2004.5.9 東京宝塚劇場 1階19列

第9場 ラパン・アジル

フルーレ伯爵邸から逃げ出したアデルとクロディーヌ。
ここでは謎の伯爵夫人の正体と、伯爵夫人を装った経緯が判明。
が、観客にはすでに伯爵夫人=アデルという図式が判明しているので、
ちょっとしつこいような気もします。
初めて宝塚を観劇されてる方には判りづらいと思うので、
こういう場面があるのは仕方ないですよねぇ。

でもね、ここでのアデルとクロディーヌはあまりにも幼稚すぎ。
クロディーヌは等身大なのかもしれないけど、アデルは・・・
アデルは・・・作り方、間違ってないか?っていう印象が。
声の出し方もネチっとしていてワザとらしく感じるし、
何より笑い方が・・・笑い声って文字では書けないけど、
【うふふっY 】っていう感じの笑い、分かるかなぁ(苦笑)?
ほんのちょっとの笑いなら問題もないけど、長い笑いは・・・
笑顔は可愛いのになぁ。あの銀橋でのやりとりは無声映画のように
音無しで観るほうがイイ感じかも(ーー;

クロディーヌも、もうちょっと何とかならないもんかと。
クロディーヌのキャラはサバサバしていてもいいけれど、
でも決して地だけで演じてはいけないんですよね。
サッパリしていても、活発なキャラでも、女の子らしい
雰囲気はちゃんと表現してほしい。
娘役は男役以上に作らないといけない部分があるので、
華ちゃんにはそのへんを理解して頑張ってほしいなと。
髪型も、変えたほうがいいような・・・アップにするのは
イイが、ちょっと老けて見えるかな。
物語の時代に合わせるのも大切だけど、自分に似合うように
アレンジしてもイイと思う。日々色んな風に変えて、
より華ちゃんのクロディーヌに合う髪型を見つけてほしいな。

ラパン・アジルの前にやってくるとモディリアーニとユトリロが
泥酔して騒いでいる。それを見て慌てて逃げるアデルたち・・・
なんで二人とも逃げてしまうのでしょうか?
謎の伯爵夫人として顔を見られているからなのかな?
u-tsu的には逃げずにテーブルについて欲しかったと思うんだけど。
相手は画家なんで、マジマジと顔を見られたら正体がバレて
しまう可能性もありますが、芸術家を支援する為に詐欺行為を
しているアデルには、是非ともここでモディリアーニたちと
言葉を交わして欲しかったですねぇ。


泥酔した画家たちが酒を求めて店を後にすると再び現れる
アデルたち・・・女主人のエティエンヌになんとか食事を
させてくれるよう頼みこむとテーブルへつく、そこへ
フルーレ伯爵邸の御曹司ブリュアンが現れる・・・
アデルに詫びをしながら話しをしているうちに、彼女の
純粋な心に惹かれていくブリュアン。
一方、アデルも身分を振りかざす多くの貴族とは様子が
違うブリュアンに好意を感じるようになる・・・

ここでは炎の詩人とは違う、好青年なブリュアン。
あくまでも貴族として振るまい紳士的に控えめに接しています。
やっぱり育ちが良いから振舞いは完ぺきね〜って感じですね。
伯爵夫人になりすますアデルも、まさか貴族の彼が炎の詩人とは
思いもしない。それはブリュアンも同じだけど・・・
でもね、もうちょっとラフに接してもいいんじゃないかなぁと
思ったりもします。炎の詩人を全て隠すのではなく、仕種や
言葉の中に貴族から離れたものが滲み出ていたらなぁと。
伯爵邸で初対面の二人が互いに【あれ?】って感じたワケだから、
ここでもそんな素振りがあってもおかしくないだろうし。
だけどそれだと更にドタバタコメディになりそうだな・・・
兼合いが難しい・・・

【夢は見つづけてこそ夢】これは言葉としては良い言葉だと思います。
諦めずに捨てるな、っていう元気付けの言葉なんですけど、
つまずいたときや落込んだときは誰かに背中を押して欲しいと
思うもので、ただの言葉なのに癒される。
そう、良い言葉なんだけど、なんだかパターンすぎちゃってねぇ。
名前も知らない貴族の青年が優しく歌う言葉に惹かれて、
夢を弄ばれて傷心のアデルはついつい心が彼に傾いてしまう・・・
そこまでアデルは自分を見失っているのか?と思ってしまった。
ま、相手がわたるくんならu-tsuなんか自分から傾いちゃいますが(^^ゞ

オーデションに落ちることよりも騙されたことが悔しかった、
という気持ちが大きいのは確かでしょうね。
自分の力を出して落ちたのではなく、最初から仕組まれたことに
大切な夢を利用されたワケですから。
まんまと騙され、そのことこで感情をも遊ばれたように感じた
でしょうし・・・でも、それでクヨクヨと傷心しているようでは
ただの世間知らずなお嬢さんなのではなかろーか?
アデルにとっては将来に関わる大切な夢だけど、それなりに苦労
しているのなら世の中の仕組みもそれなりに感じることができるはず。
ま、時には現実逃避してしまいたいこともありますが・・・

それを癒してくれたのが優しい言葉で包み込んでくれた御曹司。
やっぱり気持ちが病んでいる時にはコロっと傾いてしまうか(苦笑)。
ブリュアンの方は単純に、自分の傍にいなかったタイプのアデルが
新鮮に見えて、夢を大切に持ち続けている直向さに惹かれた・・・
ってところですよね。もともと人間が好きなブリュアンは、
目的や夢に向って懸命に生きている人間は更に好きだから、
アデルに好意を持つのは自然なことなのかもしれない。
でも、だからといって、突然去って行ったアデルの後姿に
【私の恋人〜!】はないだろう・・・
それはちょっとずーずーしいってもんですよ(苦笑)。
因みにu-tsuの心の恋人はわたるくんだけど(^^;
↑もっとずーずーしいよ(怒)

にしても、ここでのわたるくん、なんか物足りない・・・
貴族ってこんなもんかもしれないけど、わたるくんの場合は
貴族の格好してても型破りな人物のほうがらしいもんね。
でも夢を追って直向に生きる人をさり気なく包み込むブリュアン、
u-tsuはかなり大好きだぁ〜(^ー^;


第10場ムーランド・ラ・ギャレット

囚人服を着たアポリネールが、何やら思いつめたような表情で
ペンをはしらせている・・・監獄で詩を書いているのでしょう。
悩める詩人・・・キレイだなぁ〜(^ー^;と見惚れてしまった。
貴城さんは決して逞しくはないんだけど、柔らかい雰囲気の
包容力は結構大きいです。明るい貴城さんもいいですが、
悩める表情もステキですね。わたるくんの苦悩する表情も大好き♪
なんか、ヘンな趣味かな・・・

アポリネールの監獄での日々をモディリアーニたちが歌と躍りで
表現し、釈放された経緯をユトリロが演説口調で語る。
アポリネールとの再会の最中、ローランサンが現れる・・・
再会を喜ぶアポリネールに悲しい詩を読み上げるローランサン。
たった5日の拘留が、孤独を恐れる彼女にとっては時間の区切りが
ないほど長く、心が凍りついてしまうほどの寂しさでいっぱいに。
孤独ってそんなにトラウマになってしまうものかと
経験の無いu-tsuにはちょっとばかり疑問ですが、ローランサンは
ものすごい神経質でデリケートな感情の持主ってことなのかな?
ちゃんとアポリネールは戻ってきたんだから、また今までのように
仲睦まじく暮らしたらいいのに・・・なんで別れちゃったんだか?
アポリネールが甘やかしすぎたんじゃないのぉ?な〜んて
ことも思ってしまったu-tsuですが、彼女自身、その恐怖は
自分でもどうすることもできないものなのかもね。

でもさ、アポリネールが戻ってきてから男爵と結婚するっていう
設定はヘンだよ。いや、設定としては良いんだけど、それなら
戻ってくる前に男爵と出会っていなくちゃいけないんじゃないの?
舞台観てると、置き去りにされたローランサンはアポリネールが
戻ったのを確認してわざわざ男爵と一緒になるワケでしょ?
なんか、ただの腹いせみたいじゃないのかな(苦笑)?
拘留されていた間に出会って、アポリネールが戻る頃には
すっかり男爵の下で孤独のない生活に安堵しているっていう
ほうが自然に思えますが・・・
ま、芸術に長けている人間の感情はホント判りにくいもんよね。


で、今度は詩人であるブリュアンとアデルが出会う。
アデルを見つけたブリュアンは嬉しくなってついつい声を
掛けてしまうけど、詩人のブリュアンとは言葉を交わしたことが
ないアデル。会うのは初めてよね?素朴な疑問に内心アタフタ
しながらも上手く誤魔化すブリュアン・・・
独白で【あのとき会ったのは炎の詩人】だの【御曹司】だの、
わざわざ台詞にする必要はありなのか?
実際にそんな場面に出くわしたって、言葉にはしないぞ普通。
みんな心の中で【アブナカッタ・・・】とか思うくらいでしょう。
観客には判っているのだから、表情やリアクションでも充分では?
とはいえ、慌てふためくわたるくんの声は新鮮で楽しい(^^)。
より判りやすいことは事実ですが、なくてもイイと思うよ。

アデルに好きな人がいると知って落ち込むブリュアン・・・
でもその人物とは御曹司の自分であると知って、それならばと
着替えに走るブリュアン・・・もうこのあたりは、下心ある
ただの男になってしまっていますねぇ(苦笑)。
この御曹司になるという行動は一体誰の為なのか?
っていうのも微妙なトコロ。
アデルを喜ばせたいだけなのか、御曹司の自分を好きだという
アデルの心を自分のもにしたいのか・・・両者、なのかなぁ?
ブリュアンの喜びようを見ていると、もう自分のことしか
考えてないだろうってくらい嬉しそうなんですよね(笑)。
もうまるっきし象さんになってるし(^▽^)
また会えて嬉しかったですよu-tsu的には。

暫らくして現れた御曹司のブリュアン。
楽しく語らおうとしているとクロディーヌがやってきて、
アデルは彼女と一緒に逃げてしまう。
残念に思うのも一瞬、彼女の名前を知ったブリュアンは
心を満たして軽やかに歌う・・・
ここ、間奏でブリュアンがハミングしてますが、
その声にu-tsuはツボってます(^▽^)♪
ちょうどいい音域っていうか、こういうわたるくんの
声がホント大好きなんですぅ〜。
なのにアデルたちの会話が・・・ ちょっとジャマだったかも(暴言?)
クロディーヌのアイデアで伯爵夫人に変装したアデルは
外見だけは対等に、御曹司のブリュアンに声を掛ける。
ところがブリュアンはまたしても親しく言葉を交わしてしまい、
慌てて取り繕う・・・伯爵夫人に会っていたのは詩人のブリュアン。
そして夫人との会話でアデルという女性に恋していると告げる。

なんか、ちょっと初対面の人間にそんなこと告白しちゃうもんか?
と疑問ですが、それだけブリュアンの足は地に付いていないって
ことかですかね・・・もうアデルの事でアタマ一杯っていう感じ?
自分を偽るのは止めようと、本来の詩人に戻るブリュアンですが、
タイミング良く?現れたアナトールに名を呼ばれ正体がバレて
しまう。一方アデルも、クロディーヌが思わず名前を呼んでしまい、
お互いの正体が判明・・・このあたり、それなりに面白いけど
しつこさも感じます(苦笑)。お互いが正体を隠して惹かれ合う
という設定上、いつかは正体がバレるものですが、
なんでコメディ・・・・なんでいつも逃げるの・・・
実際は逃げずに話しができそうなんだけどな?
しかも、なんで無理矢理カンカンになるか?
コメディのお決まりだから?
もうさ、イイカゲンちゃんと腹割って話しをしろ〜!
って思ってしまった(苦笑)。


第11場 夜のパリ

とりあえずパリが舞台だからカンカン・・・?
そんなワケないよね(苦笑)。
一応、『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』は店ですからねぇ。
店一番の売りカンカンが始まったのをイイことに、
アデルたちは紛れて逃げちゃったってとこだね。
でもさ、ブリュアンたちがいた場所が店内だったってこと、
全然判らないよねぇ・・・



第12場 ラパン・アジル


やっと売れた絵の代金を全て酒に替えて泥酔しているユトリロ。
それを見て身体を心配するアポリネール。モディリアーニは何故
こんなに酒に溺れるのかを語る・・・
それは同じ芸術家でも詩人のアポリネールには経験の無い理由。
でも女流画家マリー・ローランサンを愛した彼には
無関係ではない理由・・・どんな思いでその理由を受けとめたのか。
って、これはちょっと深読みしすぎかな?
それにしても結婚するローランサンを心から祝福する
アポリネール、なんてイイ男なんだっ(^▽^)惚れたっ。
ローランサンに対するあの懐の大きさっ。
愛する人を失って悲しいはずなのに、それでも前を向いている。
一歩間違えばただのお人好しにもなりかねませんが・・・

画商のギョーム、シャガール、スーチンが現れると
更に場は現実的になる・・・間もなく戦争が始まる。
シャガールは初の個展の後そのまま故郷へ、スーチンも一緒に
帰るという。でも戦争が始まればもうパリへは戻れない。
みんな現実の厳しさを目の当たりにして沈んでいるところへ、
モディリアーニはシャガールの為に祝おうと声を上げる・・・

この芸術家たちは作品の中でシリアスな現実を担当するのが役割。
ブリュアンに起こっている世界は夢物語り的な世界で、
アポリネールたちの世界は現実世界・・・のように思えます。
でもブリュアン自身の世界とは密接している感じ。
でもこちらがあまりにもシリアスなので、ブリュアンがものすごく
ノーテンキに見えてきます(苦笑)。


第13場 緞帳前


アポリネールがローランサンとの日々を思い出しながら歌う場面。
切なくて苦しくて、でも包み込まれるようなアポリネールの想い。
最後に彼女を想って微笑む表情がジーンとしちゃう(T。T)。


第14場 屋根裏部屋


アデルとクロディーヌが住む屋根裏部屋・・・
自分の存在の小ささに、自分のしていた行為に恥かしくなり、
もうブリュアンには会えないと嘆くアデル。
そこへブリュアンが来るが会うことはできない。
ブリュアンはドア越しにアデルへの想いをぶつける・・・
もう偽るのを止めようと決めたブリュアンは、炎の詩人らしく
俺様口調で【これから先もずっと好きなんだ】と告げる。

こうまで言われて何故アデルはドアを開けないのか?
ものすごいイライラしてしまった(苦笑)。
しかも【俺様が愛した女だ。間違いはない】とまで言うんですよっ。
それでも開けないなんて、どうかしてるとしか思えない。
ドアの近くまで行くのに開けないんだよね、これが。
ちっぽけで恥かしい?詐欺行為をしていたから?
誰の為に始めたことか考えたら、そんなことでウジウジしてなんか
いられないんじゃないのか?だってもとは親友の為じゃないの?
親友が助かったら今度は自分と同じように夢に生きる貧しい
芸術家の為にしたことじゃなかったの?
アデルの自己嫌悪は親友への想いも芸術家たちへの気持ちも
否定するってことになってしまうんじゃないのか?
もう、こういう煮え切らないヤツは嫌い(苦笑)。
クロディーヌの方がよっぽど大人だと思う。
や、まぁホントに大好きだから思うように動けないっていう
気持なのでしょうが・・・でも同情できない、アデルには。
共感もないですね。一生懸命だから悩むことも多いっていうのは
解りますけど、あそこまで想いをぶつけられて何も返して
あげないっていうのが理解し難いんですu-tsu的には・・・


第15場 パリの夜

アポリネールが歌う中、パリの人々が行き交う・・・
シャガール、スーチンは画商のギョームと共に旅立って行く。
だが戻ってくるものもいた・・・故郷に帰ったはずのヤンが
夢を置き忘れたといって笑顔で現れる。
喜びも束の間、大戦の幕が上がろうとしていた・・・

ここは時代が大きく変わる節目の場面ですね。
夢の為に旅立つ仲間、戻る仲間。
そして愛する人の新しい幕開け。
アポリネールはこの風景を見て笑いがこみあげ、
そして自らも大きな決意をする。
実際はどうか判らないけど、物静かで感情深いアポリネールの
人生は意外にも激動な印象がします。
それなりにやわらかい人生なのかと思いきや、戦争にに志願
までしてしまう。ローランサンとの別れも多少原因になっている
と思いますが、それにしても大胆な人ですよねぇ。
悟りをひらいている感じがしますよ。




最後の第16場だけ別ページになってしまいました・・・

こちらです〜(^^ゞ






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