王家に捧ぐ歌

2003.10.6 東京宝塚劇場  1階21列センター



とりあえず2度目の観劇へ行ってまいりました・・・
↑とりあえずってことはないか(苦笑)?
初日以降ずっとモヤモヤ感が抜けなくて、
どう消化したらイイのかホント、困ってます・・・
作品自体の出来は良いのに気持ちが乗ってこないんです。
初日のレポを書いてる時点ですでにモヤモヤだらけ。
長いこと宝塚の舞台を観てて、こんな経験は初めて(苦笑)。
とりあえず、人物を中心にレポってみたいと思います。



ラダメス・・・湖月わたる

初日を観ても感じたのですが、歌唱力・声量共に数段アップ
されていてとても聴き易かったです。
劇場を歌で包み込むというか、そういう包容力の大きさも
きちんと感じ取れて不安なく力を抜いて観ることができました。
舞台姿も今まで以上に堂々たるもので、
センターに立っているのがとても自然でした(^ー^)。
初日は組全体が力を入れすぎていたような感がしましたが、
今回はそういった緊張はなく、イイ具合に力が抜けて
いるようでとても落着いていたように思います。

ラダメスという人物に関しては、観劇前と後ではかなり
印象が違うなぁというのが正直なところです。
もっと潔い男なのかな、って想像しておりました。
何に対してもハッキリとしないというか煮え切らないというか。
独り善がり的な部分も感じますし・・・
もちろん完ぺきな人間はどこにもいませんが、
力や権力で国を統率することが常の時代に、戦をなくし
平和をもたらしたいという希望を持っているわりには
どこかお目出度い人物だなぁと(苦笑)。

でも素直というか、真っ直ぐな性格というのは好感持てます。
ラダメスの駆け引きなしに相手にぶつかっていく
ところはとても好きです。
結局は嘘が付けないという部分に繋がっていますから。
相手の出方で行動を決めようっていうところがないからね。
きっと敵国に捕われて尋問とか受けても絶対に秘密は
漏らさないという、とても信頼できる戦士だと思います。
が、真っ直ぐな性格は時に命取りにもなったりするもので・・・
アイーダを愛する気持ちが大きくて、ついつい余計な秘密まで
教えちゃったりねぇ・・・戦いはもう終った、とラダメス自身が
スキだらけになってしまった故にその後に起こる悲劇の
元凶になってしまうという・・・

そしてエチオピアを解放したという満足感で、戦士としての
プライドまで無くしてしまったようなラダメスの行動。
アイーダと一緒になりたい、アイーダがいればそれでいい・・・
もうアイーダのことしか考えていないラダメスになってしまって、
解放したら解放しっぱなしという印象が強く、
あれからエチオピア人たちはどうしちゃったんだろう?って、
とっても気になってしまったu-tsuです。
慈悲を与えるってことですから、エチオピア人に対しては
生活の保証だとか必要でしょうし、王族を人質としている間の
国の秩序とかは大丈夫なのかとか色々と厄介ゴトが
多く発するワケですよねぇ?
それなのに解放を願い出た本人はアイーダと国を出るだの
二人っきりでずっと暮らそうだの幸せに浸っているワケでしょ?
どうしてもラダメスのそういうところが
イマイチ理解に苦しむトコロなんですよねぇ・・・(苦笑)。
アイーダと一緒になるためだけにエチオピア解放という
大事を行ったいう印象は強かったなぁ。
実際にそういう気持ちだっただろうし・・・
もちろん、同様に平和を願ってはいたのでしょうけど。
愛する人との幸せを邪魔するワケじゃないけど、
もう少し自分のやった事に対しての責任は果たして
欲しかったと思うのです・・・

確かに裏切り者として生埋めの刑に処せられますが、
それだって自分で撒いたタネだもん、仕方ないよね・・・
という気持ちになってしまいますし(苦笑)。
それに、死ぬ人間よりも残された人間の方がずっとずっと
困難な問題を抱えたまま、成さねばならないことが山積みで
苦労も多いはずなんです。
虐殺、虐待などから解放する事はとても意義あることです。
でもそれを宣言した本人があの調子では
素直に納得できないのですが?
どうせならここまで大事にせず、ファラオへ直にアイーダとの
ことを申し出たら良かったのにねぇ。
ファラオ暗殺が成功してしまったために、解放されたはずの
エチオピアが壊滅されたのですから、ラダメスのしたことは
果たして意味のあったことなんだろうか?という
疑問が湧きあがり、アムネリスが二人の意思を継いだのは
ファラオとしてそうせざるしかなく、
単なる結果オーライなだけなんじゃ?
とすら思えてしまうu-tsuです・・・(苦笑)。

観劇中、何度ラダメスの行動に溜息をついたか・・・
気持ちを振りまわされながらの観劇なんて
なかなかないですよ(苦笑)。
いつも以上に精神力を必要とされる公演ですねぇ。
もちろん観客が、ですよ・・・(ー。ー;

とは云うものの、ツボはやはりあります(^^)。
狂った振りをしたアモナスロがアムネリスに近づくと
間に入って守る態勢を取るところとかは
さすが戦士!って感じでさり気なくカッコイイ〜♪
そう、この日は戦場の場面での殺陣がピタリと決まって
観ていて気持ち良かったんです。
舞台中央で敵の長槍に囲まれ、更に突き出された剣を
自らの剣でなぎ払うという振り付けなんですが、
初日はラダメスが剣を抜くのがちょっと早かったんですよ。
なもんで振りが一拍空く感じで、おしいっ!
とか思って観てたんですけど(苦笑)。
いや〜、やっぱりピタリと嵌ると観ていて気持ち良いし
カッコ良さもアップしますよね、うん(^ー^)。

その他、地下牢でのアムネリスとのやりとり、
アイーダへの包容力とかがとっても好きなところですね。
いつの頃からか気付いていた自分へのアムネリスの気持ちが
更に鮮明に理解できたのはこの地下牢での場面ですね。
以前はとても良い関係にあったであろう二人が、
いつのまにか気持ちがすれ違いになり、
ラダメスの死をきっかけに修復されるというか・・・
自分が命を賭けて仕えたアムネリスだからこそ、
彼女とは言葉では表わせない絆みたいなものがあったと
思うんです。そのアムネリスに自分が伝えた平和の意味を
もう1度考えてみてほしいと訴え閉じ込められる場面は
とても哀しいけど、でも平和への希望が語り継がれる
第一歩なのかもしれないなぁと思えます。

もしかしたら、心の一番深いところで結ばれている
のはこの二人なのかな、とさえ感じてしまうu-tsuです。
アイーダでさえ入りこむ余地がないくらいだったりして(苦笑)。
時に友情は愛情にも勝ることがありますからねぇ・・・

わたるくんはとってもとっても素敵だったけど、
ラダメスって、どうよ・・・?
と思ってしまったu-tsu。
イイ奴だとは思うんだけどねぇ・・・


アムネリス・・・檀 れい

この公演で何が一番驚いたって、檀さまですよっ。
歌唱力、声量共に著しい成長でビックリ(苦笑)。
こんなにキレイな声してたのか・・・と初めて気付きました。
初日から2週間以上過ぎても喉の不安はみられずでした。
高音低音の差が激しい歌は不安が残りますが、
ほとんどは自然と歌われていて違和感もなくすんなりと
耳に馴染んでいたように思います。
全ツでは多少ギコチナイ印象もあったのですが、
この舞台ではそういうこともなかったので安心して観ておりました。

アムネリスに関しては、悲劇のヒロインということで
観客にとっては感情移入しやすいのではないかなと思います。
ちょっと意地悪な部分も見えますが(苦笑)、アムネリスは
ファラオとなるべく生まれてきた女性だなと感じます。
威厳あり、近寄りがたいオーラを放ち何でも手に入れることが
可能なエジプト王女・・・でも一番望むものは手にできず、
女性としてよりも国の上に立って生きることを定められており
自由に生きることができない・・・
自由に振舞っているように見えて、実は自由でないアムネリス
の息抜きはイジメだったかもしれない(笑)?

そもそもアムネリスは何故ラダメスを愛したのでしょうか?
好きになるのに理由はいらないんだけど、高貴な身分の人が
一介の戦士に入れこむワケですからねぇ(苦笑)。
なにか強烈な印象があったのじゃないかな?と思うんですが。
u-tsu的にはラダメスとアムネリスは少年少女くらいの頃から
お互いを知っていると考えています。
友達から主従、主従以上恋人未満な時期を経て、最終的には
戦友へと関係が変化していったのではないかなと・・・
で、少女期のラダメスとの出会いで彼に好意を寄せ、
徐々にそれが恋愛感情へと変わっていったのだろうと。
以来、あれこれとアプローチをしつつ一途にラダメスを
想っていたのに、敵国の王女に心を奪われてしまったとは・・・
どうせならラダメスと婚姻だけでも済ませておけば良かったのに、
と思ったu-tsuです(苦笑)。ファラオもきっと賛成
してくれたと思うんですけどねぇ・・・

初日と比べて、アムネリスの気持ちの変化っていうのが
とても繊細になっているように感じました。
王女の部分と女性の部分と上手く表現されています。
アイーダに意地悪をする時は嫉妬からの行動というのが
出ていて、更に高貴な人達特有の我侭な部分も適度に出ていて
ただの性格悪い王女にはなっていないところが良かったかな。
凱旋の後、ラダメスが解放を願い出た時の表情が王女と
女性のアムネリスの気持ちをよく表現していました。

あなたの心が判らないと言ってすぐ顔を背けたアムネリスの
気持ちってどれほどだったのかなぁと・・・
反発するエジプト人を見渡しているアムネリスは
ホントに理解できないという表情で、ラダメスの言葉を
聞けば聞くほど更に疑問が深まるという感じでした。
ファラオが願いを聞き届けた後は不安な面持ちのまま、
父が許すなら自分も父と一緒にこの成行きを
見届けましょうという感じのアムネリスでした。
親子以上の信頼関係が出来上がっている親子、
という印象が強いです、エジプト王家は(笑)。
だから言葉を違える事なくラダメスの願いを
ファラオが聞き入れても、アムネリスは不安は抱えた
ままでも異議を唱えず静かに従ったのではないかなと。

二幕目の詰問場面で、とうとうラダメスの
気持ちを聞かされてしまうアムネリス・・・
控えなさい!と叱責する表情は悲しげで可哀相でした。
今までは良い関係を保っていてとても幸福な時間を過ごして
いたのにアイーダの出現でそれが壊されていき、
とうとう信じたくなかった事実を知らされるアムネリス。
どんなに権力があろうとも一番望むものが手にできない
悔しさ寂しさは、アムネリスの人生の中で最大な
不幸になるのではないでしょうか。
どうアプローチしようとも揺るがないラダメスの心を、
とうとう権力で手に入れようと決意するアムネリス。
でもここまでくると、ただ意地になってるだけのようにも
思えますよねぇ。なぜ同じ王女なのに私じゃダメなの?!
みたいなね(苦笑)。アムネリスって子供っぽいとこあるし。

そしてやっとラダメスを我が物にできると思い込んでいた
矢先に最愛の父が暗殺されてしまった。
叫びながら倒れた父のもとへ駆け寄るアムネリス。
そして愛した人が裏切ったと知った瞬間、一人の女性として
泣き崩れたアムネリスがとても印象深いです。
ずっとずっと想い続け、他の女性を愛してしまっても
それでも想い続けたラダメスによって父が殺されたという
事実は信じがたく、でも実際に倒れた父を見れば現実で
あることは一目瞭然で・・・悲しみよりも驚きの方が
大きかったのではないでしょうか。

そして『エジプトが滅びる』と騒ぐ群集を見渡すと
悲しむ一人の女性から瞬時に王家の人間へと切り替わる
アムネリスの行動はすごかったです。
うろたえてはなりません!
すごい形相で憎しみだけが彼女を支えているように見えました。
ラダメスの剣を引き抜き、裏切り者は閉じ込めておきなさいと
命じるアムネリスですが、気持ち的にはまだ信じられないような
様子でしたねぇ。ただ王家の本能で行動しているような感じだし。

地下牢で、とても静かに優しく声をかけるアムネリス・・・
そこには女性としてのアムネリスしか存在していませんでした。
堪えきれないアムネリスはラダメスの正面へ立ち、自分の
本音を吐露する。でも返ってくるのは寂しげな微笑と彼女の名前。
ラダメスの首へ両腕を回し更に気持ちを吐き出すアムネリス。
彼女の顔をそっと覗きこむラダメスからは、是が非でも私を
処刑しなくてはいけないと告げられる。
ラダメスを助ける望みを無くし哀しみに堪えている姿が痛々しい。
最後にあなたに問いたいと申し出たラダメスの言葉に
一瞬希望を見出したようにハッとするアムネリスですが、
あの時、彼女は何を思ったのでしょう・・・
ラダメスを助けられると思ったのでしょうか?
アイーダに騙されたとラダメスが告白したなら、
命を助けることが出来ると思ったのか?
仮にラダメスが命乞いをしたら、アムネリスは
喜んで助けたでしょうね。
神官が何と云おうとファラオという権力を最大限に
利用して、体面も気にせずに助けたでしょう。
何を失っても、ラダメスを助けられるなら
それでいいという気持ちがアムネリスを包んで
いるように感じました。

でもラダメスの最後の言葉は
世界が果てるまで戦い続けるのか?
という、彼がずっと口にしてきた疑問。
死を前にした人間が命乞いをするわけでもなく、
誰かを罵るわけでもなく、ただ平和への
思いを告げる・・・それも自分が唯一愛した人が。

ラダメス!と穴へ駆け寄り絶叫するアムネリスの
姿がすごく心に痛いっ。
胸が張り裂けんばかりの、って表現がありますが
アムネリスのあの絶叫にはその言葉通り以上の
気持ちが詰まっていてそれが劇場を包み込んでいる
ような痛さがありました。
どんなに望んでも手に入らなかったラダメス。
そのラダメスが地下へ沈んでゆく。
二度と会うことはできない地下へ、死ぬために。

王家の人間として国を選ばざるを得なかったアムネリスは、
どうして女性として生きなかったのかと後悔するんでしょうか?
でも彼女は底の底でとても頑丈な強さを秘めていると
思うので、どんなに哀しくても後悔はしないのかもしれない。
そしてギリギリの状態で王族としての分別を
保っているように思えます・・・

ホントのアムネリスは可愛い女性なんですよね。
気位が高くて不器用だけど、そこが彼女の人間らしい部分。
フィナーレの「月の満ちるころ」では、アムネリスが
王家の鎧から解き放たれてやっと自由を得る。
自分の責務を果たし終えた後の再会。
とっても良い表情をしているので、どんなに茨の道が
続いていようとも苦しい選択をしたからこそ得られる
幸福感でいっぱいなんだろうなぁと感じます。
結局は彼女も幸せを得られたということで、
めでたしめでたし・・・なんですよね(^^)。

余談なんですが・・・
アムネリスが解放されるというデュエットダンス
なら、お衣装や髪型はもうちょっと
なんとかならなかったのでしょうか?
どうせならきっちりと役柄でのデュエットダンスが
観たいんですが・・・
だってアムネリスは誰と踊ってるの?
って感じなんだもん(苦笑)。
観客の中にはただのデュエットダンスだと
思ってる人がいるかもしれないし・・・
せっかく大きな意味があるダンスなんだから
きちんと演出しないと勿体無いと思うけどな・・・


アイーダ・・・安蘭けい

とてもキレイな歌声で熱演されていました。
今回は娘役ですが、違和感なくアイーダとして観れたかな。
王女としての品はどうなんだろう?
あるようにも見えるし無いようにも思えるって感じ(苦笑)?
ただ権力と争いの時代に平和を求めるという難しい役を
しっかり自分のものにできていたようには思えます。
が、もう少し強さが出てもイイのではないか、
という気がするのが正直なトコロ。

囚われてからどれくらい経っている設定なのか
分かりませんが、カマンテが語るアイーダの勇ましさ
っていうのが全く伝わってこないんですよ。
喧嘩っ早いとか男勝りなとかっていうことでは
ないだろうとは思うのですが・・・
個人的には、やられたらやり返すくらいの
行動をするんだろうな、という想像ですが(苦笑)。
勇ましいという言葉からは、やっぱり強いという
イメージが湧いてきますし。
ただ強さには色んなものがありますから。
アイーダの場合は信念を持ち続けそれを曲げない
という強さ、ですよね。
理不尽な仕打ちに対してもそれを許そうという強さ。

アイーダの精神的な強さっていうのはかなり
表に出ていると感じますが、勇ましさねぇ・・・
もともとアイーダがどういう女性だったかっていう
部分が描かれていないので、観てても疑問に
感じることがやっぱり多いですよね。
信念を曲げない強さはあるのに家族に対しては
弱いというか・・・信念がないっていうか。
他人には「戦いは 新たな戦いを生むだけ」
と断固として説いているのに、家族相手だとそれが
ちょっと弱気になってしまうという感じがします。
カマンテやサウフェたちに責められている時の
アイーダには何の威厳もないし、ホントに身分高い
生まれなのか?とさえ感じますし。
そもそも王女にそんな口きいていいのか?!
って気もしますけどね(苦笑)・・・


信念を貫くのはとっても尊敬に値することだけど、
アイーダが反戦を訴えるようになったのは
何が原因なのでしょうか・・・?
よっぽど大切な人や物を戦いで失ったのか?
無残な亡骸を目の当たりにし人の生死について
何か強く心に訴えかけるものが沸きあがったのか?
エジプトとの戦を見て、ただ漠然と戦は無意味な
ことだと悟ったのか?
u-tsuにはアイーダがただ漠然と戦は無意味だと
悟っているようにしか思えません・・・
戦が起こる度に沢山の人が死に、囚われる。
負けた国は復讐戦と称して新たな戦を起こす。
この繰り返しをアイーダは他人の目からと
家族の目からと両方向から見て、その結果
「戦いは 新たな戦いを生むだけ」なんだという
結論に達したのかな、と思うのですよ。
ホントのところはどうだか知りませんが・・・

アムネリスと同じ一国の王女であるにもかかわらず、
境遇は全く異なっているようですよね。
アイーダって質素で無駄を好まずって印象が強いんですが、
それはお衣装のせいなんでしょうか(苦笑)?
いや、お衣装は囚人と思えない豪華さだけど・・・
やけにアクセサリーも多いしね・・・

侍女とかも必要最低限の人数しか周りに置かず、
身支度とかもほとんど自分でやってそうな感じが・・・
自立しているっていうのかな。
なんか庶民的な雰囲気があるんですけど(苦笑)。

エチオピア王家の繋がりっていうのが全くといって
いいくらい描かれていないので、見てて変わった家族
だなぁと感じてしまいますねぇ・・・
アイーダが家族をどう思っているのかが分からない。
中途半端な感情しか伝わってこないので・・・
例えば、ラダメスと自分が無事にエジプトを出るまでは
ファラオ暗殺はしないなんて約束、血の繋がりだけで
信用しちゃっていいんですか?
アイーダは父の行いをずっと傍で見てきたはずで、
人間的にどういう人物か理解できていたと思うんです。
それなのに秘密を打明けて、結局はラダメスと国を出る
こと叶わず、それどころか黄泉の国へ旅立つことに・・・

しかも、愛し合ったのだから生きるも死ぬもおなじこと、
なんて、ただの自己満足じゃないの?
とすら考えてしまったu-tsu(苦笑)。
簡単に死ぬことなんて選ぶなよ、って思ってしまう。
もちろん簡単になんて選んだワケではないだろうけど、
残された人間のことを考えたらやっぱりそう思っちゃうよ。
考えることも感じることも、人それぞれだから
色んな意見があるけどさ・・・

ラダメスとアイーダって、ホント似た者カップルだな
って思えるとこが多いですよねぇ。
こうだ!と思ったら真っ直ぐだし、
あまり周囲の迷惑を気にしないよね(苦笑)。
自分たちは信念に基づいて行動してるから、
大半の意見には耳を貸さないっていうような部分も・・・
結果的には二人の行動がファラオを動かし国を動かした
のだから無意味なことではないんだろうけど、
もう少し違ったやり方もあっただろうに・・・
と思えてしまうのも事実でして(苦笑)。

アイーダで一番印象に残ってるのは苦悩かな。
ただ観てるだけだと納得できないんだけど、
アイーダのことだけ考えて観ると彼女も多くの
苦労や責任を負っているし、一人の女性として
存在したいという気持ちは分かるんですね、一応(苦笑)。
特に二幕の「父親と娘は 離れられない定め」という
言葉がすごくアイーダの気持ちを表現してて、
やっぱり簡単に自由になれないという苦しみが
辛いだろうなぁと。

エジプトで一緒に暮らそうというラダメスの言葉を
聞いた瞬間、怒りのような感情をアイーダから
感じたのは気のせいでしょうか?
自分が祖国を捨てられないようにラダメスも国を
捨てられないということに気付いたアイーダが、
その事に対して怒りを感じたように思えたのですが。
やっと自分の気持ちに素直になれてラダメスと
気持ちが繋がったというのに、そのラダメスは
エジプトで暮らそうと告げる・・・
どうして王女である自分が国を捨てるような
生き方をできるだろうか?
いや、結果的に国を捨てるんだけど(苦笑)、
最初はそんなつもりないでしょうからねぇ。
だから幸せにしたいという気持ちから出たで
あろうラダメスの言葉にちょっと心外だった
のかしら?なんてことを考えてしまったワケです。

辛いことも多く経験したアイーダですが、
最期には自分の望む生き方を選んで
自由を得たワケですから、やっぱり
彼女もめでたしめでたし、なんですよね・・・

またしても余談なんですが・・・
アイーダから王女としての威厳を感じられないのは
設定というか演出が良くないですよねぇ。
弱い部分が出すぎて身分の高い人とは思えない。
せっかく素晴らしい信念を持って世界を変えようと
する人なんだから、もっともっと強さが出て良いと
思うんですよ。王女として生まれたのですから
プライドだって高いはずだし・・・
想像以上に弱音を吐いてて少々驚きでした(苦笑)。
せっかく意義ある役なのに、勿体無い。

初日を観劇してから抱いていた人物の感想・・・
思うまま感じたままに書いていたら
こんなことになってしまいました・・・(^^ゞ
あんた、ホントにファンなの?!
な発言もあるかもしれませんが、ホントにファンです。
誉めているコメントが少ないかもしれませんが、
作品世界にどっぷりと浸かっているんですっ。
この公演はホントに大好きなんですっ。
大好きなんだけど、疑問が自然と湧いてくるの。

一言で表わすなら「最高な公演!」なんだけどねぇ。


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