王家に捧ぐ歌


2003.10.28 東京宝塚劇場



行ってまいりました・・・
3度目の観劇にしてMy楽です。
危うく開演に間に合わなくなるところで(^^ゞ
いや〜焦った焦った。

おかげで、今回は特に雑念なく観れたように思うんですが、
観る度に感情が違って不思議な公演だなぁと。
ま、とりあえず、My楽の感想をどうぞm(_)m


えっと、全体的にすごく安定していました。
残り1週間を切っているという気持ちが出演者にも
あるのか、初日、中日と比べて一番良かったんじゃないかな。
初日は組のパワーっていうか勢いが強く感じられて、
中日辺りはちょっと疲れてきたかな・・・っていう様子。
で、ここで残りも僅かという気持ちが高まって、
更に作品世界への想いが深まったっていう感じでしょうか。
ヘンに力むわけでもなく、でも迫力はあって纏まっている
という印象が強かったです。
u-tsu自身、生でこの作品を観るのが最後なので、
こっちのほうが力んでいたのかもしれない(苦笑)。

ちょっと気になったのは、わたるくんの喉です。
特に一幕の前半から中盤にかけて、危ういというか
苦しそうというか・・・歌ではそんなに気になるほどでは
なかったのですが、台詞になると無理して声を出して
いるように聞こえてしまって気になりました。
声はよく伸びているんですけど、どうしても台詞が・・・
二幕目は一幕より台詞もよく声が出ていましたけど。
すごく調子が悪いというワケではないんですが、
でも良好とは言い難い様子かなと。
歌でこれでもか〜ってくらい声を伸ばすので、
そんなに無理しないでくれぇ〜〜って、観てて心配で心配で。
今回は外部のお仕事も多かったようですし、
ホントにお身体だけは大切に、健康管理もしっかりと
お願いしたいです・・・
メディアで露出が多くなるのは嬉しいけれど、
公演に影響が出ない程度にしていただきたいと・・・
何より舞台の上で歌い踊りお芝居するわたるくんが
大好きなu-tsuとしては、ベストな状態で公演して
いただきたいというのが一番の願いですので。

で、主な人物について・・・
ラダメスはやっぱり、優柔不断だなぁ、おめでたいなぁという
印象は拭えませんが、反面、すごく一途で真面目で不器用な部分が
今まで以上に見えてきたように感じたかな。
u-tsu自身がヘンな思い込みをせずに観たからっていうのもあるし、
わたるくんのラダメスも確実に変わっていたからだとも思う。
ラダメスの解釈っていうのは基本的に変わっていないと思うけど、
そのなかでの心情の表現とか感じ方、間の取り方や表情は
観劇した3回の内で今回が一番しっくりきているなという印象です。
設定の無理から生じる不可解を取り除いた上で観ると、
ラダメスの行動や選択は必然なのかなぁって思えてきますね。
自分でもビックリですよ(苦笑)あれだけ文句いっぱいだったのに。
それでも完全に必然とは云いきれないのがこの公演・・・
でも今まで以上にはプラスに受取ってます(^^ゞ。
やっと、ラダメスに共感できる部分が多くなってきたなと。
アムネリスじゃないけど、理解できない部分がやっぱり多かったし、
どうしても物語りの流れだけで受け入れられないこともあるし・・・
これに関してはアイーダやアムネリスにも云える事ですけど。

一番変化したなぁと思ったのは地下牢のラダメス。
『平和は費えた・・・』からの独白がとても良かったです。
台詞を云うのではなく、本当にラダメスが云っているという
感じが出ていました。つぶやくような声の大きさなので、
より現実味があったかなぁと。
絶望の底にいたのが、アイーダが生きていることに気付いて
だんだんと希望の方が大きくなっていくというのが
きっちり表現されています。
処刑場面のアムネリスとのやりとりも良かったです。
覚悟ができているという以上に気力も希望も
ないっていう様子なんですけど、決して投げやりではなくて。
アムネリスにかける言葉のトーンにあまり感情はないけど、
それが彼女への思いやりなのかなって気がします。
優しくしてファラオの務めを果たせないのではアムネリスの
為にならないですし、死んでゆく自分よりも国の平和の為に
気高く生きて欲しいだろうし。
アムネリスにとって冷たい態度に感じても、
それは彼女に現実世界で生きて欲しいからっていう気持ち。
ラダメスの最後の愛情表現だったのではないかと・・・


アムネリスは一番安定したキャラですね。
こう演じてみよう、こうやってみようとか、あまり変化を
加えなくても分かり易いというか・・・
でもそれだけに、意外と難しい役のような気もします。
アムネリスの変化といえば、表情と間の取り方かなぁ。
初日、中日辺りよりも更に的確に演じられてるなぁって印象。
特に二幕目の処刑場面で、ラダメスに話しかけるまでの間。
しばらくラダメスを後ろからじっと見つめているアムネリス、
痛いくらい気持ちがグーっときました。
ラダメスはもう気力なく無表情で、その後ろから見える
アムネリスが何とも哀しくて、きっと心の中では大泣きして
いるんだろうなぁって思える。
『ラダメス・・・』って言葉をかけるまでの間が緊張と
悲しみに包まれているように感じられます。
この間が、より観客を惹き込んでいるんじゃないかと。
声もすごく優しく、「あなたを殺させないで!」と訴える
アムネリスはファラオではなく少女のようでした。
おそらく、アムネリスにとって生まれて初めての懇願
だったのではないかなと、感じます。
父親にすら、心からの懇願はしたことないんじゃないかと。
きっとね、ラダメスも心ではビックリしてると思う。
アムネリスの弱音を聞くことになるとは考えてなかった
だろうし、そこまで言わせてしまった自分に出来ることは
ファラオとして彼女に自分を処刑させることしかない。
と、ラダメスは感じたのではないかなぁと・・・

アムネリスって大胆にアプローチするわりに受身の役だなぁ
って思うんだけど、二幕では攻めになるので、
その辺の兼合いも難しいかもしれない。
今回、アムネリスのことで疑問に思っていたアイーダいじめの
目的が分かったような気がちょっとしました。
アイーダを呼ぶ前に「不吉な影は あらかじめ吹き払い・・・」
って歌っているんですよねぇ。
アムネリスにとってアイーダは、ラダメスの心を奪う不吉なもの。
これ以上ラダメスを愛したり近寄ったりしないよう、
今のアイーダの身分をしっかりと思い知らせるということで
あのようなイジメになったのだろうと。
わざわざ同情する振りをしてアイーダの本音を確かめ、
エジプト王女を相手にすることがどんなに愚かなことか
アイーダに分からせ、これ以上ラダメスに関わるなと
釘をさすっていうところでしょうか。
でもラダメスのほうからアイーダへ寄っていくんだろうから、
ラダメスにも釘をささなくちゃいけないんじゃないかと・・・
嫌われるようなマネはしたくないかしら(^^)?


アイーダはそんなに変化はなかったように思います。
間の取り方や仕種、表情などに若干変化があるようですが。
二幕の全滅させられたエチオピアでの場面で、
感情の動きがよく出ていたのではないかなと思います。
自分がどんなに甘い考えでいたのかを思い知らされて、
やっと自分の為だけに生きる道を選ぶことができたアイーダ。
それが現実世界で幸せに生きることでなくても
迷わず飛び込んでいける彼女の一途さが可愛いなと。
で、疑問だった「強く勇ましい王女」というフレーズ、
やっぱり疑問のままですねぇ(苦笑)。
だってすぐ泣くんだもんアイーダってば。
驚くとすぐ転ぶし・・・
一番気になるのはしゃくりあげるような泣きが多いこと。
場面や流れによっては必要なこともあるんだけど、
責められたり脅されたりする度になので気になります。
強く勇ましくても泣くことはあるでしょう、女の子だし。
でも出てくる度に泣かれると・・・ちょっと引きますよ(苦笑)。

でもね、その原因が家族にあるというのも事実で、
そう思うと気の毒ではあります。
ウバルドたちって、やっぱりどっかオカシイですよ。
どうみても正常な人間じゃないって感じます。
復讐に感情を乗っ取られて精神的にちょっとぶっ飛んでる感じ。
ウバルドは特に感情に余裕がない。
復讐以外の感情がなくて心が病んでる。
アモナスロはまだ戦略を立てたりする余裕があるので
ウバルドほどではないと思うけど、似たり寄ったりだな。
で、そんな病んだ兄たちを相手にしてたらアイーダのほうが
気が狂ってしまいそうなんだけど、信念を持つ事で
精神を保ちラダメスを想うことで人間でいられるというか。
そんな感じがしますけど。
あんな状態の兄たちに責められ続けてたら泣きたくもなりますよ。
ラダメスから秘密を聞き出す時も、気が付けばハイエナのように
兄たちが見張っているし、家族だからといっても手放しで
安心できないんじゃないかとも思います。
父との再会では命がけで父を守ろうとするアイーダ。
捕まってもなお抵抗しようとする父を抱きしめて止める。
どんな家族でも、家族への思いやりはあると信じていたであろう
彼女の気持ちを裏切ったのは他ならぬ彼女の家族。
ラダメスと旅立つまでは不意打ちしないとの約束も果たされず。
本当に、アイーダは何の為に生まれてきたのかと思ってしまう。
愛する人に振り向いてもらえないのと、家族に裏切られるのと
どっちがより傷つくんでしょうか・・・?

泣いてばかりのアイーダですが、そのわりに信念を持ち続ける
という部分に関しては精神的に強いのかなと思えますよね。
泣いて落ち込んで、負けるもんか〜っていう気になるんですかね?
そういう意味では強い王女っていう意味が分かる気がします。
でも勇ましいのは、どういうところが勇ましいのか・・・
囚われる前は勇ましかったかもしれないのかな?
戦いに疑問を持つまでは勇ましい王女だったかもね。
それにしても、アイーダは何故兄や家臣からあんなに責められるの?
なんか、アイーダが先頭にたって戦っていたような口ぶりですが?
サウフェにしたって力をお与え下さいとか云ってますし・・・
王子がいるんだから王女には大した権力なんてないでしょうし。
みんながアイーダに頼っているのがすごく不思議です。
余計な争いを避ける為に大人しくしている姿が裏切り者と
映るなら、ウバルドたちはただ裏切り者とアイーダを呼べば
いいのに、それだけで済まさないというのは、以前のアイーダは
国の戦力として何かしらの力があったように思えます。
それが何なのか・・・すご〜く気になる。
アイーダってエチオピアにとてどんな存在だったのでしょうか?


今回観てて、ふと思ったのは・・・
二幕の銀橋での告白場面。
アイーダがラダメスへ『エジプトを治めるファラオとなりなさい。
私はそれを責めません』と云い背を向けて歩き出すところで、
もしラダメスがショックでそのままアイーダを呼びとめなかったら
この二人はどうなっていたんだろうと・・・
若しくは『あなたは私をみくびっているのか?!』と憤慨して
そのままその場を去ってしまっていたら、このあとの悲劇は
どんな展開になっていたのか?と・・・
ラダメスは秘密を漏らす事なく、ファラオは暗殺されず。
でもアムネリスの事はやっぱり拒否するのかな?
などと余計なことを考えてしまうんですが(^^ゞ。
アイーダの言葉で機嫌を悪くするほど
子供じゃなくて良かったですねぇ〜。


フィナーレのデュエットダンス、本編よりも
感動しちゃったu-tsuです(苦笑)。
なんだか表情がすごく良いんですよ〜。
ラダメスとアムネリスの死後の出会いだと思っている
んですけど、ラダメスはアムネリスに気付いて
ないんですよねぇ表情が。
でもすごく懐かしさを感じてはいるという様子で。
アムネリスは気付いていて、でも敢えてそれを伝えずに
再会ではなく出会いを楽しんでいるという様子で・・・
もう縛られる鎖はなにもなく自由に振舞える
アムネリスの気持ちが身体いっぱいに出ているようで、
大きな苦しみも経験もあったけど、この喜びに出会う
為の試練だったんだねっていう風に思えます。
最後のほうはラダメスもアムネリスに気付いたのか
より温もりを感じる微笑で、『待ってたよ、アムネリス』
って云ってるような雰囲気が素敵だなぁと。
どんなカタチであれ、それぞれが幸せになれて
良かったなぁ〜と思います(^^)。



取敢えず、My楽の主役3人の感想でした。
日に日に、観劇後の感情や疑問などが変わってきますが、
それだけ色んなメッセージが込められているから
なのでしょうねぇ。

戦いとは?家族とは?親友とは?愛するとは?
平和とは?自由とは?信念とは?・・・

どれも簡単に答えられそうで答えられないものですよね。
人の数だけ思いがあるから上手くいかないことも多い。
『人間は そもそもこんな生き物なのか』という歌詞・・・
エチオピアを壊滅させたエジプトに対しての言葉だけど、
この行為はエジプトにしてみれば意味あるものだった
はずだし、そもそも残虐的な行為が出来るのは
人間だからじゃないかとも思えます。
恐怖心を煽ったり植え付けたり、
感情を持った人間相手だからこそ有効な手段だろうし。
そう考えれば、感情があるからこんな生き物なのではないか
とu-tsuは思います。
もちろん全ての人がというわけではなく、何億という
人がいるからこそ、そんな人間も一握りくらいは
いるんじゃないかと・・・
ただ自分はそう成りたくはないと思っています。

ああ〜こんな堅苦しいことはどーでもいいですね(^^ゞ
その他の人物はまた後日、時間ある時に・・・・


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