能楽劇

  夜叉ヶ池

             2007.10.3 ル テアトル銀座
 




まんまだった・・・原作「夜叉ヶ池」の・・・
お話の内容をちゃんと知らなかったので、
とりあえず原作には目を通しておこうかと思い読んだ「夜叉ヶ池」・・・
余計な描写がなく、舞台を観ているように登場人物の台詞だけで
お話が語られていくので、簡潔で掴みやすいはずなんだけど、
言葉遣いがどうにも現代にはそぐわないもんでイマイチ伝わらない・・・
かろううじてあらすじは分るんだけどねぇ。
そんなだから久々に不安をもっての観劇になりました(苦笑)



冒頭の泉鏡花の台詞から、ホントにまんま原作と一緒・・・
でも人物がそこにいてセットがあって、という風になると、
伝わってこなかったものが徐々に見えてきて、
読んだ原作と舞台が頭の中で溶け合っていく感じはあった。
それでも違和感あった言葉遣いに関しては、
やっぱりピンとこない部分があって、すんなりと入ってゆけず・・・
それ以外は風情がありながら、不思議な世界だなぁって感じで・・・
流れも分ってるから、読み終わった直後よりは意外と余裕で観れてたかな。

けどねぇ、狂言の場面に入ると、それもあっという間にどっか消えちゃってねぇ(苦笑)
原作読んでても白雪姫の場面は前半以上に全然伝わってこなかったのに、
舞台は狂言だから更にワカランことばっかりで(ーー;
台詞の内容も小難しいのにあの表現の仕方だから、もう何を言ってるのかさっぱりよ。
日本人でありながら、日本の伝統芸能がさっぱり伝わらないって、どうよ(苦笑)
これはもう1度じっくりと原作を読んでみるしかないですねぇ・・・
そうでないと、いつまでたっても「夜叉ヶ池」の全体を知ることができない・・・




さて、1年ぶりに観る男なわたるくん・・・
なかなか新鮮でステキだったよぉ(^^;
ファーディナンドのように少し長めの髪型に袴姿・・・
メイクはとても薄いのか、ほとんど素のように見えたな。
それなのに百合役の牧瀬里穂ちゃんと並ぶと男らしいというか青年らしくて爽やか。
いや〜普通メイクの男姿もカッコイイですっ(^0^)
っていうか、以前からお稽古場でのほうがより男らしさが上だったよね、わたるくん(苦笑)
今回はそれが立証されたような気がするよ・・・や、ご本人はどう感じるかわかんないけど。

ただね、発声というか声はやっぱり他の俳優さんとは違って細いんだなって思った。
舞台に立つ男の人の声って迫力があって、底のほうから伸び上がってくる感じなんだよね。
声も客席によく通るし聴きやすいし・・・でも誰が声を発しても同じ声に聴こえてきたり、
感情の波が伝わり難いっていうこともあるんだけどね。
わたるくんは今までもそうだけど、時々台詞が聞き取り難くなる時があってねぇ・・・
原作と同じ台詞だったから支障は感じなかったけど、今回のようにマイクを使わないような
芝居では台詞がちゃんと聞こえないと話の内容に穴があいてしまうことになりかねない。
これからは発声の稽古もより必要になってくるんじゃないのかなぁと。
とはいえ、u-tsuはわたるくんの声が好きなので、声は変わってほしくない・・・


後半の立ち回りは宝塚時代よりも動きがよく、迫力も増してた。
やっぱり相手が男性だからなのかな?
でも誰よりも男らしくてカッコよかったんだけど(^^;
百合を背中で庇う姿なんて大きくて逞しくて、いや〜ホレボレしちゃいますね。
牧瀬里穂ちゃんがすっぱりと隠れてしまえる背中なのよ〜
もうね、女ってことを忘れてしまうくらい、男性陣に溶け込んでいて違和感ないんだよね(笑)
ローラでは可愛らしかったわたるくんが、この舞台では自然に男になってて、
もう嬉しいような、うれしいような、ウレシイような・・・って感じよ。
作った男、っていうのではなくて、自然に晃として舞台にいるんだよね。
でさ、相手役が普通の女優で、男役がより男らしく見えるように振舞う娘役ではないのに、
何故か今まで以上に男らしさを感じてしまうから不思議よねぇ。
卒業からおよそ1年だから染みついたものはほぼ100%残っていると思うけど、
それにしたってステキすぎなんだわさ(笑)
女優なわたるくんも好きだけど、こういうわたるくんも変わらず好きだから、余計そう思うのかな・・・?


歌も踊りも無い舞台だけど、こういうシンプルで何も隠しようがない芝居で演じるわたるくん、
結構イイなぁって実感だね。
男役を演じてきたから、普通の女優とは違うことを演じることができるだろうし、
思いもかけない新たな魅力を発見する機会にもあえるだろうし・・・
今後のわたるくんからは、ますます目が離せない・・・っていうか離しはしないけどね(^^)
楽しみ度がUP!UP!ですよっ



できるなら、ハッピーエンドな作品を観たいもんですねぇ・・・
ローラも切なかったし、宝塚時代もハッピーエンドからは縁遠いのが多かったから(苦笑)
結局今回も、2人とも死んじゃったし・・・ある意味ハッピーエンドではあるんだろうけど、
やっぱり明るい未来を2人で生きていこう!みたいな終わりってのが理想だよねぇ・・・
今回のようなラストはキライじゃないけど、そろそろ幸せなラストを演じさせてあげたい(笑)
いつか観れるとイイなぁ・・・








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