羽山紀代美
振付家30周年記念ダンシング・リサイタル

ゴールデン・ステップス
−1975〜2005−







−第2部−
ベルサイユのばらフィナーレ・・・1990年「ベルサイユのばら−フェルゼン編」

確か、1度だけ観劇できた記憶が・・・物語の筋がどうとかってことよりも、ショー部分のほうが
印象的だったね(苦笑)。これぞ花組!これぞ宝塚!っていう燕尾から始まるフィナーレは良かった。
流石、なつめさんの燕尾は綺麗だ。この後のキャルさん中心に娘役によるダンスも好きだった。
ドレスをもって踊る振りが華やかで、娘役がより可愛く可憐に見えるようにも振付されていて、
どんな娘役さんも可愛く見えたんだよね(^^; この後ロケットがあって、それに続くシャンソン
メドレーも好きだったなぁ。有名な曲を歌い次いでいくというありきたりな演出なんだけど(苦笑)、
ベルばらってコスチューム物だから、カツラとかなくて普通の衣装で登場するとすごい新鮮なんだよね。
u-tsuが観た平成初期のベルばらで一番好きなフィナーレは、この花組バージョンだったです。

コムちゃん中心に雪と星の男役によるこの場面、なかなか良かったですね。コムちゃんて意外と
貫禄あるんだなと思った。こうやって燕尾で男役群舞の真ん中に立つにはパワーが必要だし存在感も
要求される。コムちゃんは見かけによらず骨太な男役なのかも。軽やかとはお世辞にもいえないけど、
ビシっと決めるところは決めて、メリハリあったとは思う。
舞風りらちゃん中心の娘役の群舞もキレイだった〜。うん、やっぱりみんな可愛く見えた(^^)
宝塚だもん、こうでなくっちゃという感じだよね。りらちゃんはしなやかな踊りもタンゴもこなせる。
他の男役、娘役も、いつもに比べて見応えあったように思う。

来年の星ベルばら・・・絶対にこういう大階段燕尾群舞をフィナーレに入れて欲しいっ。
もちろん、わたるくんでねっ。これがあるなら、ベルばら自体も何とか乗り切れると思うのよ・・・



チャイナ・ドール・・・2002年「With a Song in My heart」

懐かしいっ。大好きっ。これしか言えない名場面だったよなぁ。いつもは少女マンガの世界の住人かと
思うほどカッコイイ〜リカさんのチャイナ・ドールと踊るマフィアわたるくん。帽子を目深に被り、
これでもかっと思うほどの男っぷりで両手を広げてリカさんを迎えるあの姿っ!どうして忘れることが
できようか〜っ。それくらい、この場面を愛しちゃっているのさっ。だから再現は嬉しかったけど、
結果は・・・結果は嬉しくなかったんだ、ホントに、かなり・・・(ーー;

とうこちゃんのチャイナ・ドール、似合ってたよね。でも髪型はイマひとつだった。アイーダはO.K
だったんだけどなぁ。普通に女すぎちゃったのが原因か?水くんも、それまではイイ味出してたと
思ったのに、意外にイマイチだったな。リフトはえらいと思った。よくもアクロバティックな難しい
リフトをクリアしたと感心したもん。でもリフト経験が少ないのか、水くん大変そうだったよね。
迫力にも欠けたし・・・比べることじゃないのかもしれないけど、やっぱり比べちゃうよねぇ(苦笑)。

群舞になってからも、やっぱり初演の方が・・・う、これ以上、この場面のコメントはできない・・・



バロック千一夜 フィナーレ・・・1995年「バロック千一夜」

これは「JFK」と上演されたショーでしたよね、確か?某レンタルショップで借りて観た記憶が・・・
お芝居はまぁ面白いかなと思ってたんだけど、ショーの方は全然記憶がないんだよねぇ(苦笑)。
いや、確かに観たんだけど、プロローグの段階で面白くないと感じてしまって、ほとんど早送りした。
しかも早送りに疲れてフィナーレは観ずに巻き戻しちゃったような・・・だから記憶にもないという。

今回の再現で初めて観た場面になるワケですが、また変わった選曲をしたもんですよねぇ。
最初に聴いたときは『なんじゃら〜るーじゃんじゃー』って耳に入ってきて、なに?って感じ。
付属の冊子見て、あぁ〜こう言ってるのかと分った(^^ゞ 何度か聴いてると曲が耳に馴染んできて、
結構、気に入ってます。初演は色濃いメンバーだったんだねぇ、高嶺ふぶきさんにイシちゃんに香寿さん。
みんなタイプは違うけど濃いよね(苦笑)最近にはあまりいないタイプの男役さんたちだったな・・・
今回はゆうひくん、かしちゃんの同期にガイチさんが加わって、懐かしいような珍しいような。
野生的な音楽にスーツ姿の男役という宝塚ならではの場面じゃないでしょうか(^^)?
もう少し人数がいると迫力もあるんだろうなぁ。ここからG線上のアリアに続くっていう発想というか
転換が面白いな。あれだけ男臭い人たちが騒いだ後に、赤い衣装のイシちゃんとかなみちゃん、
となみちゃんの優雅なダンスってのが、ギャップがあって合ってなさそうで意外にもおかしくないという。

余談だが、かなみちゃんの腹筋は意外だった(苦笑)ダンサーのようだよ。ずいぶんと痩せた印象だった。



国境のない地図フィナーレ・・・1995年「国境のない地図」

これもレンタルで拝見した作品・・・が、しかし。このフィナーレはほとんど覚えていない(ーー;
ちょうどわたるくんに落ちた頃で、とにかく出ている公演ビデオを見まくってやろうという感じだった
ので(苦笑)見てて「もわたるくんを探せ!」っていう状態で・・・でもマリコさんはとても見せ方の
ピカイチだった男役さんだから、さぞかし素敵に素晴らしく踊られていたんだろうと想像できますが。

震災後で、マリコさんのお披露目だったこの公演・・・わたるくんは新公主演だったんですね。
1本物の新公って部分的にカットされる場面があるけど、この時はショーまで演じたのかな?
なんか、トップになってから、ずっとずーーっと観たいと思っていた大階段の燕尾群舞・・・
本公演でなくてリサイタルで実現しようとは思ってもいなかったですよ。
お披露目から色んなショーを堪能してきたけど、こういう、「これぞ!」っていう場面が今まで
一場面もなかったよね。他組合同だけど、あれだけの男役を率いて真ん中に立つ燕尾姿のわたるくん・・・
もうメチャメチャ良かったっ!ありきたりの言葉だけど、とにかく良いっ。ひたすら良いっ。
ただただ良かった。選曲も良いし、何より振付が、まさしくこれはマリコさんのためにものだと
思えるもので、男役の繊細さや力強さ、品の良さもギュっと詰まってると思う。
こんなこと言っちゃなんだが、このわたるくんは紳士だった(^^; いつものパワフル元気とは違う。
大階段での一糸乱れぬ連鎖の振り、階段前での群舞、一列に並んだ娘役の前を流れるように絡む振り・・・
どれも計算された美しさで、ホントに素晴らしいものを観たという印象的な場面だった。
この燕尾場面、ずっと見ていたくて終わってほしくなかったよ。久々だね、こんなに感激したのは。

りらちゃんとのデュエットダンスも綺麗だったなぁ。そうだよ、これがデュエットダンスだよ〜って感じ。
星の娘役さんを見慣れているせいか、わたるくんと並んだりらちゃんの小柄なことったら。ビックリよ。
でもさ、なんかこんな身長差のコンビもいいよなぁ〜って思った。昔は結構あったよね、こういうコンビ。
最近はみなさん大きい人多いから・・・わたるくんの胸に寄り添うとすっぽり入っちゃうんだよぉ。
なんか新鮮でこのコンビ好きだ(^ー^)リフトもいつも以上に軽々だったよね。
今の星では観れないビジュアルのデュエットダンス・・・もう夢見心地〜でしたわ♪
来年のベルばら、フィナーレでのフェルゼンとアントワネットのこういうデュエット、是非とも作って
いただきたいっっ。切なる願いよっ。夢のようなデュエットと燕尾姿でどうにか乗り切りたいのよぉぉっ。



グラン・ブルー・・・1996年「パッション・ブルー」

このショーと一緒に上演された「二人だけが悪」好きでした。現代物にもかかわらず、いや、現代物だから
なのか、妙に薄暗い内容でしたが、この作品はお気に入りなんです。どこがどう・・・とは自分でもよく
分らないが、とにかく好きなことは確か(苦笑)。パッション・ブルーも結構スーツ系の衣装が多くて
好きですねぇ。これもまた、わたるくん探し中心に楽しむ作品ですが・・・(^^ゞ

瀬奈くんの歌から始まるこの場面。マリコさんの醸し出す色香とは違うムードを漂わせて銀橋を行く姿は
負けずにカッコイイですね〜。そして始まる男だけのタンゴ・・・みんな、もっとキザって欲しかったな。
ちょっとコンパクトになり過ぎた感じがするのよね。そこへパッション・ノワールのコムちゃん登場。
スッとして凛々しく、キレイですねぇ。さっきまでは結構骨太な印象だったコムちゃんなのに、ここでは
すっかり女性らしいというか、男前な女性って感じ(苦笑)。中性的と言う方がいいのかな?
いつもは娘役をリードする立場だけど、リードされるのも上手いよなぁ。ジャンルがタンゴだからやり易い
のかも?1学年とはいえ上級生をリードする瀬奈くんにも感心だ。観てて頼りなさも感じないし、学年も
気にならない。なかなか息の合った良いタンゴだったと思う、うん。



オマージュ・・・2001年「ベルサイユのばら2001」

宙のベルばらはBSでの放送をちょっと観ただけなので、この大階段群舞は記憶にない・・・
娘役さんが踊ったあと、大階段を斜めに下りてくる燕尾姿の男役たち・・・こういう演出が観れるのも
宝塚ならではですよね。センターから轟さんが登場すると、その立ち姿だけで流石な存在感。
周囲の雰囲気がキュっと締まる感じがする。わたるくん、コムちゃん、瀬奈くん、ガイチさんなども
加わり、さらに豪華に厳かな燕尾の群舞。息はしているんだが、一瞬それすら忘れて息をつめたままじっと
見入ってしまうほど、これが宝塚の歴史なんだよ!っていうのを実感した。真ん中に立つ人はもちろん、
最後列の端で踊る人までもが、それこそ頭のてっぺんからつま先まで神経を張りつめているというのが
感じられるほど繊細な踊りがこの燕尾の群舞なんだと思えた。踊る方にも緊張感あるだろうし、観ている
側にも緊張感が漂って、最後の決めのポーズに到ったとき何とも表現しがたい満足感を得るというか。
やっぱ、大階段といえば華麗なデュエットと黒燕尾、だよねぇ(^ー^)




今回、改めて振付家のセンスが大事だということを実感した。踊り手の実力や技術はもちろん必要だけど、
何より振付自体に信念がないと良いものはできないんだと。斬新な振付結構だし、新手の演出も歓迎。
でもそれ以前に「宝塚の魅力って何か?」って考えた時にパッと浮かぶのは、燕尾で舞い踊るキレイで
カッコイイ男役。だから演出家はもちろん、振付家にも何を望まれているのかを考えてほしい。
そういう意味で、羽山先生は男役の魅力とは何か?宝塚の燕尾とは何か?っていうのをよく理解している
振付家の1人だと思う。どうやったら男役はカッコよく、娘役は可愛くキレイに見えるかってことを知って
いる。その上で、その場に出る生徒の魅力を更に引き出すことができていることが素晴らしい。
コミカルな振りからキザな振りまで、どんな演出のどんな場面でも、男役娘役の魅力を忘れてないもんね。

で、一番すごいなと感じたのは、先生の振付って時代に関係なくピタリと場に嵌ること。
20年前の公演映像なんて古臭く感じるのに、振りは今でも「こんなの観たいよね」って思えるのよ。
ショー全体を通して新しいとか古臭いとかって感じることはあっても、振り自体に時代を感じない。
いつでも観てみたいと思える振付家・・・それが羽山先生なんだと思う。

もちろん羽山先生以外にも素敵な振付家はいますよ。ただ燕尾群舞に関しては羽山先生がダントツかも。
とはいえ、u-tsuは若央先生のフワッとした振付も好きだし、名倉先生のダイナミックな振りも好きだし、
すみれ先生のどちらかといえばオーソドックスな雰囲気も好きだし・・・喜多先生の振付も好きだったな。
最近は外部の振付家や卒業生の振付も多くなってきて、観る側としては色んな面が楽しめてイイかな。
珍しいコラボなんかあると、他では観れないものが楽しめるんじゃないかと得した気になる(^^)
でも新しいものが多くなるにつれ、逆に羽山先生など昔から宝塚に携わっている人の元から良い部分が
更に魅力的に観えるってのも事実だよね。バランス良く新しいものを入れるのは良いことなのかもね。


今度は是非、星組公演内で素敵なカッコイイ大階段黒燕尾の群舞を観たいっっ。
最近の星は変わった演出、斬新な演目続きで宝塚っぽくないような気がするんだよね・・・
いつも同じってのは辛いけど、そろそろ「これぞ!」ってものをやらせて下さい、お願いですっ。








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