
でも玄宗に思った事を言ってしまう気の強さもあって、ただお人形のように言いなり
になるだけではなく、自分で道を切り開く部分もちゃんと持っている。
最期も自ら道を決めて玄宗から去っていった・・・檀ちゃんの楊貴妃は女性の可愛い
部分と強さの両面がきちんと出せていたなと思います。使い分けが上手なんでしょうね、
女性らしい部分と強い部分との・・・毎日毎日、我儘言われちゃ玄宗もウンザリだろう
けど、楊貴妃も賢い女性だろうからその辺はちゃんとわきまえていたような気がするし。
こういう女性だから、皇帝という最高の地位の人間が寵愛できたのじゃないかとも思える。
結果は玄宗の貴妃への愛が深まるたびに、政務がスムーズにいかなくなり、反乱さえ
許してしまう状況をつくってしまうけど、それはやっぱり彼女の責任ではないしねぇ。
観劇前はあんまり好きじゃなかった楊貴妃も、回数重ねるごとに良さがちょっとずつ
感じ取れるようになってきて、印象はずいぶんと変わったかな(^^)


安禄山の安蘭さん・・・こーゆーあなたが大好きよっ♪ていう感じでした(笑)
もう楽しそうに悪巧みしている様が見て取れて分かり易いですねぇ。
でも、出番も意外と少なく、これといって大きな見せ場が戦場までないので、
どういう経緯で謀反の心が大きくなったのかというのは伝わり難いかも・・・
これは役者ではなくあくまでも演出、脚本の問題なので、どうすることもできないけど。
それでも出番ごとに表情や仕種で伝えてくれているので、それを観て、u-tsuなんかは
アレコレ想像することができるというか。でもやっぱり物足りなさは感じますよねぇ。
せめてもう一場面、禄山の独白でイイからしっかりとした場面がほしかったなぁ。
どんなに工夫しても、脚本が変わるワケじゃないしねぇ・・・そこが残念だよね。
禄山で印象深いのは場面ではなく表情かな。とにかく表情で変化をつけようという
感じが強くて、目が離せないというか。玄宗と出ていることが多いので、玄宗を見つつ
禄山の表情も見逃さず・・・という感じで、結構大変な楽しみ方ではありますが、
表情から感情を読み取るくらいしかないんですよね。できるだけ表情の変化を見て
禄山の思考を想像する。u-tsuの禄山の楽しみ方はそんな感じでした(^^)
あとは玄宗と同じく立ち回り〜。ホントに見応えありました。大劇ではよく刀を飛ばして
いたそうですが、東京では、少なくともu-tsuが観劇中は1度もなく(笑)
ずっと真剣な眼差しで玄宗と対峙していたのがステキでした。
でも、安禄山の勝利って、陳玄礼が玄宗を止めなかったらなかったかも?と
思うのはu-tsuだけでしょうか。玄宗との後半戦はどうみても禄山不利に感じたし。
あれはどうなんでしょうねぇ。どう考えても禄山のほうが現役武将なんだから強いと
思うんだけど、ナゼか玄宗の方が優勢で・・・禄山、あなたホントに蕃族たちを抑えて
きたんですか?という疑問がなくはない(苦笑)。だって政務中心になって技術的にも
武力的にも玄宗の方が分が悪いと感じるはずが、実は逆だったみたいだし。
玄宗が禄山に圧倒されて、なおも攻めようとする玄宗を玄礼が止めるのなら話は
分かりますが、あれでは禄山は玄礼によって勝利を譲ってもらったという印象に
なってしまうと思うのですが。何度見てもナゼあの演出になったのかが解せない・・・
禄山はあれで満足なのだろーか・・・?
3回目観劇の時に、ずいぶんと声が低くなったなぁと感じたのですが、風邪でも
引かれたのでしょうか?ちょっと鼻声かかった感じもしましたし・・・
My楽でもやはり同じような状態で、更に勢いも加減しているような印象でした。
熱でもあるのかと気になったんですけど確かめる術はなく・・・もし風邪なら
早く良くなって千秋楽を迎えてほしいなと願うだけで。
もしかたらu-tsuの気のせいなのかもしれないけど・・・大丈夫だったのかな?


高力士の星原さん・・・玄宗はあなたがいたから皇帝としていられたのよと思うほど
玄宗への思いが深くて、何をするにも玄宗の為という気持ちで動いている。
それは玄宗を見ている表情や態度でよく表現されていると思いました。
u-tsuは特に冒頭での玄宗とのやりとりが好きで、静かに去っていく背中に
高力士の気持ちを感じていました。玄宗との年月が背中から出ているように思えて、
そういうところに役者魂を感じたりしました。存在感も、立っているだけで場に緊張感が
出ますし、今回の作品ではとても貴重な役割を果たしていたのではないかと。
玄宗はこの高力士の存在に精神的にも政治的にもどれだけ助けられたことか・・・
そんな考えが浮かぶほど、高力士の存在感は重厚なものでした。
でも、できれば高力士は玄宗と同じくらい若い設定だと嬉しかった・・・
皇帝と側近という男同士の友情関係とか観たかったんですよねぇ実は。
今回の設定はずいぶんと年齢が離れているんで、ヘンに高力士が玄宗を
甘やかしているようにも見えるんですよ。実際のように歳が一つ二つしか変わらない
高力士だったら、より関係の近い様子なんかが観れたのではないかと。
それだけが高力士に関しての心残りですねぇ(苦笑)・・・・


陳玄礼の汐美さん・・・なんか、ケロちゃんには物足りない役柄のような気がします。
特に見せ場はなく、常に玄宗に付従う忠臣という以外はあまり印象がない。
野心があるようにも見えるけど、皇帝の為にのみ働くという感じも強いし・・・
とても中途ハンパな役のように思えます。言い換えれば普通の武将という感じ?
忠誠心多き武将という、普通の忠臣。時には玄宗より大人な振舞いで、玄宗の
心をなだめることができる貴重な存在とも言えますが・・・うーん物足りない。
でも真面目で皇帝思いというのは、よく理解できるかも。玄宗に恨まれようとも
「情を捨て、義を正されますよう・・・」と告げる場面は、玄礼にとってもツライことだと
思うのですが、それでも皇帝の為に自分の成すべきをする忠誠心が玄礼らしさ
のような気がしますよね。玄宗が深い悲しみを負った時には、やっぱり玄礼も
悲痛な表情で、まるで自分のことのようでしたし。とにかく皇帝第一という感じで。
人柄的には掴みどころがない人物なんですが、忠誠心のみで生きているという
ところが、なんともケロちゃんの誠実な人柄と重なるような印象はあります。
皇帝が幸せならそれが自分の幸せというか・・・考え方が大人なんだろうし
懐も深いのかな。でもそれはあくまでも皇帝に対してなんだろうけど。
余談ですがu-tsuの希望として、ケロちゃんの高力士を観たかったなぁと(^^)
実際の玄宗と高力士のように年齢もさほど違わず、とても良い関係が観れた
のではないかと想像するんですよね。高力士の玄宗に対する包容力も
ケロちゃんならしっかりと表現できると思うし・・・星原さんの高力士は、これが高力士
なんだとさえ思える人物ですが、それとは違う高力士も観てみたいなと思うんです。
ケロちゃんは、きっと繊細で人間くさい高力士を演じてくれるのではないかと・・・
学年が近いからこそ玄宗との対比も上手くでるだろうし、それが自然に感じるような
気がするんですけどねぇ。ま、今となっては夢そのものですけど・・・・


楊国忠の立樹さん・・・意外と忠臣で驚いた(苦笑)なんか、結構悪いことしてた人なのに、
玄礼に言いくるめられてしまったり、楊貴妃と皇帝のためにしっかりと働いているなんて・・・
しかも戦場にまで出向いちゃうんだからスゴイ。舞台観て、国忠ってイイヤツじゃん?
という印象でしたよ。ここまで史実と変えちゃうと、お話的にはどーなの?って感じ。
まるきり悪いのは禄山一人なんで、なんかつまんないかも。惟明が死を賜ったと楊貴妃に
告げるところは、実は国忠も惟明の死に手を貸したというのが分かるくらい雰囲気が
悪役っぽいんですけど、それ以外は特に・・・楊貴妃の兄として、忠実にお仕事してます
みたいな感じで。歴史上有名な人物でありながら、それらしくない演出で終っていて
掴みどころない人物。やっぱり国忠には禄山と悪巧みしてほしかったし、裏の顔も
見せてほしかったです。脚本が変わらない限りはムリな話ですけど・・・
しぃちゃんは明るくて良い人だなぁというイメージがあって、それがそのまま出ちゃったという
気もしますよね。でもきっとここまで作り上げるのに苦労はしてきたはずなので、その頑張り
は反映されていると思います。脚本が脚本なんで、もう頑張りから納得するしかないし(苦笑)


皇甫惟明のまとぶん・・・観ててこれまで持ってたイメージが変わりました。
キツイ感じでアウトローなイメージを持っていたんですけど、好青年という印象になった(^^ゞ
役柄にピタリとはまっているのか、惟明=まとぶんというのが自然と浮かんできましたね。
惟明に対しては儚げなイメージもあったんですけど、彼は武将なんでそんなにヤワじゃ困る。
かといってゴツゴツしたイメージは違うと思うし・・・で、まとぶん惟明を観たら、そうこんな感じよ
って思えて。禄山との言い争いでちょっと冷静さを欠いちゃうんだけど、それも真面目で
一直線な気質からなのかなという感じがして、とても惟明の存在に好感が持てます。
この作品の中で役と役者がピタリと合ってるのは惟明が一番じゃないですか?
もうね、ただ良いよねって思えるんですよ。一場面しか出てこないから尚更、印象が良い。
ホントはもっと出て欲しいんだけど、逆に惟明の人柄が印象的になるのも事実でして。
なかなかオイシイ役なんじゃないかと・・・とにかく良いとしか書きようがない惟明でした(^^)


梅妃の陽月華ちゃん・・・ほっそいですよねぇ。でもって大人っぽくてお化粧もキレイだと
思う。動きがかなり制限されるにも関わらず、立居振舞いは存在感あって良かったですね。
正直、ここまで梅妃を演じてくれるとは思っていなかったので、安心しました(苦笑)。
ただ、お芝居が一本調子になりがちなので、もっと演じることにあれこれチャレンジするの
もいいのではないかなと。楊貴妃とは違ったキレイさがあって、玄宗との場面があったら
良かったのになぁと残念です。梅妃の甘えかたも観たかったのにな。
余談ですが、侍女から告げられる「安禄山が・・・」という言葉、あの意味をぜひとも
梅妃さまにお聞きしてみたいですねぇ。とっても疑問なんですよ。
やっぱり梅妃は禄山と繋がっていたのでしょーか・・・?気になるっ


寿王の礼音くん、どう見ても玄宗の弟にしか思えない(苦笑)。礼音くんのせいじゃ
ないんだけど、やっぱり違和感あるよね。寿王が禄山と手を組んで反乱起こしたら面白いの
になぁと思ったんだけど、寿王はあの短い場面のみ・・・物足りない。しかもそんなに重要な
場面にも思えなかったし。それよりも禄山側に立つ悪役武将のほうがよっぽど面白そうかも。

李林甫の麻園さん、律義で真面目な宰相でしたね。玄宗にイヤミを言われつつも、
自分の職務に忠実で懸命な林甫。玄宗はこういう縁の下の力に支えられていたのよね。

李亀年の麻尋しゅんくん、2回もソロがあってなかなかオイシイ役ですよね。
ル・サンクで脚本読んだときは、礼音くんが寿王との2役でもいいじゃん?て思ったんですが、
歌を聴いたら、曲と礼音くんのイメージが合わないってことに気付きました(苦笑)
透明感あるというか、線の細い歌声のほうが曲には合うような印象で。
DVDで観た時はかなり歌が不安定でしたが、東京では日増しに安定するようになって、
成長の早さに感心しました。でも舞台姿にはまだ安定がない感じがするので、
役に成りきることができるように頑張ってほしいなと思いました。


その他、書くとキリがないのですが、星のみなさんの頑張りが作品を盛りたてて良いものにして
いたと思います。この作品、題材としては大作といえるのではないかと思うんです。
でも1時間半という短時間、原作からの抜粋という脚本の甘さで作品としては充分なものでは
ない。でも出演者一同が自分の役を理解し掘り下げ、公演ごとに進化してく・・・
そういう努力の賜物で、良い舞台になっているなと観ていて感じました。

玄宗と楊貴妃のロマンス中心に、それはそれで良い内容ですが、わたるくんが好きなu-tsu
としては、これぞ星組の湖月わたるの舞台!っていうのが芝居でもショーでも観たいので、
そういう意味ではお芝居に関しての感想はイマ一つです(ーーゞ
ポイントポイントで観ていると良いなぁと思える部分が多いのに、全体で考えるとチグハグな印象。
構成のバランスが良くないのかな?でも劇団ではあの流れでO.Kが出てるワケだから、
組織と個人の見解の違いってことなんでしょうかねぇ?うーん、なんか難しいねぇ(苦笑)
でもね、My楽が終ったというのに、不思議と後ろ髪引かれないんですよ、不思議〜。
いつもならもう1回観たいとか切実に思うのに・・・今回は観劇後に「観た」という気がすごく
大きいんですよ。だから気持ちが充実しているみたいです、いつも以上に(笑)
不思議だぁ・・・これも星のみなさんの頑張りと、ショー作品が良いおかげじゃないかと思う。


ま、いつものことながら、お芝居は終り良ければ全て良しっ・・・ってとこか(^^ゞ






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