さくら


−妖しいまでに美しいおまえ−




2007.6.7 東京宝塚劇場





半年振りの星組公演・・・ちょっとばかり複雑な気持ちながら行ってまいりました。
そして演目も久々の日本物ショーとフィナーレ付のミュージカルという2本立て・・・
では早速、雑感レポにいってみましょ〜(^0^)


日本物ショーといえば「チョン・パ」の幕開きが恒例。
緞帳が下りたまま、客席はいつもの開演時よりも暗くなり・・・
音楽に合わせてライトが一斉につくと、その華やかさと豪華さに思わず感嘆の声がもれる。
こんなにキレイな幕開き、通常のショーや芝居では観ることできないですね。
長年宝塚を観ていても、これほど意表をつかれる幕開きはそうそうないもん。

とうこちゃん、やっぱり日本物キレイだ〜(^^)
「長崎しぐれ坂」も良かったけど、ショーもキレイだったなぁ。
きりりとした中にも哀愁を帯びたような表情が麗しかった。

あすかちゃんもなかなか可愛かったね。
彼女の日本物はたぶん初めて観たんだけど、意外と似合ってたかな。
実はあんまり想像できなかったから、ちょっと不安だったんだ(苦笑)


日本物ショーっていつも思うんだけど、ストーリー性のある場面を作っても
どうしてか伝わり難くて、なんだかワケが分らずに終わってしまうんだよね・・・
それは観てる側に日舞の間とか表現の意味とかが理解できていないからなのかな(苦笑)
u-tsuは決して和物は嫌いじゃないんだけど、ショーに変換されるとどーもイマ一つ理解が・・・
だから和のショーで印象深く残るのは幕開きとフィナーレの桜幻想くらいなんだよねぇ。
今回も例にもれず、って感じでさ、特にラストの「さくら」は圧巻だった。
あれだけホリゾントいっぱいに桜をあしらったのはもちろん、白い背景で桜以外セットが無い
っていうのも初めて観た演出なんだよね。とにかく圧倒されちゃいました。
過去に大浦みずきさんの花組でも舞台奥までいっぱいに人が並んで舞う桜幻想はあったけど、
背景は薄暗く桜も舞台両端とセンター奥にセットされてるくらいで、華やかさはなかった。
でも掌からこぼれ落ちる桜の花びらがキレイで、当時はかなり印象的だったんだけどね。
今回のさくらは今までに観た桜幻想のなかで1番キレイで豪華だったと思う。
和物でこんなに圧倒されたのは記憶にないくらいに印象的だしねぇ、ほんとキレイだよ。

あとは竹灯籠かな。こういう竹のセットって今までなかったね。
吊り下げている竹に透明感あって涼やかで、でもどこか儚げで、ちょっと不思議な感じ。
登場した落人のとうこちゃんが、また愁いた印象でさ・・・ツボっちゃった(^^;
場面の意味は観劇中は全然分ってなかったんだけど、雰囲気が印象的で好きだった。

良いなと思ったのはその2場面くらいで、他はメリハリなく退屈な場面だったな。
節句人形も面白そうな場面を想像してたんだけど、実際はただのドタバタ演出で、
とても日舞とは思えない、無関係な場面だなぁって感じ。
お内裏くんの衣装がキレイだなぁってのと、武者人形のとうこちゃんがカッコイイなぁ・・・
って思ったくらい(苦笑)最近は和物の芝居でも平安時代あたりの衣装って着ないから、
久々にこういう作品も観たいなぁって思っちゃったんだよね。
でも再演は望んでなくて、その時代の完全オリジナル作品を今の星で観たいなと。

お衣装も話題で、初舞台生も出演の久々の日本物ショーだったけど、
最初と最後だけが印象的で、中身が充実していない内容だなというのが正直な感想。
日本物ショーの構成は難しいとは思う・・・遊びが突出しても浮いちゃうし、生真面目さだけが
出すぎても退屈しちゃうしさ・・・和物ならではの古風で奥ゆかしい部分や、
それでいて華やかさあり翳りありっていう構成が理想なんだけど、そうそう上手くはね・・・

とりあえず、ステキな桜幻想を観れたってことが救いにはなってると思う、この作品(苦笑)
星組って昔から和物のイメージがない組だったんだけど、中心のとうこちゃんとあすかちゃんが
化粧キレイなせいか、不思議と全体的に和物が似合うように感じたのが面白い・・・







シークレット・ハンター

SECRET HUNTER

-この世で、俺に盗めぬものはない-




お披露目に相応しいハッピーエンドな娯楽作品・・・とか?

u-tsuにはそうは思えない・・・なんでまたこんなに中途半端な作りなんだかね。
「ローマの休日」をひねった感じ、みたいなこと何かで読んだんだけど、
確かにそれを下敷きにハプニングやシークレットな出来事が絡めてあるんだけど、
どうもお話の筋と上手く噛み合っていないのが見苦しく思える・・・
ユニークな筋で楽しいとは思うんだけどさ、あまりにドタバタ劇すぎる上に
展開が分り難くく、キャラ設定もなんだか違和感あって共感するところが無いに等しい。

"この世で、俺に盗めぬものはない"って豪語する泥棒で詐欺師のダグが、
何故こんなに簡単にまんまと騙されてしまうのか(苦笑)
何の深読みもなく、勘も冴えず、ただ1人だけが真実を知らぬまま事件が解決って・・・
ダグってほんとに腕利きの泥棒なのか?って疑うよねぇ。
仕事のお膳立ては相棒セルジオが仕切っていて、彼にまかせきりで信頼しちゃってるから
いいように騙されても気付かないのか・・・ってそれじゃあまりにも、あんまりよねぇ(苦笑)
若しくはセルジオの方がダグよりも一枚二枚上手の人物ってことなのか?
確かに時折ダグをからかって楽しんでいる演出はあったけど、それはあくまで演出で、
とうこちゃんが上手く遊ばれている感の方が強かったからなぁ。
設定としてはダグは上手くセルジオに転がされているはずなんだろうけど、
実際には演じる側の未熟さから、ダグの泥棒としての器量を疑われてしまうという・・・
どうせなら、学年差を上手く使ってキャラ設定してほしいな。

セルジオは情報操作と仕事内容全てのお膳立てをし、実際に仕事を成功させるのはダグ。
どちらも同格の立場で上下関係は無いのだろうけど、あのキャラ設定と学年差では
2人を対等の相棒と見るのはちょっとムリを感じてしまう(苦笑)
申し訳ないけど、礼音くんのほうがどうしても浮いて見えちゃうんだよねぇ・・・
声のトーン、台詞に込められた感情表現、存在感、どれをとっても若すぎる感が否めない。
決して幼すぎているワケではないんだけど、ムードを自在に醸し出せるとうこちゃんが
相棒なだけに、どうしても物足りなさを感じてしまって、そればかり気になってしまう・・・
力も入っているのか、どうも動きがカクカクと硬くて陽気な感じがあまりしない(苦笑)
ま、これから今まで以上に色んなことを経験する人なのだろうけど・・・

あすかちゃん扮する王女を狙う殺し屋、通称「男爵」ってのも、浮いてたキャラだよねぇ。
殺し屋のわりにマイペースで無理はせず、大口だけ叩いて仕事はイマイチな出来(笑)
何度も失敗しちゃって、挙句に撃たれて捕まっちゃうという・・・
緊迫感もゼロで、なんでこんなヤツが殺し屋なんてやってられるのか不思議でさ(苦笑)
しかも手下いっぱい引き連れてさ、そんな殺し屋ってありなのか?!って感じだし。
そんな風にいっぱいヘンなとこある男爵だけど、でも意外とお気に入りでもあったりする(^^ゞ
それはやっぱり、演じているのがしいちゃんだからなのかもしれない。
男爵のナルシストで口振りとは反対に腕が鈍いという設定が、生真面目な印象の
しいちゃんからはちょっと想像できないんだけど、でも意外と共通しているような気が
しないでもないんだよねっていうヘンな確信と相まって納得できるというか(笑)
ちょっと色物な感じのキャラを演じてるしいちゃんも新鮮だったから、ま、いいよね。

王女の護衛マックスはすずみんで、これは2枚目的なカラーのキャラだった。
すずみんの最近のイメージといえば騒がしいとか、お調子者とか、比較的
笑われキャラが続いていたように思うんだけど、今回は仕事が出来る若きエリート的な
印象だったかな。落着いていて紳士的で、それでいてユーモアがあって・・・
とても理想的な青年だなという印象。演じるすずみんも爽やかでステキだったしね。
「ヘイズ・コード」で演じたヘンリーも、お調子者だけど姉思いの優しい青年で、
それを口調や存在感で上手く表現してて、こういう役もできるのかと知ったんだよね。
「さくら」では狂言場面で明るく可愛らしい山法師を見せてたなぁ・・・
マックスのような役は結構よくある設定で、観客に好感持たせるキャラなんだよね。
だからといって誰が演じても好感持てるワケじゃないってのが難しいトコロでもあるかな。
今回は良い印象だったと思うけど、型通りという感じもして、改めて2枚目って難しいなと。

ダグを追う刑事アナ・マリアは南海ちゃん・・・今までとイメージがガラッと変わったね。
清楚なお嬢さんタイプやちょっとツッコミを入れたい不思議系の印象だったんだけど、
意外にもサバサバ系の女の子も似合う娘役だったんだねぇ・・・新発見だよ。
アナ・マリアはずっと泥棒詐欺師のダグを追い続けていて、色々とやりとりしてるうちに
次第に恋心を抱くようになっちゃったらしいんだけど、その設定はなんとなく許せるから
いいんだけど(笑)、王女誘拐についての詳細を何一つ知らないってのは
物語の流れからいっても不自然に思えるんだが・・・?
ダグの動静を追う刑事なんかが側にいたら計画の邪魔をされる可能性大だよね。
大体、ダグが誘拐までする悪人かどうか、アナ・マリアなら理解してそうなんだけど。
そこで彼女が異変を感じて周囲に探りを入れてマックスの計画にたどり着いて・・・
となったらまた新たな緊迫感みたいなものも味わえたかもしれないよねぇ。
でもって王女とダグを見つめるシーンも、もっと感情移入できる演出になってたかも。
よりダグに対する気持ちが明確になってほろ苦い恋になってただろうなぁ・・・
なんなら彼女を癒す相手はマックスでもいいんだしさ・・・ま、余談だけど。
ともかく、ダグ同様アナ・マリアが詳細を知らないせいで、ヘンに宙ぶらりんな
立場に追いやられてしまったという印象が強いってことなんですね。
ラストなんて、結局ダグを捕まえられたんだかどうかアヤシイもんだったし・・・
ダグを追う刑事なんて普通に男でも良かったんだじゃないの?
女性にしたからにはちゃんとその辺の意味合いが伝わるように演出してほしいね。
設定としては珍しく思えたから、雑な演出が余計に残念です・・・

アナ・マリアの部下イグナシオは和くん・・・髪型変わってビックリだよっ。
残念だが似合ってないぞ(苦笑)いや、全然似合ってないワケじゃないけど、
ハイテンションな和くんには違和感がある(笑)・・・愛短の印象しかないからかな。
このイグナシオは上司であるアナ・マリアを好きなんだろうなぁってことは
演出が拙くても経験上なんとなく分る(苦笑)だけど、あのテンションはどうなんでしょ?!
あの演じ方はいかがなんでしょ?あまりに幼稚で雑すぎやしませんか?
愛短でも思ったことだけど、和くんは台詞の読み方が素人っぽいんだよね(苦笑)
声質のせいなのか、感情がこもっていないのか分らないけど・・・
銃を振り回しながら撃ちまくるシーンなんて、もうヒドイよねぇ・・・
うわあーーっ!!!とか叫びながらなんだけど、テキトーとしか言えないくらい。
あれは芝居してるとは言い難い演技だし演出だと思うよ。
観てるこっちのほうがこっ恥ずかしいっていうかさ(笑)、眼を逸らしちゃうんだよ。
コメディタッチな作品とはいえ、こういうのはありでいいのか?って考えちゃう。
キャラ設定、もう少しちゃんと考えよーよってのが正直なトコロなんだよね・・・


オープニングは映画のようなカッコイイ演出でさ、展開が楽しみでワクワクだったけど、
進むにつれだんだんと疑問があふれ出て、ちょっと腹が立ってきたんだよね(笑)
ラストはジェニファーとダグの結婚式なんだけど、あの終わり方はなんだよなぁ。
本物の王女や国王、セルジオたちがライスシャワーならぬフラワーシャワーで
ダグたちを祝福してストップモーションのかたちで紗幕がストンと下りて終わり・・・
ブチっと断ち切ったような感じで余韻が何もないんだよねぇ・・・
ラストもオープニングのように字幕で「End」とか「Fin」とか入れればよかったのに。
あんまり突然なんで終わりなの?!って思わず言っちゃったし(苦笑)

結局ダグはアナ・マリアには捕まらず仕舞いだしねぇ〜
王女の誘拐事件が片付いたらアナ・マリアに捕まるって約束してたダグなのに、
そんな約束どこへやら、ちゃっかり結婚式挙げてるんだよね〜
これから罪を償うっていうのに、いつ牢獄から出れるか分らないってのに
よく結婚なんてしてられるよねぇ〜って、大きな疑問だよ。
しかも犯罪者なのに一国の主が庇えばチャラになっちゃうのかよ〜ってね。
なんか収拾つかないことは全部ウヤムヤになったままジ・エンド・・・
そんな宝塚の作品はいっぱいあるんだけどさ(苦笑)
せっかくのお披露目だから、まともな作品が観たかったんだよね。
もちろん一風変わった演出と面白さのある内容だし、ハッピーエンドで
宝塚らしいし、何より死者が出ないしキャラの繋がりが難しくないのは良い。
その点では文句なく評価できる・・・その代わり緊張感やメリハリに欠けるけどね。

それにしてもさ、組長さん・・・もう少し上手く使ってくれないかな。
ダグの両親を1人で演じるって、それは無理ありすぎだからっ、児玉さんっ。
ダグの回想シーンにセット後方で父親に扮して芝居してるけど、
芝居に熱が入りすぎて正直うっとうしかったんだよね・・・
あそこは紗幕かなんかでぼやかしてくれた方が良かったと思う。
あんなにリアルすぎる回想は違和感ありすぎなんで・・・
母親として登場した時も、ものすごい違和感大だったしねぇ。
どうみてもダグの母親とは思えない・・・最大のミスキャスト(苦笑)


フィナーレは大好きな大階段の男役群舞あり、デュエットダンスありだったけど、
内容はイマイチだった・・・羽山先生の振付にしてはキレがないしカッコよさも少ない。
ボンゴを叩くような振りなんて、あまりに手抜きっぽいよね(苦笑)
デュエットダンスなんてリフトが全然なくて精彩も欠けててパッとしなかった。
フィナーレだけでも通える!ってほどの内容になっていなかったのは残念だなぁ。
ラインダンスなんてカリブ海にかけて、ああいう演出になったのだろうけど、
ゴメンナサイ・・・なんかいたたまれなくて眼を背けてしまいました(ーーゞ
思わず腹立たしくなってしまった芝居の後だから、ショー部分は期待度が
大きかったんだけど、ここでも消化不良になってしまいました。
決してキライではない作品なんだけど、寧ろ好きなジャンルなんだけど、
爽快スッキリな気分で終われなかったのが残念だなぁ・・・



とはいえ、新たなコンビを迎えての新生星組・・・
わたさんの姿はないけれど、そのカラーがゼロになるわけではなくて、
どことなく残り香がある中で、新しい香りも漂っているような気がして、
新鮮だけどちょっとだけ懐かしい感じがしました(^^)

とうこちゃん、あすかちゃん、おめでとう。
ステキなカップルに成長して、客席を楽しませてくださいっ










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