王家に捧ぐ歌

2003.10.6 東京宝塚劇場  1階21列センター


前回の人物レポがあのようになってしまったので、
今回はできるだけ簡潔に・・・できるだけ、ね・・・


ウバルド・・・汐美真帆
カマンテ・・・真飛 聖
サウフェ・・・涼 紫央

エチオピア王子とその家臣。
云われないとイマイチ立場が不明な三人ですが、
ファラオ暗殺を実行する現代でいうテログループ。

ウバルドは王子という育ちのせいか、悪役になりきれない
部分が表に出ていて、想像と違ってたのが正直なトコロですね。
もっとギラギラしているのかなぁって思っていたんですけど。
ナイフを舐めたりアブナイ感じがする人ですが(苦笑)、
囚われてから精神的に病んできているのかな、
っていう感じに受取っておりますu-tsuは。
ウバルドって家族愛が大きいですよねぇ?
妹大好き、父上も大好き、祖国も大好き(苦笑)。
そう思うとウバルドも真っ直ぐで純粋なヤツだなと。
エジプトに復讐を、っていう信念をもって頑張って、
結果はファラオ暗殺が成功・・・
国のため父の為に喜んで犠牲になる王子。
よくよく考えればただの捨て駒じゃないの?
ってことなんだけど、本人はあまり気にしていない
っていうか、エジプトを滅ぼしてやるってこと
しか考えていないから自らの命まで賭けられる
のでしょうかねぇ・・・?
まぁ、その後の結果を見れなかったのは幸いかも。
エチオピア復興どころか壊滅されちゃったしねぇ(苦笑)。
そんなのウバルドにとっては耐えられないですよ。

カマンテは野心的な感じかなぁ。
結構、態度が大きくて元家臣とは思えない(苦笑)。
ウバルドに対しても、遠慮せずに意見していたんじゃ
ないかなって感じますね。主従という関係を保ちつつ
でも、ウバルドを操っていたりもしたんじゃないかと。
エジプトを憎んでいるという他に、いつか自分が国を
手にしてやろうくらいの気持ちも持っていそうで・・・
でもファラオ暗殺の後に命を絶ってしまうんですけどね。
個人的に、カマンテにはあの場から逃走してもらいたかった
という気もします。一人くらい志がちょっと違うカタチで
現れてもいいんじゃないかなって思うし・・・
まぁ、この公演の場合、野心家が次々と出てきたら
もっと混乱しちゃうけど(苦笑)。

サウフェは一番冷静で常識的な人物に思えますが、
こういう人が極限で何をするのか想像できないんですよね。
しかも何を考えているかさっぱり判らない。
エジプトを憎んでいて復讐を遂げようという気持ちは
でているんだけど、それ以上のことがイマイチ・・・
自分以外は何も信じていなさそうで、実は神とか
夢とか愛とかを一番信じていそうな気もするし・・・
ラダメスが解放を願い出た時にすごく驚いて
何を云ってるんだこいつは?!っていう表情なんだけど、
徐々に希望を見出したような夢見る感じの表情で
ラダメスを見る時があるんですよ。
意外と平穏な生活が望みなのかなって感じが
するんですけど、ホントのところは分からない(苦笑)。

ケロさんはいつ見ても安定した舞台ですよね。
こういう敵役は珍しいんじゃないですか?
全ツの時も敵対する役でしたが、ただの嫉妬で
目の敵にするって感じでしたけど、今回は
国を背負っての復習劇ですからねぇ。
良い人っていうイメージの役柄が多いケロさんなので
新鮮ですし、やっぱり上手いなって思って観てました。

まとびーはギラっていて、何も云わずとも復讐に
燃えてるっていうのが伝わってくるようでしたね。
アイーダを軽蔑しながら責めるシーンでは
家来であるのに王女以上に威圧感があり、
アイーダへのもどかしさみたいなものも感じ取れて
彼なりに国を思う気持ちがよく出ていたと思います。

涼くんは寡黙で物静かなサウフェを良く演じていました。
三人の中では一番分かり難い人物だと思うんですけど、
多くを語らないけど内に秘めてるのは結構アブナイ
ものだぞ、っていう感じは出ているのではないかと・・・
サウフェの日常っていうのがすごく気になるu-tsuです(^^ゞ

アモナスロ・・・一樹千尋
ファラオ・・・・箙 かおる

極悪非道・・・とまではいかないと思うけど、
似たようなやり方の王ですよねぇ。
でも圧政とまではいかないのかなぁ?
ファトマたちが祖国を思って歌う歌詞から想像すると
すごく豊かな国だなって印象が強いんですけど、
囚われたエチオピア人がエジプトを見て、その豪華
さに驚くシーンを観ると、財政的にかなり苦しい状況
なのかなって感じはしますよね。
緑に恵まれてはいるけど、国的には苦しいってとこかな?
それはやっぱり王であるアモナスロの政治的手腕に
問題あり、ってことなのかしらねぇ?
自分の家族ですら復讐の道具として利用する。
国を守るのが王と王族の役目とはいえ、
アモナスロのやり方にはそれ以上に自分の利益しか求めて
いない部分の方が多いのではないかと感じます。
ウバルドやアイーダは彼の口車にまんまと乗せられて
いるようにも思えますし(苦笑)。
凄く野心旺盛なアモナスロは彼なりの信念でもって
ファラオ暗殺を成功させたワケですから、
邪念はあれど一途な信念の持主ってことですよね。
結果的には国を失い家族を失い自身までも失うという
大きな代償ですが、それを悔いることもないのですから
不幸中の幸いってことで・・・(苦笑)。

ファラオは一言で云えば「掴みどころがない」ですね。
神的な存在で絶対の存在・・・
でも一人の人間だし、良き父親でもあるんですよね。
観劇前は威厳と共に威圧感もあって厳しい存在なのかな
と想像していたんですが、威圧感はなく慈悲深い印象が
とても強かったです。雰囲気もやわらかいし。
すごく人間味があって温かいなぁという感じでした。
でもそういう部分が、逆に太陽神の子として称えられる
に至っているのかなとも思えますが。
ただ、エジプトをどういう方向へ導いていきたいとか、
これからどのように治めていくのかっていうのが
伝わり難いですねぇ。とりあえずエジプト自体が
現在は安定しているから特にそういう考えは必要ない
のかもしれませんが・・・神官のほうが実権を握って
いるような印象もありましたので。
でもファラオはここぞという時に権力を発揮できれば
いいのかもね、っていう気もしますけどね。
ラダメスがエチオピア解放を口にした時は
とても衝撃を受けたようでした。
ファラオだってこれで良しと信念もって治めてきた
ワケでしょうし、それを今更覆されようとは思って
いなかったでしょうし・・・
ただラダメスの深い願いを聞いているうちに
もしかしたら違うカタチでの平和があるのかもしれない
という考えが生まれ、確かに夢のような願いだが
それが現実になるなら良いと思ったのかもしれませんね。
何より娘が愛し、自分も信頼を寄せているラダメス。
彼の言葉に賭けてみよう、新しい時代を見てみようと
思ったんでしょうね、きっと。
でもさ、ファラオがもうちょっと敗国へ配慮を
していたらここまで悲惨なことにはなってなかった・・・
かも、しれないなぁと感じたりもします。


ヒロさんもチャルさんも昔から好きな役者さんです。
この公演でのお二人の活躍は外せません。
若返りする宝塚ですが、こういう存在感を発揮できる
役者さんがいるから舞台も引き締まると思っています。
アモナスロが狂ったふりをして歌う場面は
トリハダもんでしたよ。
目つきが尋常じゃないっていうか、ふりとはいえ
歴戦の戦士さえ騙してしまうというアモナスロの
復讐心の強さに感服でしたねぇ。
ま、ラダメスはすでに感覚鋭い状態ではなかった
けど、その時は運がアモナスロの味方をしてるっていう
感じにも取れて、色んな運が動いているなって思えます。

チャルさんはエジプト人民だけでなく
国ごと包み込むような大きさが
感じられ、包容力の大きさが見事でした。
なかでも愛娘アムネリスをとても愛しく気遣うところが
父親としての愛を表現できています。
ただ立っているだけでエジプトでの存在の大きさが
出ていて、エジプト全体の支えになっているなぁって。
でもそんなファラオも決して自由でなく、
多くの鎖に縛られていたんだろうなぁと思うと、
真の自由を得るのに死は欠かせないものなんだろうか?
と、ふと思ったu-tsuです。

ケペル・・・立樹 遥
メレルカ・・柚木礼音

エジプト戦士でラダメスの友人。
ケペルは常識的でラダメスやメレルカと比べて
精神的に大人かなぁっていう印象です。
情が深いようにも見えますね。
敵国を解放するとラダメスから聞いたときは
なんで???って疑問だらけのケペルですが、
徐々にラダメスの気持ちも理解するようになって
くるんですよね。でもそういう考えでいたことを
ずっと知らせてくれなくて、なんだよ親友なのに
って悔しい寂しい気持ちもあったように思えます。
そんなことがあって暫らく後、ラダメスが大切な
王家の秘密を漏らしたと知らされる。
もうケペルはラダメスのことが判らなくなった
というような表情で凝視していました。
ラダメスを捕えたケペルは、何故二度も裏切った?!
というような苦渋の表情でした。
度重なる戦を共に戦い抜いてきた親友の行動が
ケペルの理解できる範囲を超してしまったという
感じなのでしょうか。
戦場では運命共同体みたいな意識があるなかで
培ってきた信頼や友情で結ばれていた仲だけに、
悩んでいたなら困っていたなら何故一言、声を
掛けてくれなかったのか?っていう
思いはあったのではないかなと。
そして、そんな親友の変化に何故早く気付いて
やれなかったのか?と悔やむ部分もあるだろうし。
処刑の時間で現れたケペルは抜け殻のように
呆然としたまま立っていました。
次第に表情が大きな悲しみに変わっていくケペルに
ものすごい同情を感じました。
ラダメスに駆け寄ろうとするアムネリスを止める
ケペルが何とも・・・哀しいし可哀相だし。
ファラオ!と呼ぶケペルの声は涙を懸命に
堪えているようでした。
アムネリスの悲しみを間近で見て、その気持ちを
充分理解しているケペルなので、以後は
アムネリスの護衛はもちろんのこと、精神面でも
彼女を支えてくれるのではないかなと・・・
勝手に想像しております(苦笑)。
個人的にはケペルとアムネリスがイイ関係に
なってくれたら嬉しいかなぁって感じなんですけど。

メレルカは気性が激しそうというかハッキリ
している青年だという印象です。
それなりにお気楽で自身家でもあるっていうか。
常に動き回って落着きなさそうな部分もある感じだし。
俺も将軍になってやる!っていう野心はあるけど
陰険ではなくさばさばしていて人当たりは良いかな?
エチオピア解放という言葉を聞いたときは
やはり驚きが大きかったメレルカです。
ラダメスの言葉が理解できない面持ちで
身体も強張ってしまったという感じです。
でもあまりロコツには表情に気持ちが現れない
メレルカでしたが(苦笑)。
ひょっとしたらケペル以上に驚いていたのかも?
自分よりも先に将軍となリ、彼の指揮の下勝利した
戦の褒美が敵国の解放・・・戦士以外の道なんて
考えたことないであろうメレルカにとって
親友の言葉は青天の霹靂ですよねぇ。
宴の時にはすっかり適応していましたけど(笑)。
でも流石にラダメスが裏切ったと知った時には
表情も一変して恐かったですけどね。
処刑の時は気持ちを隠すように表情が硬かったです。
客席からの角度でそう見えるのかもしれませんが。
メレルカが一番戦士らしい要素を備えているのでは
ないかなぁと、個人的には感じたりしますねぇ。
アムネリスを止める時も、ケペルとは違って
感情があまり読み取れなかったように感じますし。
戦士としてのみその場にいるような感じのメレルカ
だったなぁと、感じたu-tsuです。
彼のその後は、ラダメスの意思を受継ぎつつ
戦士の中の戦士と呼ばれるようになってくれたら
嬉しいなと思います。
戦うことはなくなっても国を護るのに戦士は必要
だし、メレルカにはそれだけの力があると思うので。


しいちゃんはいつ見ても元気!という印象が強く、
見ているこちらも自然とニコニコになってしまいます。
そこがとっても魅力的なんですよね(^^)。
ケペルはしいちゃんの持っている元気が優しさとなって
表現されているなぁと感じました。
親友を思いやる気持ちやアムネリスを気遣う気持ちが
とっても温かいケペルでした。

礼音くんは想像していたよりも大人っぽく見えて、
改めて存在感を認識したっていう感じです(^^ゞ
限られた出番で人物像を印象付けるのは難しいですが、
メレルカとしてしっかり存在していることに感心です。
u-tsu的にメレルカは自分の成りたいものなどの
目的をしっかりと持っていると思うので、
同じく野心的(であろう)カマンテとの対決っていう
のを見てみたいかなぁと考えたりしてます。
でもカマンテ死じゃうんだもんね、ムリだ・・・

とまぁ、主な役についての感想を書いてみました。
上記以外の人物についても感想はありますが、
とりあえずここまでってことで・・・

この公演、大好きなわたるくん演じるラダメスにすら
嵌りきれないu-tsu・・・でも作品にはどっぷりと
浸っていたりするんですけどね(苦笑)。
気持ちが分離されてしまうという感じなんですよ。
観劇して、ああ観て良かった!と単純に満足する自分と、
こんなにモヤモヤが残るほど、なんて悲劇なんだろう!
と落ち込む自分が常にいて(苦笑)とても厄介・・・
毎度毎度、マイナス感情が剥き出しなレポですが、
観劇後に情緒不安定になってしまうのが原因らしい(苦笑)。
ま、かなり作品を楽しんでいるので
ちょっとした代償ってトコロですかねぇ・・・

にしても、コレって簡潔になってるのか?
因みに簡潔とは、手短に要点をとらえる
ってことなんだが・・・


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