75th コラボレーション
『Switch』
2002.10.5〜12 宝塚バウホール

ACT1 「PLAY of Switch」

出演

ナルディ・トロパトーレ
ウォルター・グラント
伊織直加(専科)

牧師X
エルネスト・トロパトーレ
ストーン・オリパレス
Dr.ドナルド
パメラ・ポルトゥンド
嘉月絵理(月組)

ケティ・グラント
美穂圭子(雪組)

ウォルター・グラント
ナルディ・トロパトーレ
湖月わたる(専科)

以前、映画にもあった「フェイス・オフ」。
この作品も、真面目で家族思いの刑事と凶悪犯の
顔や身体を入替え、事件を解決するという内容でした。
映画はたくさんの登場人物がいて、その関係などが絡んで
くると混乱しそうになってしまったのですが、
「Switch」は簡潔にまとめてあって、
とても観やすい内容になっていました。

たった4人だけで演じているとは思えないほど、
さみしさを感じさせないというか、
空間に隙間がないっていうか・・・
バウホール自体そんなに大きくないのは確かですが、
それでも4人だけで空間を埋めるのはムリがあるはずです。
やはり上級生ということと、4人のキャリアの賜物ってことでしょうか?

ナオちゃんのナルディは凶悪犯特有のハイな狂気さがあって、
そのハイな狂気さがナオちゃんらしいという感じがしました。
凶悪犯に知合いはいないので、ハイな狂気さが
特有かどうかは不明ですが(苦笑)・・・
でも映画やドラマで見てるとハイな役作りが多いですよね?

相手を挑発する言葉の語尾や下卑た笑いかたが役柄に
あっていて、人物像がハッキリと出ていたのではないかと。
悪人なんだけど、弟への愛情っていうのは持っていて、
人間の矛盾している感情っていうのを改めて認識したと
いいますか・・・どんなに悪いことをしてはいても、
血を分けた肉親はやっぱり大切なのねぇと。
ウォルターにSwitchしてからは、当り前なのですが180度
人物が変って誠実さが前面に出ていて、苦悩しながらも
息子の仇ナルディを追詰めていく姿に感動しました。

わたるくんのウォルターは、ここ最近演じていた大人の男性
という印象が強く、その中に息子を失った悲しみが滲み出て
いて、愛する妻と一緒にいてもどこか孤独さが感じられました。
ナルディにSwitchしてからは、あまり観なれない凶悪犯役に
ちょっと違和感を感じてしまいました(苦笑)。
悪役は何度かありましたが、今回のナルディのような凶悪犯
的なのはなかったので、ハイな狂気さ漂うわたるくん
っていうのがなんとも、不思議でして・・・
ルキーニもちょっとアブナイ人ではありましたが、
その危なさも表現の仕方も違うので、
また新たなわたるくんを発見したという感じです(^^)。
あそこまで砕けた演技のわたるくんっていうのも、
たまにはイイなぁと思いました。

圭子ちゃんのケティは、息子を失った悲しみを抱えつつも
きちんと生活をもっていて、現実と向き合える冷静さを
もっている女性なんだなぁという印象を受けました。
冷静さや度胸がなければ、Switch後のナルディの姿の
ウォルターの話しを聞く前に銃を発砲していただろうし、
ただ悲しみに暮れている女性だったらウォルターは
仕事なんかしていられないだろうし・・・
冷静というか、芯が強いっていう方が近いのかな?
ウォルターの職業柄、心配事も尽きないはずなのに
そんな素振りは見せないし、しっかりしてますよね。

エリちゃんは5役をこなして凄いですね(^^)。
パメラは可愛い!大きな目がより女性らしさを感じさせ
ていて、普段、男役でバリバリ踊っている人とは
思えない変身振りですよね。
でも肩を見るとやっぱり・・・って感じが するけど(^^;
パメラは悪いことはしているけどナルディへの想いは
一途で、そのへんはごく普通の生活をしている
女性と変りはないのに、つくしている男性が凶悪犯
ということで周囲から見れば立派な犯罪者になる。
確かに犯罪者なんだけど、純粋な気持ちがみえると
ちょっと、味方したくなっちゃうなぁと思ってしまいます・・・

エルネストは頼りなさそうで世間知らずな雰囲気が全体的に
するんですが、さすがにナルディと兄弟だけあって
思考は凶悪だなぁと感じました。
オリパレスとドクターはちょっとの出番ですが、
実際に出てくるのと声だけが登場するのとでは
説得力が違うと思いますし、その場面の重要性も
変ってくると思うので、効果的には良かったと思います。
そして牧師ですが、そうきたか・・・っていう設定で、
物語りは終ったのに、なんか爽快さがないっていうか
モヤモヤが残る演出で、サスペンス映画のような
後味がしました(苦笑)。
真面目で慈悲深そうな牧師の素顔が、
思考が凶悪なナルディの弟とは・・・
きゃ〜っ(恐)て感じですよ。
とっても不気味で、グラント夫妻のその後が気掛かりだ・・・

印象に残ったのは、Switchした二人の最後の戦い。
宝塚でも珍しい二人だけの乱闘シーン、しかもハード。
こういう乱闘ができるなら、もっと早くから
挑戦してほしかったなぁと思います。
そして、雷鳴と共にナルディの表情が止まり、
崩れ息絶えた身体を、血に赤く染まった十字架が
無表情に支えているシーンは強烈なインパクトがあり、
この物語りに関わった人物たちの思いを表現している
ように感じられました。

お衣装も、この乱闘シーンが1番好きです。
だってすっごくカッコイイんだもん(^^;。
あのまま街中を闊歩しているわたるくんを見たら、
迷わずついて行っちゃいますよねぇ。
わたるくんの後ろには女の子が列になってズラ〜っと(笑)。
1度見てみたい光景かも(^^)。

もともと雪組っ子だったu-tsuはキャピキャピ (←死語?)
していた頃の圭子ちゃんしか記憶にかったので、
こんなに大人の女性が似合うようになったのねぇと
嬉しくなりました(^^)。

あとはやっぱりリエちゃんの5役。
リエちゃんがいたから4人でも作ることができたのでは
ないかと思うくらいの大活躍でした。
もちろん、4人のうち誰が欠けても成立つことはないけど、
芝居巧者なリエちゃんだからこその5役だったと思うんです。
そしてそれぞれが違う組で養ってきた経験と実績が、
演技の差を感じさせないバランスの良い舞台に
繋がっているように感じます。
物語りの展開は別として、ホントに安心して観れました。
この人はもう少しこういう演技だったらイイのにとか、
考えることなく観れるんです。
大勢でやってると気になる部分も今回は気にならなかったし、
ヘンに差が出なかったところが、やっぱり同期っていう
チームワークの良さなのかなと・・・

ACT2 「SHOW of Switch」

とっても楽しい、愛情いっぱいのショーでした(^^;。
わたるくんと女性に扮したエリちゃんが踊る場面が
印象的でしたねぇ。エリちゃんがホントに可愛いの。
最近は見掛けない感じの雰囲気を持った女役に変身してて、
違和感が感じられないんです。
かと思うと、普段はキザに踊ってるのにね(笑)。
振りも結構ハードな感じで、わたるくんとの息もピッタリだったし。
ステキな場面でしたよね。

その後のわたるくんの歌、しっとりと聴かせてくれましたねぇ。
なんかどこかで聴いたような曲なんですけど、思い出せなくて・・・
いまだにモヤモヤしてて気持ちワルイ(苦笑)。

男役3人だけで歌う場面、楽しいですね。
所々で大海賊を思い出して懐かしく感じました。
エドガー、キッド、拝み屋と、全く違ったキャラを
演じていた3人が楽しそうに歌い踊っていると
ちょっと不思議な感じがしたりして(^^)。

Too Darn Hotではナオちゃんと圭子ちゃんが
楽しい構成でデュエット。
ACT1では被害者と加害者だったのに(笑)。

圭子ちゃんの歌にドレス姿のわたるくんのダンス!
中性的な雰囲気で、またモナちゃんとは違った感じがして
ステキでしたよね(^−^)。でも短かったのが残念です。

トークは同期らしいというか、ホンワカしていて面白かったです。
もう、愛情がホントにいっぱいで、観ていて感動しちゃって
最後の方なんて泣きながら観てました(^^ゞ。
宝塚の同期生って、他の生活での同期や友達と比べて
ちょっと特別さが違うように感じるのはu-tsuだけでしょうか?

この公演は宝物です、とナオちゃんが言ってましたが、
ファンにとっても同じ想いだし、その大切なものを
リアルタイムではないけれど観ることができて、
今とっても嬉しい思いでいっぱいです(^0^)。





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