長崎しぐれ坂


−江戸無宿より−



7月11日・・・やっと初日を迎えることができました\(^0^)/
毎回、期待と不安を感じながらの初日ですが、
一言で言えば『うん、いいんじゃない』という印象なんだけど、
でも、ナゼか気持ちがモヤモヤしているところもあり・・・
ま、とりあえず、場面ごとに感じたことをつぶやいてみましょう〜



お囃子の音が流れる中、徐々に客席が暗くなり、パッと照明がついたと思ったら
鳶頭に扮したわたるくんが・・・中国物もお似合いでしたが、和のメイクが
良くお似合いで、オペラグラス覗きまくりな冒頭(^^ゞ
販売されているスチールやパンフの写真とはまたちょっと違った感じで。
歌劇の座談会を読んだ時は神田祭りと長崎蛇踊りは別々に場面が用意されて
いるとばかり思っていたのに、実際はほぼ二つ続けてという構成で・・・
伊佐次・卯之助・おしま3人の登場を挟んではいるけど、それは主題歌1曲分。
三人の決めで本題に入ると思いきや蛇踊りになっちゃって、しかもそれが
のらりくらりで長い(苦笑)できれば蛇踊りと花魁と同時進行してくれって感じ。
幕開きから20分もプロローグで使われちゃぁ、観てる方はちょっとダラけて
きます・・・ショーのプロローグだってせいぜい10分だよって。
確かに花魁はキレイだし、龍を動かしている人たちの頑張りは認めます。
が、これに重点を置く必要性は感じないのですけどね。つまりは江戸から
長崎への場面転換をしたいだけなのでしょうから、子供時代の3人がクルっと大人の
3人に変身したように盆でも上手く利用して転換すりゃぁいいのでは?
時間は大事に使いましょうよってu-tsuは思うのですけど・・・

余談ですが、子供時代の三人が芝居してる後ろで、セットの神輿が動いているの
には笑ってしまった・・・しかも誰も担いでいないのに(苦笑)

ま、それは置いといて、大人になった三人が主題歌を歌い銀橋を通るところは、
やっぱりいつもと違う雰囲気で、"あぁ、なんて大人な組合せなんだろう"と。
専科を経て組の看板となってから、新たな面をいっぱい見せてくれてきたわたるくん
ですが、でもやはりその立場の責任というか、どこか力が入り過ぎているような
感じもあったかなという印象が若干ありまして、でも今回轟さんがいるということで、
良い感じに力が抜けている様子で、なんか懐かしいわたるくんだな(^^)と
嬉しくなりました。もちろん、看板としての貫禄はあるので、先輩の轟さんと
並んでいても負けていないというか・・・いや勝ち負けの問題じゃないんだけど。
余裕があるっていうのかな。先輩を立てつつ、きちんと存在感も出ていまして。
役柄が幼馴染っていう設定だからという部分も大きいのかもしれないけど・・・

舘岡さんの喧嘩場面、ル・サンク読んでの印象よりも緊迫感がありました。
台詞の言い回しも、なんとなくこんな感じかな?と想像していたよりも勢いが
あって、結構インパクトあった感じです。ここに出ている人たちは舘岡さん以外、
この後はラストまで登場がないから忘れられがちになってしまうので、
こういうインパクトは大事かなと思う。ココは卯之助登場の場面でもありますね。
ル・サンクには"不敵な笑い声"がして卯之助が登場とあるんですが、不敵な笑いって
どんな笑いなんだろう?とずっと気になってましたっけ(苦笑)
実際にはそんな不敵には感じなかったけど、ちょっと不気味ではありました。

『なんだウドか』『卯之助ですよ』のやりとりは、初日開けて間もないからか
客席からは笑いが・・・確かにわたるくんは大きい。そんなわたるくんが演じる
のだからウドの大木って表現は分るけど、何度も同じやりとりは『げっぷが出らぁ』
って感じ。大体、何度も同じ表現でからかうなんて子供のやることで・・・
言う方も訂正する方もどっちも子供みたい(苦笑)どーせなら卯之助が大人になって
訂正しないで軽く受け流してくれてたらな、なんて思ったりしたのですが。
やってるほうはシンドイとか感じたりするのかな?ご本人方はどう感じているのやら・・・
まさか、『ウドじゃねぇ、卯之助だい』ってのがやりたくて役名が卯之助になったんじゃ?
つまんないことやりたがる傾向があるから、あながち否定はできないかも(苦笑)。



唐人屋敷では、「花舞う〜」に続いて中国人に扮した方々が登場。
組長さんの水牛はなかなか面白い人物。台詞のイントネーションも自然というか(笑)
飄々として食えないオジサンという印象。この公演から組替した白羽ゆりちゃんは
可愛らしい中国娘。前回の雪公演を観た時にはあまりの弾けっぷりに驚きましたが、
今回も元気いっぱいというキャラが似合ってるなと。ただ、台詞にもうちょっと
感情があるとイイかなと。前回の役と今回では国も言葉も違うはずなのに、
1本の線で繋がっているような感じがするので、工夫があるといいのになと思う。
でも笑顔の華やかさは大事だし、そんな彼女の笑顔は好きです(^^)

浜で偶然出会ったおしまを連れて卯之助が登場・・・ごく普通の男という印象の卯之さん。
特に目立つワケでもなく、一目置かれるような雰囲気もなく、唐人の娘たちと話したりする
する姿はどこにでもいるような・・・という風体で、さっきの場面とは人が違う感じ。
伊佐次のことになるとすごく気持ちが高揚したり感情的になったりするのに、
普段はそういうのを全部隠して孤独に伊佐次を見守っているんだなと、ふと思いました。
もちろん、凶状持ちの幼馴染の命を助けるために追い続けているなんてことは、誰にも
知られてはいけないんですけどね。一途というか、お人好しというか・・・イイヤツだね。
おしまは艶やかで粋でキレイですねぇ。ちゃきちゃきと話す檀ちゃんってあんまり観ない
から新鮮だったかも(^^)歩くたびにカラコロと鳴る下駄の音が、何とも可愛いです。
去り際もまたイイですねぇ。今どき、あんな芸者さん見られるんでしょうか?

この場面で印象的なのは、卯之助が未だに伊佐次を心酔していることを、おしまが知るとこ。
盲目的なまでな伊佐次への友情は大人になった今でも持ち続け、変わらずに慕っている。
どうして子供の頃からの気持ちが変わらずに続くのか、色芸者に身を落とすしかなかった
おしまにとって、ちょっと信じ難いことに思えた一瞬・・・とu-tsu的には感じたんですけど。
『あんたは相変わらず・・・』の表情がね、羨ましそうにも寂しそうにも見えて、
この人には卯之助たちには想像できない苦労があるんだろうなぁと・・・

卯之助たちが去るのを待って、らしゃたちが現れ、続いて伊佐次が登場・・・
伊佐兄ぃの着流しキレイですねぇ(^^)流石ですっ。存在感もあります。
らしゃもカッコイイ♪石川五右衛門風な髪型が、荒々しく感じられて危険な香り〜。
伊佐とらしゃのやりとりの緊迫感が良かった。年上で経験豊富な伊佐が頭で、それに反発
するらしゃ・・・じっと隠れ住むには、らしゃはまだ若く血気盛んというところでしょうか。
若いから消極的なこの暮らしにだんだんと堪えられなくなって、ぼらの言葉につい塀の外へ。
この場面はらしゃの最期に繋がる大事な見せ場というところでしょうか。

そして、やっと幼馴染の3人が揃うしぐれ坂・・・思ったよりもあっけない場面でした(苦笑)。
特に感情移入することもなく、ただ観流したという感じで(ーー;
流石に人生誤っちゃった3人だけに、再会はそんなに盛り上がらないんでしょうか・・・
結構この場面楽しみだったんで、なんか期待はずれだった。しかも暗転前が
『ウドじゃねぇ、卯之助だい』なんだもん・・・まるきり卯之助ってば道化役じゃんって。
ま、大人になってもみんなにからかわれているんで、そういう捕らえ方でイイのかもしれないけど。
本心を隠すために道化役をして、奉行所の人間に何を考えてるか分らないようにするというか。
まさか卯之助が伊佐次を逃がすなんてことはありえない、くらいに思わせる必要があるのかも。
その方が色々と都合も良いだろうし。そしてその本心は伊佐次やおしまにさえ隠したまま・・・



らしゃが静かに歌いながら銀橋へ・・・u-tsuの周囲ではいっせいにオペラが上がる光景が(笑)。
面白いなぁと眼だけキョロキョロしちゃいましたよ。それにしても安蘭さんの歌声はイイですねぇ。
聞き惚れていると『らぁしゃぁ〜』という力の抜けるような声が・・・白羽ゆりちゃんです。
中国なまりと長崎の方言とで、聞いてると可笑しいんですが、またそれも可愛いんだよね。
そこへらしゃと同じく無宿者のさそりたちが登場。この人たちも方言がすごくて、しっかりと
耳を傾けていないと聞き逃しちゃうって心配が(苦笑)。ご本人たちも大変でしょうが、
聞いているこっちも必死なんだよって感じ・・・でも方言って面白いですねぇ。
九州弁のさそりが言う『イチャイチャしちょうちー、やみーやみー』ってのはお気に入りです(^^;
にしても、江戸時代に"イチャイチャ"という言葉はあったんだろうか?ナゾです・・・


伊佐次の部屋・・・李花とのやりとりは流石上級生という感じ。この李花という役はオイシイ。
しかも柚美さんのような大人の女性に配役してくれてよかったと思う。
気の強さと甘えたな部分が上手く出されていて、特に伊佐次の胸に顔を寄せるところはキレイだった。
そんな2人を、にょろにょろ蛇が邪魔をする(笑)あの竹蛇、イイ動きしますよねぇ。
卯之助っていうよりわたるくんが遊んでいるような感じが。観てるこっちも台詞を聞くより
にょろ助の動きに気がいちゃって(^^ゞあのにょろ助欲しいなぁって、そんなことばっか考えたり。
そしたら芳蓮と柳麗がらしゃの危機を知らせに・・・思わず塀外へ行こうとした伊佐次を
呼び止める卯之助。不本意にも本心が出てしまった卯之助の居心地悪そうな、照れているような
表情が卯之助の人の好さを表しているように思えましたねぇ。


ぼらがさそりや水牛らに囲まれ、伊佐次の前に引き出され・・・傷つき血だらけのらしゃが帰って
くる。ここはひたすら見入っていた場面ですね。ぼらが恐怖心でいっぱいになっていくところも、
ぼらを言葉で責めていくところも、徐々に緊張が張り詰めていく感じ。ぼらへの復讐を手助け
する伊佐次と芳蓮、ふらふらになりながらも短刀でぼらを殺したらしゃ・・・
なんでぼらなんかの言葉を信じちゃったんだよ、バカだな・・・って気はするけど、
らしゃも人の子、母親に会えるならっていう気持ちがあるだけ、心底悪い人間じゃないんだな。
人の忠告に耳を向けず危険な賭けをして命を落としちゃったけど、らしゃ本人が一番
分ってるでしょう。残された者にとっては悲しい結果だけどね・・・特に伊佐次と芳蓮には。
『しぐれ坂を下りると泪雨じゃ・・・』と息絶えたらしゃは可哀想だったな。

余談だけど、髪がバサリと落ちた姿は安禄山のようだった・・・

この場面の最後、卯之助と伊佐次の対峙は誰も卯之助の本心を知らないから、なんか卯之助が
悪者になる感じで損だなぁって。みんな伊佐の人柄を慕っているから、そんな前で堂々と
宣言しちゃってイイのかなと。もちろん役人の仕事といえど、ここは唐人屋敷・・・
役人の味方はいないもんねぇ。ま、卯之助に対してはみんなそんなに敵意はなさそうだけど。
でも、伊佐次はちょっと敵意が生まれたかも・・・敵意というより反意かな。


伊佐次とおしまの逢瀬・・・港の見える丘で2人は懐かしい話題で楽しむ。
話すのは江戸でのことばかり・・・どうして今の生活をしているのか、何があったのか、
そういうことには触れないでもっと昔の子供の頃の話ばかり。
子供時代のいい所ばかり思い出して、とうとう江戸に帰ろうよという話にまで・・・
『もう一度やり直そうよ』おしまの言葉にはどういう意味があったんでしょうか?
あの楽しかった江戸の頃に帰りたいのか、かつては恋人同士だった幸せな頃に
戻りたいのか。おしまの気持ちは伊佐次との恋人同士の頃に戻りたいってのが強い気が
する。伊佐次はとりあえず江戸が恋しい、おしまは居れば居たでなお嬉しいって感じが。
でも両人とも、どこまで本気で考えていたんでしょうね・・・


そんな2人の気持ちをどこまで知っているのか、卯之助はおしまの主人、和泉屋庄兵衛の
もとへ・・・おしまが頻繁に唐人屋敷へ出入りする理由を告げる卯之助は、やっぱり
ズルイと思ってしまう。でもそれを告げる時の卯之助は申し訳なさそうで、それは演技
というより、2人の幼馴染に対しての気持ちが表れているのかなと。いつも助けてもらって
いた自分がこんなことをして、裏切りと思われないだろうか?他にやり方はないんだろうか?
卯之助も悩みに悩んでの結論だったのでしょう。おしまは旦那に知られて卯之助をなじるけど、
全ては伊佐次のため、おしまのため、自分のため・・・卯之助の本心を初めて知って、
事の重大さを改めて理解できたのじゃないかなと。でもやっぱり、ギリギリまで、伊佐次の
もとへ行きたいって思っていたのでしょうね。『伊佐次さん・・・堪忍して』と手を合わせる
おしまは、また一つ夢を失くしちゃって・・・可哀想だな。想う人と一緒になれるのなら
それに越したことはないけど、色んなカタチの幸せがあるはずだから、きっとおしまは
幸せになれたのじゃないかな。自分で決めさせてくれた庄兵衛さんは結構やさしいんじゃ
ないですか?度量が大きいっていうか。それにしても1場面しか出ないのに存在感あるね。

ここの卯之助の『あの頃のおいらは八方塞がりだったんだ』って、どんな意味なんでしょう?
おしまのことが好きで、でもおしまは伊佐次が好きで、伊佐次もおしまが好きで・・・
気持ちだけでも伝えたいけど、親友で大好きな伊佐次に申し訳ないし・・・
などと色々考えていたんでしょうか?それとも、家庭の事情とかでそれどころじゃくて、
一段落して伝えようとしたら2人は恋人同士になっていたとか?うーんなんだろな?
すごく気になっちゃう台詞なんですよねぇ(苦笑)八方塞がりじゃなかったら一体
どう変化していたんでしょうねぇ?なんだかよく分らない台詞ですねぇ・・・気になるな。



その夜、ぐいぐいと酒をくらう伊佐次・・・傍では芳蓮が力なく座り込んでいる。
らしゃを失った悲しみに言葉もなく生き人形のような芳蓮を柳麗がそっと見守って。
卯之助がらしゃを埋葬して戻ってくると更に悲しみが増す芳蓮たち・・・伊佐次もらしゃを
思ってなお酒が進む。無鉄砲なところが自分の若い日と重なって、いつも気にかけていた
らしゃ。大事な子分を失って伊佐次の悲しみも深い。そしてまた一人、子分が去って行った。

いよいよ大詰めという大事な場面で、伊佐次がどんな風に囲いを出て行こうと決心するのか
見逃せないところですね。僅かにいつもと違う卯之助を感じ取った伊佐次・・・
決心したように卯之助が告げたのは、おしまの出立。こんなやり方はズルイと思いつつも、
これくらいのやり方じゃないと伊佐次の決心を鈍らせてしまうのかなとも。
それでも江戸に行こうとする伊佐次をなんとしても止めようとする卯之助・・・
やっぱり、u-tsuはわたるくんが好きなので卯之助に肩入れしてしまうんだけど、どうして
卯之助の気持ちを分ってくれないんだ伊佐次〜っ、て観てて何度思ったことか。
なんでわざわざ破滅へ進もうと考えるのか・・・考えるというよりは、もう本能からの
行動のようにも思えるんだけど、それにしたってもうちょっと状況ってものを考えようよって。
『どうせ一度は死んだ命』それならどう生きようと勝手でいいのか?と問いたいが、所詮は
伊佐次の命だもんね。本人が分ってて出て行くのなら、それも運命ってことなんでしょうか。

土下座して、行くなと云う卯之助。そして、ずっと隠していた本心を告げる・・・
『男は人前で泣かねぇもんだ』他人からしたら何気ない一言なのかもしれない。
でもそれは卯之助にとって何にも代えがたい力となって、ひたすら伊佐次を守ることに
一途に生きてきた。もしこの言葉がなかったら、卯之助は今こうして伊佐次の前にはいないかも。
それなのに伊佐次は塀を出ようとしている・・・もう伊佐次の心は決まっている。
でも引き止めたい。どうしたら留めることができるんだろうか・・・どんなに卯之助が思案しても
伊佐次は走り出してしまった。抜け穴に去った伊佐次の後を追ってもカラクリの扉はビクとも
しない上、李花が卯之助の行く手を阻む。塀外へ出てしまえば、卯之助も本来の仕事をしなければ
ならない。どうせ捕まるのなら自分の手で。命がけで出て行った伊佐次、卯之助もそれこそ
命がけで追って行くんですよね。もうここまでくると何とかならんものかと、観ながらついつい
思ってしまう(苦笑)。あんまりにも悔しいし悲しいし・・・罪人を捕まえるのに悲しいって
のはヘンだけど、卯之助の気持ちを考えたら、やっぱりそういう方向にいってしまいますねぇ。


精霊流しが始まると、その人ごみを利用して伊佐次が身を隠し、卯之助がそれを追う・・・
本来なら、らしゃの魂を送るところなんだろうに、伊佐次と卯之助は追いつ追われつ。
伊佐次の姿を見るたび、どうしても行く気なんだね・・・と思い、片足を引きずりながら
追う卯之助を見るたびに早く追いつけ、早く追いつけって気持ちが焦ってしまうu-tsu。
特に、片袖が脱げた状態で足を引きずって追う卯之助を見た瞬間には、頑張れっ!て声を掛けたい
くらい、泣きそうになるくらい、こっちの気持ちも必死だったという感じです。

そしてとうとう波止場での対決・・・周りを囲まれていると知り、伊佐次もやっと観念する。
個人的には、そんなに江戸に行きたきゃ海にでも飛び込めばいいのに・・・なんて思ったりも
したんですけど、昔は現在のように泳ぐなんて習慣はなかったでしょうから、無理ですよね。
勢いで飛び込んだはいいけど、そのまま水死・・・なんてことになりそうだしね(苦笑)。

おしまちゃんの船を拝みたいか、そう云いながら伊佐次にだけ分るように手で小さく合図する。
"その船で逃げな""早く乗れっ"て・・・気づいた伊佐次は驚いたけど、感謝して船に乗り込む。
瞬間、伊佐次の背中に、その動きを察知した舘岡が発砲・・・ちょっとした、油断、だったのかも
しれないとu-tsuは思う。卑怯と叫ぶ卯之助だけど、舘岡さんは自分の仕事をしただけ。
ただ、伊佐次と卯之助の間柄を知っていた人間にとっては、それは卑怯なのかもしれないとも思う。

卯之助は自分も船に乗り込み、船は波に乗ってゆっくりと流され始める・・・
船に座り込んだまま、息も絶え絶えに、それでもまだ江戸に帰りたいという伊佐次。
精霊流しと共に帰りなと卯之助。『見送ってやるぜ』伊佐さん、ちょっと嬉しそうだったな。
幻聴なのか神田囃子が聞こえる・・・死が近いとそんなこともあるのかもしれない。
我慢できずに泣き出す卯之助に、またもあの言葉が。『泣くんじゃねえ』それを最後に
伊佐次は息絶える。卯之助は伊佐次を守るようにしっかりと抱いたまま。
朧月のように霞んだ月夜の下、船はゆっくりゆっくり静かに漂う・・・



久々に、ジーンときた舞台だったなぁと思う。玄宗のラストも結構イイなとは思ったんだけど、
今回のは質が違いますね。男同士の友情っていうのをわたるくんで観たかったという気持ちが
大きいので、そのへんからして好感を持っていたのかもしれません(^^ゞ

伊佐次が抜け出してからラストまで、ホントに目が離せない状態で、いつも以上に力んで
いる自分に笑ってしまう・・・緊迫感あったし、精霊流しの踊りの存在感がすごい。
とても地味なんだけど、死者の霊、魂を送る儀式ってことで神聖な感じがしたし、
その死者の中にはらしゃの魂もいるんだと思うと、なんかしみじみしちゃって感動する。

らしゃの他にもさそり、あんぺ、らっこ・・・この人たちの生き様というものに興味大ですね。
らしゃなんて母親に会えるって騙されて命を落としちゃったくらい親思いというか、
純粋なトコロあるし、さそりたちもホントはどんな人なのかってのが知りたいし。
やってきたことは犯罪なんだけど、そこへいくまでの道のりってのがね、気になるのよ。
心底悪党には思えない人ばかりで、なんとなく憎めないっていう感じがする。

おしまの檀ちゃん、キレイだったです。楊貴妃よりもこっちのが好きかもって思った(^^)。
それなのにおしまの最後が『堪忍して・・・』ってのは残念だなぁ。もうちょっと何かあると
いいのにねぇ。例えば船の中で銃声をきいたおしまとか、霞んだ月夜を眺めるおしまとか・・・
もしくは若き日の伊佐次とおしまでもいいよね、卯之助は陰からそっと見守るって感じで。
まだ芸者に身を落とす前の、キレイな着物姿のおしまと伊佐次なんてイイんじゃないですか?
プロローグで時間使うより、如何に話を分りやすく進めるかが大事なんじゃないかと思うが。
お客さんの想像で楽しんでなんてのは怠慢だぞっ、演出家。


と、まぁ、つらつらと書いてみましたが、所見の感想はこんな感じでしょうか?
まだ思うことはあるんですけど、それを全部書いたらいつ終わるのか分らないので・・・
My初日の感想はこれまでってことで。あとは他の場所でつぶやいときます(ーーゞ


それにしても、轟さんとわたるくん・・・男臭さがイイです、素敵ですっ。
u-tsuはこのお話、っていうよりキャラクターがとっても好きになりましたっ。
伊佐次=轟 悠、卯之助=湖月わたる、おしま=檀 れい・・・
この配役は崩せないと思う・・・





Repo Topへ         Home Menuへ