王家に捧ぐ歌

2003.9.19 東京宝塚劇場 初日 2階1列下手




第二幕 第一場 石壁

ラダメスの願いは聞き入れられたが
すぐには本当に平和が訪れるわけではない。
敗国の人間を見下している者が確実に存在している。
この場面の神官たちって、すごく憎たらしい・・・(苦笑)。
そう、確かに昔も今も世の中は不公平で成り立っている部分が多い。
それを権力を持ち、金で何でも思い通りにしている人間に
云われると、すごい腹立つんですけど・・・
今までエジプトは勝者のみが富を与えられ、それを励みに
更に大きな成果を挙げてきたワケだから、
エジプトでは公平なやり方だったのでしょうけど・・・
解放された今は慈悲を与えるというラダメスの意見が正当に
成されないといけないのに、神官たちはあからさまに見下している。
思わず、ウバルト頑張れ〜な気持ちになってしまいます(^^;。

でも、騙されるなと叫んでいるのは先祖ではなく、
実はウバルトたちではないかと思います。
人の恨みとか憎しみって簡単には消えないものですし、
必要以上に虐げられてきた人間にとっては解放されたからといって
すぐに気持ちが切りかえられないでしょうしね。
平和でいられるならそれが一番良い・・・とちょっとは
ウバルトたちも思っているかもしれないけど、争いで屈折した
心ってそう簡単には・・・ねぇ。

第二場 メンフィス 戦後の宴

すごい明るいですよねぇ、宴とはいえ(笑)。
慎みも威厳もないエジプトになってしまったなぁと。
努力もせずに幸せになりたいなんて・・・
それまでの戦士たちの苦労は何だったの?!って思う。
ま、確かに努力が実るのは全員じゃないけどさ・・・

以前の神官なら、あんなに軽はずみに女性を求めたりは
しなかったんでしょうねぇ。
ラダメスが解放を願い出た時にはあんなに反対していたのに、
もう平和ボケか?っていう(苦笑)。
しかもアムネリス付の女官がご主人様をほったらかしててイイのか?!
いくらなんでも急に変わりすぎだろう・・・っていう感じです。
一応はご主人様が暇を出したのかもしれないけど、
ちょっと羽目を外しすぎ。
でも、かなり我慢を強いられていることも多かったのかなとも思う。
なんでも手に入るアムネリスとは所詮、世界が違うもんね・・・

そこへラダメスがコソコソとアイーダとの待ち合わせ場所へ
行こうと通りかかったら、皆に掴まってしまって英雄だと
もてはやされるハメに・・・
みんな、ここぞとばかりに触りまくっていましたね(笑)。
u-tsuも一緒に英雄だ!と叫びながら触りたかった・・・

そしてラダメスが困っているところへ厳しい叱責の声が・・・
ラダメスだけを残し人払いをするアムネリス。
たしなみも恥じもないこの光景が、ラダメスの望んだ『平和』
なのかと尋ねるアムネリスの表情は困惑と悲しみでした。
そうです、と答えるラダメスでしたが、ラダメスの望んだ
平和ってこの程度なんだ?って感じてしまったu-tsuです。
ただのノーテンキな宴会にしか見えなかったんですけど・・・
以前は宴といっても、もっと質素なものだったのでしょうか?
豪華であってもこれほどの騒がしさはなかったのかなぁ?
平和って努力しないで幸せになることなんでしょうか?
もしラダメスがこの宴を見て、これが望んだ平和だと言い切るなら
それはどこか間違っているように思えて仕方ありません。
平和は新たな歴史の始まりにすぎない、というラダメスですが、
それならその始まりが大事なんじゃないの?っていう気がしますが。
慎重になりすぎると前には進みませんが、
いきなり変わりすぎのエジプト人に付いていけないかも・・・
たぶん、アムネリスも突然の変わりように驚いて戸惑って
いるんじゃないかと感じました。

そしてラダメスが戦士として優秀であり、戦うべく生まれてきたと
理解しているアムネリスは、急いで世を平和にしたいと
行動するラダメスを不審に思っている。
単に平和だけを願っているワケではないと気付いている
アムネリスは、確信に迫る・・・
あなたは誰を愛しているのですか?と。
この言葉には、あなたは誰の為に平和を求めているのですか?
という意味も込められているのでしょうね。
争いから身を引こうとするのは、誰かの為に生きたいから。
アムネリスはラダメスがアイーダの為に解放を願い出たことに
気付いていたんですね。もちろんアイーダを愛していると
分かっていたけど、ラダメス自身から聞いたわけではないし
ただの気まぐれかもしれない、と感じていたかもしれないし・・・

でもラダメスからアイーダを愛していると聞かされて、
怒りと嫉妬から、とうとう権力に訴えるアムネリス・・・
ラダメスはようやくこのあたりで、アムネリスが自分に
本気で好意を寄せていたことに気付くのではないでしょうか?
アイーダと出会う前には、ファラオにも国にも公認された仲で
あったでしょうに、アイーダの出現でそれが消え始めてしまった。
そしてアイーダの為に平和をもたらそうとラダメスが宣言した
瞬間に、アムネリスとの仲は完全に消滅・・・
ラダメスの心はアイーダでいっぱいになってしまった。
私は決して許しません!というアムネリスの言葉は、
エチオピアの女だからというよりは、エチオピア王女だから
許さない、っていう気持ちが入っているように思えます。
同じ王女という立場なのに、自分と何が違うというのか?
アムネリスにはその辺のラダメスの気持ちが理解できて
いないのでしょうね、たぶん。
理解できるのは、愛する人を失うときでした・・・

ラダメスと問答をしていると背後からアモナスロが
鳩を抱いてアムネリスに近づく。
一瞬驚くアムネリスですが、ラダメスがすぐさま間に割って入り
アムネリスを守る態勢をとります。
どんなに意見がすれ違って口論していても、
戦士としてすぐ行動できるラダメスが印象的でした。
アモナスロがアムネリスに話しかけている間中、
目を光らせスキを見せずにさり気なくアムネリスを守るラダメス。
この時は腰に剣を下げていないので、万が一の時は
ラダメスが身体を張ってアムネリスを守らなくてはいけない。
戦士として本能で動いている姿が、何とも逞しくカッコよかった。
是非とも守られてみたいものです(^^;

囚われの身を嘆き狂ってしまったというアモナスロの行為を
目の当たりにしたラダメスとアムネリス。
アモナスロの後姿を見送りながら呆然と佇むラダメスに、
あのような成行きにならぬためにエジプトは勝利し続け
なければならないのです、と言い残し去って行ったアムネリス・・・
その姿からはとても強い意思が現れていたように思えました。

勝利を得てもなお孤独だというラダメスとアムネリスの
溝はますます深まってゆくばかり・・・
国を民を思って勝利し続けたいと考えているアムネリスの
気持ちに気付かないラダメスが歯がゆいです。
争いをなくすのは良いことだけど、ラダメスは自分の愛する
人のことだけを考えて行動しているように思えて仕方ない・・・
尊いことを宣言したのはすごいけど、もうちょっとアムネリスの
身になって物事を考えてあげてもイイのにって気が・・・
恋は盲目、ってヤツでしょうか(苦笑)?
愛する人の気持ちは分かってあげたいと思うのに、
そうでない人の気持ちは二の次っていうか・・・
ちょっとズルイような気がするのはu-tsuだけでしょうか?

ラダメスがその場を離れた後にアイーダが登場。
辺りを見回しラダメスを探しているところへアモナスロが声をかける。
懐かしい故郷を思い描きながら、自由になりエチオピアへ
帰りたいだろうと問うアモナスロ・・・
アイーダが故郷を思い出していると、突然、厳しい声のアモナスロ。

あの将軍には、ラダメスには会えたのか

アイーダの表情は硬くなる。
お前は将軍に惹かれ、将軍もまたお前に惹かれているからこそ
エチオピアを解放すると言い出した・・・
アイーダは狂っていると思い込んでいた父王に確信を突かれ
表情が強張るのを感じる。
ラダメスに取り入りファラオの身辺が手薄になる時期を聞き出せと
頼まれ激しく動揺するアイーダ・・・
ラダメスを裏切る行為はできない、でも、祖国の人々が
これ以上傷つけられるのも見たくはない・・・
短い時間で大きな決断を迫られるアイーダの苦悩が
その後のラダメスとエジプトの運命を握っているのかと思うと、
何が何でも断るのよ〜〜っ!と、アイーダに念を送って
しまったu-tsuです・・・(^^;
だってそんなスパイな真似はできませんよ?
すご〜く後味悪くないですか?
仮に無事ラダメスと逃げられたとしても、
密告したという事実は自分の中に死ぬまで残るワケですし。
じゃぁ、どんな方法があるのか?と聞かれると困りますが、
親子の縁を切るためだとしても、好きな人の身に
疑いがかかるような真似はしたくないなぁと思いますけど・・・

やがてラダメスが現れ、ずっと伝えたかった解放の意味を告げると
アイーダは信じられないという様子で動揺します。
受け入れまいとするアイーダに、なおもラダメスは
愛していると告げます。
ラダメスはアイーダが苦悩している事を充分に承知の上で
告白しています。純粋で真っ直ぐなアイーダを尊重し、
エチオピアの王女という誇りを傷つけることなく、
アイーダを優しく包み込むラダメス。
その包容力がとても大きくて温かい・・・
急かすことなく、じっと待つラダメスのやさしさがイイですね〜。

やっとお互いの気持ちが通じたか〜と思ったら、
ラダメスのちょっと配慮が足りない言葉で不安なムードに・・・
ファラオの許しを得てエジプトでずっと暮らそう・・・
なんて、あまりにもアイーダが可哀相じゃないの(苦笑)?
ただでさえ囚われの身で苦労しているのに、
恋が成就したってエジプトに留まるなら一生囚われの身と
同じだよって・・・ことに気付かないラダメス。
鈍い鈍いと思っていたけどそこまでとわ(苦笑)。
ラダメスらしいといえば、らしいんですけどね。
アイーダに指摘されても、すぐにピンとこないあたりが
なんだか緊迫感ない人だなぁって気もしました。

父と娘は離れられないものなの、と云われエジプトを捨てる
ことに覚悟ができないラダメス・・・
一時の感情で生き方を変えるべきではないというアイーダの言葉で、
自分の深い気持ちを改めて知ったようですね。
正直ちょっとはムっとしたのでしょうけど(苦笑)。

アイーダもラダメスが真剣に自分とのことを考えてくれている、
と不安なく受け入れることができたようですね。
「月の満ちるころ」のデュエットはジーンと響いて良かった。
お互いに、こういう時を待っていたと思うので、
やっと気持ちが通じ合えて良かったねぇという場面でした。

ただね、このあとアイーダがいつ国を出るのかと尋ねますが、
その時のアイーダの気持ちってどうだったのかなぁと・・・
幸せいっぱいな気持ちではあると思うんですけど、
何気に父王に云われた通り大事な秘密を聞き出せているので・・・
夜になればファラオの護衛で自由になれないラダメスですから、
いつ出発できるのかっていうのはアイーダにしてみれば
気になるところですよねぇ。
でもラダメスってば余計なことまでベラベラと喋っちゃって・・・
誰にも教えちゃいけない秘密なのに。
アイーダを信じきっちゃっているからなのでしょうけど、
恋に目が眩んでしまってどこか上の空って感じなんでしょうか?
アイーダも聞かない振りをしてあげればイイものを・・・

ファラオ暗殺に関してはエチオピアを解放したことが
原因というよりは、ラダメスの気持ちの緩みが原因だったんだな
と思えてしまいます・・・
戦士として幾つも武勲を挙げてきたはずのラダメスは、
恋をした気の緩みでファラオの命を売ってしまったと・・・
野性のカンみたいなものが消え失せてしまっているなぁと。
戦士としては恋をしていても強いと思うんですけど、
鋭い観察力とかは低下している感じですよね?

とはいえ、ここではラダメスの貴重な笑顔が見れるので、
秘密を漏らしたことについては咎めません(^^ゞ



ええ〜、2幕の途中なんですけど、休憩入れます(苦笑)。
一回しか観ていないのに、あれこれと書きたいことが
ありすぎて、なかなか進まないんです(泣)。
今までは、こんなに長くならなかったのに・・・
なんでだろう?主役を務めると出ずっぱりだからねぇ。
それだけ観ている時間も長いし、気づく事も多いし・・・
そんなワケで、いつ書き終わるのか不明です。


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